うららかな春の日の昼下がり。メール着信が一件。送ってきたのは娘のクラスのママ友佑子さんだ。
佑子さんは3人の子持ちで上のお兄ちゃんの件で、一度銀座の先生のところで診てもらったことは4月のブログでも紹介したとおり。
娘と同い年の莉奈ちゃん(仮名)は同じバレエクラスに通っていたが、1年前に辞めてしまっていた。
そのとき佑子さんは「日曜日のバレエの待ち時間にママ同士でくっちゃべっているのが、最高の息抜きになっていたのに」と莉奈ちゃんがバレエをどうしても辞めると言って聞かなかったことをずいぶん残念がっていた。
送られてきたメールの内容は、なんと銀座の先生に関するもの。
「最近、銀座の先生のところに行った? または行ったって知り合いの人いる?」
あら~、佑子さんったら、また先生のところに行く用事でもできたのかしらとオバハンのヤジ馬根性丸出しで速攻、電話をかける私。
「銀座の先生のところだったら今年の1月下旬に私は2回目行ってきたし、そのあとに泰子(仮名)も行ってるよ」
「ええ! 美央さん、2回目行ったんだ。やっぱりまた1カ月ぐらい待たされるのかな?」
「1ヵ月どころか、最近じゃ2カ月待ちだよ」
「2カ月!」
「けど泰子は緊急だって言い張って10日ぐらいで予約を取ったらしい。夕方とかじゃなければ比較的取りやすいんじゃないかな」
「あ、それいいこと聞いた。いいの、私どうせ時間いっぱいあるから、朝だろうと昼だろうと行けちゃうし」
佑子さんは意外なことを言う。だって彼女はフルタイムでめいっぱい働いていて、いつも時間に追われている。
「来週、保育園の懇談会あるじゃない。そのあと美央さん空いてる?」
「空いてるよ」
「じゃあそのときにちょっと相談に乗ってよ。あと2回目で銀座の先生に言われたことも教えて」
「いいよ~」
こんな電話のやり取りから1週間後。懇談会のあとに我が家でビールを飲みながら語り始める私たち。
うちの子どもたちと佑子さんの一番上のお兄ちゃんを除く2人の子ども計4人は、女の子同士はリカちゃん人形で遊び、男の子同士はトミカで遊んでいるので、しばらく放っておいてもよさそうだ。
「あれからね、銀座の先生のところに予約入れて行くことになったよ。美央さんの言う通り2カ月先だって言われたけど、平日の昼の早い時間にしてもらったら1ヵ月後には予約取れたよ」
「今度はどうしたの? お兄ちゃん落ち着いた?」
「うん、おかげさまでお兄ちゃんは担任の先生も変わったこともあってずいぶん落ち着いたよ。相変わらずKYだけど。今回はね、実家のゴタゴタのことと、私の勤め先のことで聞きたいことがあるんだ。けど会社のことはもう今月中にカタがつくだろうから、もう先生のところに行くころには終わっちゃっている話になるけどね」
「何? 会社がどうしたの?」
佑子さんによると、彼女はIT関係のSEとして働いているが、社長がワンマンで彼女が3人目の子どもを妊娠したときに、人事から3回目の産休取得は認められないと圧力をかけられたらしい。その話は当時私も聞いていた。
佑子さんは法律を盾にとり、3回目の産休育休も無事取り終えたが、会社に復帰したときは管理職の立場を解かれ、毎年年棒の交渉があるこの会社では収入も25%ほど引かれてしまったらしい。
これだけでも重大な法律違反だが、佑子さん自身に3回も産休育休を取ったという罪悪感があったこと(本来ならそんなものをまったく感じる必要はないのだが、まだまだ日本の会社ではこういった制度を活用することに罪悪感を植えつけられるような土壌があるということだ)、管理職の責務から逃れられ実際に残業時間が減り子育てとの両立がしやすくなったというプラス側面もあり、本人もそれで良しという状態がこれまで続いていたという。
ところが今年に入ってこのワンマン社長が突然佑子さんの存在を思い出したのか、今年の年棒の交渉時に突然金額の書いた紙切れが渡され、その金額が元々の金額の25%差し引かれた現在の年収のさらに半額になっていたというのだ!
元々の金額からいくと75%ほど減額されてしまう計算になるという。
それはあんまりだ。
「だからもう、やってられないから辞めようかと思って。で、どうせ辞めるんだったら会社を訴えてから辞めるつもりでいるんだよ」
「それひどいね!」
「でしょう~!! だからこのことはもうカタもつくだろうし、初めて銀座の先生のところに行ったときに、ちょうどこの時期ぐらいに会社を辞めて自分で仕事を始めるって言われたから、時期は合うんだよね。だから具体的な話を聞きたいと思って」
「なるほどね~」
「銀座に行ったらまた報告するよ。ちなみに美央さんは2回目何言われたの?」
順を追って2回目に銀座の先生のところに行って言われたことを報告する私。
「なるほどね~。いいじゃん。いいことばっかり言われてて」
「えへへへ。まあね。けど言われた結果、絶対に教えてよ」
「もちろん」
ということで、佑子さんの報告を待つことに。
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