2010年7月8日木曜日

T大附属T小学校 第一次抽選!

 S社を訪れた翌週の最大イベントはT大附属T小学校の第一次抽選だった。
 クリスマス時期にイギリスに里帰りする飛行機の手配等を考えると、難易度も高く試験結果の遅いT大附属T小学校は落とすなら抽選の時点で落としてほしい最右翼だ。
 まあ、ここの抽選が落ちてしまうと、あとは一次抽選に通ること自体奇跡に近いO女大附属しか残らないのだが・・・。

 この日は冷たい雨の降る寒い日だった。いつもの時刻のバスに乗ると、土田さん(仮名)親子と同じバスに乗り合わせた。
 この時間のバスはG大附属T幼稚園やO女大附属幼稚園に通う親子でいつもごった返している。
 土田さんのところの今日子ちゃん(仮名)はG大附属T幼稚園に通っていて、来年からG大附属T小学校に通うことが決まっている。

「この前はG大附属T小の抽選残念だったね。で、今日はどこ行くの?」
と土田さんが優越感を抑えきれない表情を浮かべながら、私の座席の隣に腰を下ろす。
「T大附属T小学校の抽選が今日なんだよね」
「そっかっ! 今日なんだ。そこの抽選を受けるということはかなり準備してるんじゃない?」
「してるわけないじゃん。占いでおたくのところって言われてその気になってあれこれ受けてるだけなんだから」
「けど半分ぐらいは抽選通るらしいからわかんないよぉ~」
などと話しているうちに最寄りのバス停に着いてしまった。
 バスから降りるときに「じゃあがんばってねっ!」と土田さんは明るく私に声をかけ、そそくさと同じバスに乗り合わせている他のママ友のもとへと席を移動していた。

 コンビニでカイロを購入して、校門に向かうとすでに長蛇の列だ。Bグループ女子だけでもすでにこの行列とは!
 T大附属T小学校の試験は誕生日ごとにA、B、Cとグループ分けされていて、難易度がそれぞれ違う。この誕生日別のグループがさらに男女で分かれているので、合計6つのグループになる。
 うちの娘は8月生まれなのでBグループに当たる。
 由美子さん(仮名)のところの雪美ちゃん(仮名)も同じグループだ。携帯に電話してみるとすぐに見つかっていっしょに列に並ぶ。
 由美子さんはG大附属O小のときの抽選と打って変わり、ばっちりお受験スーツに身を包んでいる。気のせいか気合の入りまくった表情をしている。

 「悪いけど、今日の私、本気だからね」
と開口一番で言う由美子さん。
 「ここは大本命だから、絶対に譲れない」
由美子さんの瞳は燃えている。その瞳を見てたら「アタックナンバー1」のオープニングを思い出してしまった。そうか。がんばっておくれよ。わたしゃ、どっちでもいいよ。
 
「あれ? みっちゃんからメール来てる」
と由美子さんが言うので私も自分の携帯を見てみたら、私の携帯にもみっちゃんからメッセージが入っていた。
 メッセージは以下の通り。
「今日抽選がんばってね。うちもT大附属T小学校受けたかったです。今でも後ろ髪引かれる思いだけど、陽太(仮名)がどうしてもG小以外はいやだというので仕方ないです。私たちの分までファイト!」

「陽太は完全にG小にするんだね」
「そうだね。でもG小だから」
 などと話しているうちに列がどんどん進んでいく。
 すると別の門の向こう側にもすでに行列ができている。その先頭にいたのがご近所さんのあかねちゃん(仮名)ママこと高田さん(仮名)だ。もうお受験スーツがびしっと決まってる。
 あれ、あかねちゃんって確か3月生まれだったよなあ~。ってことはCグループ。え!? Cグループの開始はBグループの3時間後じゃん! なのにもう並んでるの!? 
 その門を通り過ぎるとき、高田さんも私に気づき、
「Aちゃん(←うちの娘)はBグループだよね。うちは今日、絶対にはずさないからっ!」
と雨音に負けないように声を張り上げていた。
 すごいなあ~。みんな気合入ってるなあ~。

「美央さんの知り合い?」
「うん」
「美央さん、知り合い多いね」
「そうかもね」
「しかも気合入った」
「由美子さんほどじゃないよ。みんな」

 ということで私たちは講堂に進んでいったのである。

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