2010年7月1日木曜日

12年ぶりのS社!①

 ここしばらくすっかりお受験にエネルギーを取られてしまっていたが、前の会社の先輩・早紀ちゃん(仮名)と鋭意企画中の“世界に通用するキッズ・プロジェクト(アーティスト編)”(←みなさん、すっかりこんな話忘れてるでしょ? だって本人もすっかり忘れてたんだもん。てへっ。詳しくは今年の2月の「決戦は月曜日」参照のこと)の話を詰めるために、元上司の有岡さん(仮名)率いる事業部に足を踏み入れた。

 有岡さんは何度か上司になったり、上司じゃなくても近い部署にいたりした関係もあって、前の会社のエライ人の中では一番とっつきやすい人である。
 夏の飲み会以後、何度かメールでのやりとりはしたが、会うのはそれ以来だ。
 そのときトオル(仮名)を2軒目に行ったバーで、
 「こいつは俺の右腕だからさ、なんかあったらなんでもこいつに言ってよ」
と言っていたくせに、その1ヶ月後トオルから、「異動になりました(涙)」というメールが来たのには心底驚いた。

 おいっ、右腕をそんなにあっさりと手放すか? 有岡さんったら意外と二枚舌?と思わず人間不信になりかけたが、いやいや、もしかしたらトオルは引き抜かれ、有岡さんは引き抜いた相手にしてやられただけなのでは?とも思いなおすが、はてトオルって引き抜かれるほど優秀だったっけ?という身もふたもない疑問にもぶち当たり、めんどくさくなって考えるのをやめた。
このプロジェクトの窓口はトオルだったが、あえなく異動してしまったということで引継ぎを兼ねた打ち合わせということで会社にお邪魔することになったのだ。
 
 私は用もないのに以前いた部署や会社に行く趣味はまったく持ち合わせていない。
用があれば訪ねて行くこともやぶさかではないが、我ながらあっさりしているというか、過去いたところなど興味はないのだ。
 もうひとつの理由は以前いたところに「未練」があると思われるのが心外だというのもある。
 こういう感覚はわかる人にはわかってもらえるものだと思う。

 そんなこんなで辞めてから初めて訪れるS社。気がついたら12年も経っていたのだ。
 月日の流れるのって早いのね~。
 有岡さんの事業部は本社内にあった。
 しかも本社が移転していて新社屋は足を踏み入れること自体初めてなので、なつかしさは感じられない。
 初めての場所とはいえ10年近くいた会社である。その会社の受付で外部者扱いされ「訪問者」と書かれたバッジをつけさせられるのも感慨深いものがある。

 早めに行き受付でトオルを呼び出すと、トオルは「せっかくやからあっちこっち行ってみますか」といろんなフロアーに連れて行ってくれた。
 当然のことながらほとんどの知らない人ばかりだが、中には知った顔もちらほらあったりする。
 「おお~っ! 久しぶりじゃん! どうした?」
と声をかけてくる人もいれば、ごく普通に「よお!」と声をかけていく人もいる。
 そうした人はあまりにも普通なので、もしかしたら私が辞めたことを知らないのでは?と錯覚しそうなほどである。

 売り出し中のミュージシャンのポスターやCDのサンプル版など音楽業界っぽいアイテムはそこらにたくさん散らばってはいるものの、以前いたころに溢れていた活気だとか、楽しげな雰囲気がいまひとつ感じられない。
 働いている人たちは相変わらず自由な服装で、今の会社の人たちと比べれば数倍もスマートで垢抜けているけど、何か覇気がないような気がする。

 なんなんだろうなあ~。なんか落ち着かないなあとそわそわしていたら、時間になったので、指定されていた会議室にトオルに連れられて行く。
 早紀ちゃんもほどなくして到着し、有岡さんも他にふたりの男性を従えて会議室に入ってきた。
 そのうちのひとりは見覚えがあり、あとのひとりはまったくの初対面だった。
 

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