2010年2月15日月曜日

天啓閃く!①

 このところ、早紀ちゃん(仮名)からの電話がやけに多い。
 また早紀ちゃんの行きつけの飲み屋はうちの近所にあるから、子どもたちが寝静まったあと、夫に留守を頼み、合流したりすることも。

 私たちが話している内容は、ずばり、エデュケーションとエンターテインメントを融合させたエデュテイメントを自分たちの手で作り上げられないかということだ。
 行動の早い早紀ちゃんは、組むなら前の会社がいいと、今では人事部の次長になっている志木さん(仮名)に電話をして、新しいプロジェクトを始めるには、社内の誰と誰に話せばいいのか?というアドバイスを求めた。

前の会社は今では何十と細かく分社化されてしまい、誰がどこにいて何をしているのかさっぱりわからなくなってしまっている。
そういった意味で志木さんにアドバイスを求めたのは賢明だと言えよう。

志木さんのアドバイスによれば、そういった場合の王道手段は、(通常業務以外の)新規プロジェクトの発案者となるのは社内のマーケティング会社で、現場担当者は田町(仮名)という女性だという。
マーケティング部門が頭だとすると、手足となる実働部隊は有岡さん(仮名)が実質トップの販売会社DS(仮名)が担い、その現場担当者は山田透(仮名)ことトオルになるとのこと。

 っていうか、全員知り合いなんですけど・・・・。

 早紀ちゃんにとってもそれは同様だったらしく、
「なんだよ~。蓋開けりゃあ~、全員お前かよっ!ってメンツじゃん!」
と拍子抜けの様子。
「それだけ話しやすいってことじゃん」
「まあ、そういうことだな」
ということで、さっそく全員集合して飲むことに。

 志木さんは私がモロッコ音楽を作っていた頃に、ちょうど原版管理をやっていて、何度か相談に乗ってもらったことがある。
田町は販推(販売推進)にいたので営業所への根回しをお願いしたり、トオルは音楽雑誌の編集者だったときに広告担当だったので、やりたいアーティストがあるときはよくそのアーティストの広告をピンポイントで押さえてもらったりしたものだ。
有岡さんにいたっては3度も上司になったことのある非常に縁の深い人である。結婚パーティのときだってちゃんと駆けつけてくれた。
 
 そのメンバーが全員揃って飲むなんてなんかうれしいなあ~と能天気に楽しみにしていたら、早紀ちゃんがガンガン電話をしてきて、みんなに会うまでに自分たちのプロジェクトのアイディアをまとめたいという。
 ふう~ん。プロジェクトのアイディアねえ~。

2010年2月12日金曜日

夫の会社、買収される!!②

しばらく待遇面で変化はなさそうと言われても、家計を直撃する可能性のある夫の会社の買収劇が気になってしかたない。

そんなときに大学のゼミ仲間・泉水くん(仮名)と会社の近くでランチをすることに。
泉水くんの会社とうちの会社は歩いて5分ぐらいのところにある。

し・か・も・なんと泉水くん、夫の会社の買収先Bの親会社BNの社員で、現在はその子会社で部長として働いているのだ。
何か新情報とか裏情報とか聞けるかも…、そんな下心も胸に秘め、泉水くんと向かったのは、某有名カレー店。

泉水くんはチキンカレー、私はシーフードカレーを頬張りつつ、お互いの仕事の話とか、ゼミのメンバーの話とか、会社近辺のおいしいお店の話などをポツリポツリしながら、カレーライスも一通り食べ終わったころに、夫の会社の話を切り出した。

すると泉水くんは「うーん」と「うーん、マンダ~ム」とやるときのチャールズ・ブロンソンばりにアゴに指を添え、
「いやあ~。全然知らんかったわ。俺、会社の事情にめっちゃ弱いねん」
と言った。
 ってあんた、部長やろ!
 「なんかな、会社もいっぱいグループ会社があって、増えたりとかしてるから、ようわからんのよ」
 「そういうもんなんや?」
 「そうそう」

