体験の日は親が見学できるということだったので1時間半の授業をつぶさに観察することにした。
ひとつのフロアーがパーテーションで3つに区切られ、息子は一番手前のグループに入れられた。10人ずつぐらいの子どもに先生がひとりつく。
同時に同じ内容で授業を進めているようだ。
この時間帯は合計30人ぐらいの子どもがいる計算になるのだが、男児率の高いことこのうえなし。
近所のS会は女児のほうが多いらしいけど、ここは圧倒的に男児ばかりだ。
ちなみに小学校受験世界では女児の受験率が男児を上回るらしい。女の子の親が小学校のうちに受験をしてあとはのんびりさせてあげたいと思うのに対して、男の子の親は「男なら中学受験で揉まれろ」と考える傾向が強いからだそうだ。
また小学校から女子校というのは結構な数があるのだけど、小学校から男子校というのはみっちゃん(仮名)いわく、全国で2校しかないらしい。
その2校とは1校が暁星小学校、もうひとつが立教小学校だ。
両校ともうちから近いのでなんとなく身近に感じていたのだが(←もちろん一方的になっ!)、完全なる先入観を持ってして、もっと男子校はたくさんあるものだと思ってた。
受験の男女差はたぶん学校数自体の差でもあるのだろう。
それなのにWの男児率の高さはT大附属T小の合格実績によるものだと思う。T大附属T小は体育会系のスパルタで有名だから、女の子よりもやっぱり男の子の親に人気があるのだ(←そうはいっても女の子の受験者数もすさましい数だけど)。
さて授業の始まりは図形問題から。すっかりおなじみの「回転図形」だの「鏡図形」だの「分割図形」である。
5月のクラスなのでまだまだ易しい内容になっている。1月ぐらいからボチボチ息子もやっているだけあって、ちゃんと解いている様子。
よしその調子でがんばれ~。
次は「お話の記憶」だの、「クマ歩き」だのおなじみのコースである。
見ていると「国立コース」イコール「T大付属T小対策」と言っても過言ではない。
事前に渡された書類に志望校を書く欄があり、第二志望までしか書く欄がなかったので、軽く迷った挙句、第一志望を「T大附属T小」、第二志望を銀座の先生から兄弟揃って行くとそもそも言われていた「G大附属T小」と書く。
「クマ歩き」のときに登場したのはタケ先生(仮名)という若い男の先生。この先生は娘の講習のときにも指導してくれた先生だ。
この先生、なんと体操でおなじみの「弘道お兄さん」に似ている。なので今後、「弘道」と呼ぶことにしよう(←ヒネリなし!)。
「クマ歩き」は3クラス合同で行われ、まずは気合の入ったあいさつから。
息子は当然のようにモジモジくねくねと腑抜けたこと、このうえなし。
その様子を3人の先生たちがひとりひとりの子どもたちを目視で評価し、評価表にさらさらと書き込んでいる。
あ~あ、うちの子、評価低いんだろうなあ~。
しかしである。
横一列でいっせいにクマ歩きを始めると、うちの息子の異様にスピーディーなこと!
息子のあまりの速さに他の子どもたちは呆気にとられている。
誰に似たのか、なぜか息子は運動神経が良く、足も速い。
先生方も「おお~、Lくん、すごいねえ!」と関心している。
なんどか「クマ歩き」をやるのだけど、常に息子の圧勝である。「クマ歩き」だけだったら、息子は確実にT大附属T小に受かるだろうなあ~。
「クマ歩き」が終わると、「弘道」が「じゃあ、今日一番頑張った人はLくんです。みんな拍手!」と息子をみんなの前に立たせ、褒めてくれる。
息子はちょっぴり困ったようなそれでいて誇らしいような照れ笑いを浮かべていた。
授業が一通り終わると、ひとりひとりに評価表が渡される。評価はAからGまでで、当然Aは「大変良い」である。
評価項目は多岐に渡っていて、「クマ歩きがきちんとできる」以外はB、C、D、Eと芳しくない評価もたくさんついている。
そういえば講習のとき、娘は最初から「ちぎり」以外は全部Aで、「ちぎり」も猛特訓したのち何回目かで「A」を取った。
あのときは誰だって評価は良くつけられると思っていたけど、実際息子の評価がいまひとつだったりすると、そうでもなかったんだなと思う。
これから息子もAをたくさん取れる日が来るのかしら?
そして帰り際、受付にはカリスマ講師・新田先生(仮名)がいて、にこやかに微笑みかけてきた。
半年振りの新田先生は当たり前だけどまったく変わっていなかった。相変わらず低音の魅力(ゥフランク永井)で惚れ惚れする美声だ。
しかし見た目はまったく冴えないおっさんなのが、またいい味を醸し出している。
「今日はいかがでしたか? それでは今日の入学考査の結果が出ましたら、またご連絡しますから」
とのこと。
え? 何、入学考査って? 聞いてないよ。そんなの。こういう塾って希望すれば全員入れるんじゃないの? だって商売でしょ?
「我が校ではやはり実績が大切ですので、やはり可能性の低いお子さまに関してはお申し込みを見合わせていただくことがあります。合格に至らなかったお子さまには、再度体験レッスンをお申し込みいただき、基準点にいたるまで考査を受けていただくか、また個別指導のコースをご用意していますので、そこで基準点になったら通常コースに移行という選択もできます」
うーん。そこはやっぱり商売か。今日の様子じゃ、基準点にいたってない可能性もあるよなあ~。「クマ歩き」を除いて。
塾通いにもハードルがあったのだ。
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