 とまあ、まったく成果なしである。
 一応、泉水くんにはその買収についてのニュースレターを添付して送ると、
『やっぱ、なんもわからんな』
というメッセージとともに、
『せやけど、うちもBも元々教育の会社やから、教育的な見地から、従業員は大切にする気風はあると思うから、そのへんは安心してええんとちゃうかなあ』
と泉水くんらしい返信メールがきた。

そうだといいんだけどね、本当に・・・・。

夫の会社、買収される!!①

ずーっと社長と反りが合わず転職したがっている夫。
しかし人事の管理職というのはなかなか募集がないのと、彼の日本語能力も中途半端なので、日本人相手の人事をやるのが難しいこともあり、チャンスが巡ってこない。
たまにチャンスがあるのだが、なぜか最終で落とされてしまう。

しかし、それが災い転じて福となったことは前にも書いたとおり。
どれも最終で落とされたところは、あのリーマンブラザーズだったり、AIG生命だったり、名前は忘れたけど倒産したIT企業だったりと、結果的に落としてくれてありがとうというところばかりだったからだ。

しかし4月頃から夫の会社の雰囲気がきな臭くなり、外国人内勤スタッフは全員社会保険への加入が義務付けられ、日本の社会保険制度にまったくメリットを感じていない夫はそれだけで勤労意欲も大いに削がれ、ついでに手取りも大いに削がれ、我が家の財政悪化に結びついたのだった。
オー・マイ・ガァッー・まさに右肩下がり!

こんなときに私も働いていて良かったとつくづく思う。手取り減は痛いが、共働きの分、致命傷ではない。
しかし、その後にサラリーカットもあるという2番底にも耐えなければいけない。

実は我が家は結婚したばかりのときに役職者の夫は20%のサラリーカットをされたことがあり(←けど2年後ぐらいに元に戻った。けど夫はそのことをさらに2年ぐらい私に内緒にしてた)、サラリーカットの恐怖は初めてではない。

この平成の大不況の中、夫の会社の業績悪化もいたしかたないが、きな臭い空気の原因は社長が自分の持ち株の売り先を探すことに奔走しているところから発生している。
自分の会社なのに少しでも高く買ってくれるところがあれば、トットと売り払ってしまう、その見上げたアングロサクソン魂。
エゲツないぜ。アングロサクソン。

まあ夫もアングロサクソンだが。一応。
けど知能犯的でないところが、まるで根暗なアメリカ人とか、手先が不器用な日本人とか(←っていうか、それって私)、リズム感のないキューバ人とか、カレーを食べないインド人みたいに、“らしくない”。

そんなこんなで夫からメールが!
なんと英会話の大手Bが夫の会社を買収したとのこと。
そのBの親会社は教育業界最大手のBN!!
おお~、うちの会社の教育部門のライバル企業(←けどBNはこれっぽっちもそんなこと思っていないと思う)ではないか!!
アングロサクソン流経済策略に踊らされて、しらないうちに私たちは夫婦でありながらライバルの仲に!!

それよか、待遇とかどうなわけよ?

夫が言うには買収されたからクビになるとか、お給料が減らされるとか、降格されるとかはないということだが、今後はわからない。
外国人スタッフにも社会保険の加入を強制していたのは、日本企業に売る魂胆があって、その条件整備の一貫だったというわけだ。
まったくアングロサクソンのやるこたぁあよぉ~!!

けど考えようによってはイチ中小企業に過ぎなかった夫の会社が、これを機会に大企業のグループ会社として生まれ変わったわけでもある。
これって転職みたいなもの?

銀座の先生は今年の春にも転職運があるって言ってたけど、時期はハズしてるが、このことを言っていたのか?
ああ~、謎は深まるばかり・・・。

2010年2月9日火曜日

実家のリフォームは・・・

2回目に銀座の先生のところに行ったときに、実家のリフォームのことを先生に指摘された話は、8月のブログで紹介したとおり。
 実はゴールデンウィークに帰省したときに、新しくなった我が家をこの目で確かめてきているわけだが、報告し忘れてたので、無理やりここで引っ張ってきたというわけだ(←強引)。

 「で、お母さん、どうですのん。新しいおうちは」
 オバハンに話を向けるのが驚異的に上手いHANAちゃん。
 「うん。良うなったよ」
 「え? 具体的には?」
と浅井さん。

 「まずね、車庫を私ら夫婦の寝室にしたんやけど、今まではリビングの続きの8畳の和室を寝室にしとったもんで、夜遅くまで他の家族が起きとったり、朝早くから洗濯機を回されると寝れぇーへんかったけど、ちゃんと私らの寝室ができたもんで、お互いに気を遣わんでええようになったところが大きいねぇ」
 「ほう」
 「あとやっぱり店舗やったところもリビングやダイニングの一部になったで、広なったところも全然違うわね」

 そうなのだ。オカンの言う通り、リビングダイニング合わせて広くなり、全部で25畳強といったところか。それプラス和室の8畳でぐっと開放感は増したことは確か。
 でもせっかくの東向きのリビングの壁にはオカンの食器コレクションの棚が反対側に備え付けられたため、昼間でも全然明るくない。
 床もダークブラウンのフローリングのため、汚れが目立つこと目立つこと。
 おかげでオカンと嫁は1日中、床を雑巾掛けしている。

 私は今ひとつリフォームした実家が気に入らないのだが(←それでも前よりかはいいけど)、まあみんなが満足しているのなら仕方がない。
 私が住むわけでもなければ、1円たりとも出しているわけじゃないから。

 また銀座の先生が言う通り、外観が大きく変わったのか?

……答えは半々といったところだ。

なぜならば、うちは東北の角地に立っているので、北側と東側が表に面しているわけだが、確かに店舗のあった東側は劇的に変わったのだが、キッチンに面した北側は外観をまったくいじっていないので、そっち側だけ見たらまったく変わっていないということになる。 
それってまさに先生の占い結果の確率がそのまんまうちの実家の外観にも現れているような……。

「で、お母さん、2月に風邪とか引かはったんですか?」
 記憶力のいいHANAちゃん。そう、オカンは先生からリフォーム中の2月にウィルスとかに注意と言われていたのだ。

「それもハズレ。その代わりに4月に孫(一番下の弟の1人息子)が来たときに、風邪をうつされて家族全滅やったわ。あんときはさすがの私もしんどかったわ」
うーん、時期がズレていたということか。

総合的に見て、実家に関していえば、半々の確率で当たっていると考えたら良さそうだ。

2010年2月3日水曜日

HANAちゃんもついに銀座デビュー!

 浅井さん(仮名)の銀座の報告からさかのぼること1ヶ月前。HANAちゃんから「私もついに銀座予約しましたよ!」との電話があった。
 HANAちゃんの予約日は8月3日。リアルタイムで報告を聞こうと、我が家で浅田さんも呼んでHANAちゃんの占い結果を聞くことに。

 この日は前の週から子どもたちが揃って新型インフルエンザにやられてしまい、だからといって会社を休めない私たちに代わって、実家からオカンがピンチヒッターとしてやってきていた。
 オカンも交えて聞くHANAちゃんの銀座報告。
 彼女たちのためにあれこれ作り、アルコールもふんだんに用意し、テーブルの上はすっかりパーティー仕様だ。

 「行ってきましたよ!!」
 我が家で響き渡るHANAちゃんのデカイ声。
 「どうやった? どうやった?」
 浅井さんもすっかり関西弁モードに突入。
 「いやあ、もうビックリですわっ!」
 「何がやねん!」
 「全部がですわっ! もうあんなことやら、こんなことやらなんや、えらいことになってますわっ!」
 「おいっ! ちゃんと順を追って話さんかいっ!」
 「あんたら、そこの占いって本当に当たるんかね?」
 チャキチャキとしたテンポのいい関西弁の会話の流れを、いきなりお国訛りで止めるうちのオカン。
 
 「まずね、仕事のことでもっとわがままになったほうがいいって言われて、確かにずっとみんなの言い分ばっか聞いてて、わけわからんところで責められたりとめっちゃストレスやったんですよぉ~。でね、9月になったら仕事内容は変わらへんけど、環境が変わるって」
 「そんなん、ありえるんかい?」
 「うーん、微妙やなあ~」

 4月から彼女はうちの会社が自治体から委託されている施設の職員として働き始めていて、その自治体の施設は3箇所あり、そのうちのひとつでHANAちゃんは企画とか運営の仕事をしている。
 「別の施設に異動になれば、確かに仕事内容は変わらず環境だけ変わるってことになるんですけどね。可能性としてはなくはないけど」

 「音楽とかはどうなん?」
 「なんか歌詞のこととか、すごい言われたことと、日本よりアメリカでやったほうが成功するんですってぇ!」
 「ほう~、海外進出!」
 「そうなんですよ。めっちゃビックリ!」
 「せやけどHANAちゃん、アメリカのほうが合ってると思うよ」
と浅井さん。
 「私もそう思いますわっ。だからこのまま続けてていいって」
 「良かったなあ~」

 「で、ラブはどうやねん?」
 「それがね! 結婚するらしい、私」
 「誰と?」
 「もしかしたら幼なじみかもしれへんって!」
 「えええええっ???」

 HANAちゃんにはトッチー(仮名)という幼なじみがいて、彼のツテを頼って上京してきたという経緯がある。
 彼は和食屋さんを都内で何軒か友人たちと共同経営をしていて、私も浅井さんも何度かお店に行ったことがあるので、トッチーのことは知っている。
 HANAちゃんには、アイルランド系アメリカ人の彼やミュージシャンの彼がいたらしいが、ここ数年は男っ気がまるでない。
 あったとしても変なインド人からしつこく誘われて辟易していたことぐらいだ。

 「でもトッチーってさ、絶対にHANAちゃんに気ぃあるよ」
 断言する浅井さん。
 「うん。私もそう思う」
 同意する私。だってトッチーのHANAちゃんを見る目は限りなく優しく温かく、お父さんとかお兄ちゃんとか、ほとんど身内的な愛情に溢れているから。
 
 「やっぱ、そう思います?」
 「思う。思う」
 「いやあ、実はね、自分で言うのもなんやけど、私もトッチー、もしかしたら私のこと好きなんちゃうか、って思ってたんですよ。これね、みんなから言われるんですよ。誰が見ても私に気ぃがあるように見えるって。やっぱそうですかねえ?」
 「うん。見える見える」
 「先生が言うには、12月に何か進展があるって。もしかしたらトッチーかもしれへんし、新しい出会いもあるかもしれへんって」
 「HANAちゃんはどっちがいいの? トッチーとどうにかなるか、新しい出会いがあるのとでは」
 「うーん。微妙やな。トッチーは元々単なる友だちやけど、あんまりにもみんなから言われるから私もなんとなく気になってきてるし、けど他にもっとええ人がおるんやったら、そんでええし」
 「どっちにしろ、12月が勝負やな」
 「そうですよぉ。私、頑張りますから!」

 「そういえば清永さんのお母さんがせっかくいはるから、リフォームした家のことも聞かんと」
 HANAちゃんが銀座の先生のところに行った報告をだいたい終えたころに、うちのオカンに話を振ってきた。
 「ああ、うちのリフォームね」
 こうして話題は実家のリフォーム話に移ったのだった。

2010年1月29日金曜日

浅井さん(仮名)が銀座へ!

 7月のある日、悩めるキャリアウーマン・浅井さんからメールが届く。内容は下記の通り。
 「ついに行ってきましたよっ! 銀座へ!」

 おお~、これは! ランチタイムは終わっている。
 こんなメールを読んだらいてもたってもいられないではないか!
 速攻で内線する。今私たちは同じビルの2階と3階の勤務なのだ。

「ちょっと何言われたの?」
「うふふ、聞きたいでしょ」
「ちょっと顔貸しな!」
「いくらでも♪」

 ということで社内の空いている会議室を求めてさまよう私たち。う、こんなときに限って会議室もブースも空いてない!
 仕方がないので会社の近くをウロウロと歩きながら話を聞くことに。(←仕事しろよな!)

「で、どうだったの?」
とせっかちな私。さあ、早く結果をお知らせ!
「うーん。微妙ですね」
と浅井さん。
「なんかね、2万円払ってもったいないってことはなくて、特に嫌なことを言われたわけじゃないんだけど、清永さんが言われたみたいに、こうです、ああですっていうのはなかったんですよねえ。悪いことも起こらない代わりにすごくいいこともない感じ」
「ほう~」
「彼氏についてもね、そのまま付き合っててもいいって」

 浅井さんには一度破局したあと遠距離になってしまい、そのあとなんとなく復活してしまった相手がいる。
 会えば楽しい相手らしいが、なんだか煮え切らなくて、結婚願望のある彼女に対してのらりくらりとかわしているらしい。
 そこが原因で別れた相手である。結婚願望のある女子としては、そういう相手をハッキリ彼氏とカテゴライズするには躊躇してしまうだろう。
 そうなると当然のなりゆきから、じゃあ他にも目を向けましょうということになる。
 
こういうのを二股をかけようとしているとか、ずるいという潔癖症の向きもあろうが、当たり前だっちゅうの!
 猿だって次の木に移るときには、新しい枝を掴むまでは今掴んでる枝から手を離さないものだ。
 また真冬に新しいコートを買いに行くときに、古いコートを捨てる人はいない。
 といろいろ屁理屈を述べてみたが、出会ってナンボの婚活だ。
 煮え切らない相手がいるぐらいのことでは、新しい出会いを妨げることはできない。

 しかし律儀な浅井さんは相手がいつつも、他に花婿候補者を探すことに良心の呵責を覚え、すっかりやり手ババアと化した私からいつも叱咤激励されている。
 根がマジメなのね。

「先生は例の彼はやっぱり結婚願望がないって。けど気まぐれだからどう転ぶかわからないけど、他を探しつつ、このまま付き合っててもいいって」
「なんだ、私と同じ意見じゃん」
「うーん。まさか占いで二股を勧められるとは・・・」

「他に何言われたの?」
「将来的には結婚も子どももできるみたいですけど、一番おやっ?と思ったのはね、9月頃に私に嫉妬している女性とトラブルになるかもしれないって言うんですよね」
「へえ~。心当たりは?」
「顔立ちがハッキリしている人なんですって。だから真っ先に清永さんですか?って聞いちゃいましたよ(笑)」
「何それ!」
「もちろん、先生は笑いながらそんなわけないじゃないですかって」
「ああ~よかった」
「本気で心配しないでください! でね、イラストを描いてもらったんですよ」
と一枚の絵を見せてくれる。
 うわ~、下手っぴ! 銀座の先生って今ひとつ絵心がなさそうだ。

「これ見て誰か思い浮かびません?」
 細面の狐顔だ。ちょっとミミズっぽい線の絵だけど、特徴は捉えている。悪女顔っていうんですかねえ。こういうの。キツイ感じの美人顔。これって・・・・・。

「Oさん?」
 恐る恐る名前を出す私。同じ社内の女性だ。
「やっぱり? やっぱり? 清永さんもそう思う?」
「うん。似てる。けど何か接点あるの? 仕事も全然関係ないでしょ?」
「まあねえ。実は心当たりがなくはないんですけどねえ。でも先生が言うにはトラブルっていっても大したことがないから大丈夫だって言うんですけど、ちなみに彼女の名前を出したら、そうかもしれないって。可能性はあるって言ってましたよ」
「ひえ~」
「とりあえず9月ですね」

 ということで果たしてOさんらしき女性と浅井さんが9月に揉めるのか、煮え切らない相手とはどうなっていくのか、今後の成り行きに要注意だ。

小説の行方は?

KちゃんとTちゃんとランチに行って会社に戻ると、T書店の本田くん(仮名)からメールが入っていた。
 営業とも話をしたので、会って話がしたいとのこと。
 翌日、会う約束をする。

 本田くんのオススメだという池袋の西口にある和食系のダイニング・バーで、ビールを飲みながら、本田くんが言いにくそうに本題に入る。
 こういうときに、きっと本人は自覚していないだろうけど、彼は独特の表情をする。
 たとえば何回かHをしてすっかりその気になっている女の子に対して、実は本気じゃないんだよとか、奥さんとか彼女から、ずーっと私だけでしょ?と迫られて、そんな確約なんてなどと切り出す前にするであろう(←あ、ごめん。喩え悪すぎ?)、照れ隠しの笑みが混じったような困った顔。
 そういうような顔を目の前の本田くんはしている。
 ただこの人は本気じゃない相手に「愛してるよ」と言ってみたり、「ずっと私だけ」と言われて、「もちろんだよ」という適当なことブッこいでんじゃねえよ!(←あらっ、失礼!)という腐れ外道(←これまた失礼!)ではない。

「営業がね、主人公に感情移入できないって言うんですよ」
 本田くんが切り出してくる。
 私個人としては、小説の登場人物にいちいち感情移入する必要があるのかと常々思っているので(←きっとこの点に関して、ある種の文学論争も成り立つであろう!)、主人公に感情移入できないって言われても、「はあ、それで?」というふうに思ってしまう。

「女性の営業なんですけどね、なんかバブルの匂いがするって」
 そりゃあ、私は花のバブル世代ですよ!(キッパリ)

しかし発展途上国の男と恋に落ちる話(←簡単に言えばね)のどこがバブルなのか?
 あと売れないバンドマンの彼氏とか。むしろ貧乏くさいのでは?
 きっと不倫相手(小説上のね!)とあれこれ飲み食いした話なんかからそういうイメージを持たれてしまったのかもしれないけど、そんなんでバブルくさくなるのか? 
 思わずどんな匂いがするのか自分の腋の下の匂いを嗅いでみる(←バカ?)。

 しかし、しかしである。出版社の営業というのは、無名の著者の本なんて興味がないのが当たり前田のクラッカー(←古っ!)な世界で、ましてや小説となれば、三重苦も四重苦ものハンディを背負わされているのは、とっくにわかってたんじゃないの?
 ちょっとそのあたりはどうなのよ。本田くん!

 「タイトルとか、結末とか変える気はないですか?」
 唐突に内容に関して話が流れていく。
 うーん、漠然とそう聞かれてもなあ~。
 いち営業が気に入らないからとその度に内容を変えているのじゃ、なんのこっちゃである。
 タイトルとか内容とか変えるのであれば、とことん詰めた話をして納得したうえでないとむつかしいのが人情だろう。
 具体的な話じゃないとねえ~。
 そう思う私は書く手としてのやりとりには素人なのかしら?

「フリーのね、編集者ですごく信頼している人がいるんですよ。できる人だから忙しい人なんですけど、その人に見せてみますか? T書店ではやっぱりむつかしそうだし、他でいいところがあるかもしれないし」
そうねえ。そのできる人とやらもどういう反応をするのやら。
あてにしないで待ってみることにしますか。