日曜日の朝は子どもたちのバレエ・デー。月1回の見学日以外は子どもたちのレッスン中は気の合うママ同士でくっちゃべるお楽しみタイムだ。
詩音ちゃん(仮名)ママこと里美さんが、ニコニコしながら切り出した。
「うふふ、行ってきましたよ。銀座2回目」
「おお~」
里美さんの1回目の占い結果は4月のブログに書いた通り。
1回目は里美さん自身、先生に言われたことにあまり突っ込まず、また言われたこともそれほど覚えていなかったので、いまひとつ傍で聞いていてもわかりにくい鑑定結果であった。
特筆すべきは「引越しの相が出ている」ということと、「ダンナが女々しい」という2点ぐらいか。
うーん、ここ最近、2回目の人が増えてるなあ~。
「美央さんのところ、G大附属T小だって言われたって言ってたでしょ。うちも国立狙っているから、詩音の受験のことを診てもらおうかと思って行ってきたんですよ」
「おお~、それでそれで?」
身を乗り出すバレエママ友たち。
「でね、国立は出てないって」
「うーん、残念」
「しかもこれから受験の準備をするのはちょっと遅すぎるって」
「厳しいなあ」
「けどギリギリ間に合うかもだって」
「おお~」
「そのためには行きたい学校を本人に選ばせろって言うんですよ」
「幼稚園児が自分で学校なんてどうやって選べるっていうの?」
「でしょ? まあ、でもいっしょに小学校のホームページとか見たりして、なんとなく情報を得てるんだけどね」
「でもさあ、子どもが学校の教育理念とかに共鳴するわけではないから、結局選ぶのっていったら制服とかそういった見た目しかないでしょ」
「その通り! 銀座の先生からも多分制服とかで選ぶでしょうって言われていて、制服もね、襟がこうって(と大きめな襟を両方の人差し指で表している)、変わった制服なんだって」
「国立はないっていうことは私立だよね」
「そうそう。で、アーチェリーとかエアガンとかのクラブがある小学校なんだって」
「なんだそりゃ。私立ってぇのはそんなすごいクラブとかが小学校のときからあるわけ?」
「なんかね、先生が弓を射るようなジェスチャーをやたらとしていて、そういう動きみたいなのが見えたらしい。でね、詩音ったらいろんな小学校の制服を見て、ついに私ここにするっ!って決めた学校があったの」
「ほう、それは?」
「それがね、よりによってS女子学院なのよ!」
「ひょえ~!!!」
「しかも制服が変わっていて襟が大きい!」
「おお~」
ちなみにS女子学院とはカソリック系で、大学まである超お嬢様学校で、やんごとなきお方の母校としても有名だ。
「セレブっぽいねえ~」
「さすが家2軒の財産持ち!」
「学費高そう~」
「ここってマジで“ごきげんよう”ってあいさつするらしいよ」
「だって先輩を“お姉さま”、後輩を“エンジェル”って呼ぶんでしょ?」
「すごすぎっ!」
好き勝手なことを言うママ友たち。
「でもね、ここ、エアガンとかアチェーリーのクラブなんてないんですよ」
「ふつう、ないよっ!」
「で、銀座の先生が言うには、詩音は演劇とかやらせたほうがいいって言うんだけど、でもこの子の行く学校に演劇部はないわって言われて、でも調べたらS女子学院ってちゃんと演劇部があるの。ってことはS女子学院以外に行くのかしら? あと今回がダメでも小学校の途中で私立に行くことになるって」
「小学校の途中から私立なんて行けないでしょ? 中学の間違いじゃないの?」
「それがね、調べてみたらS女子学院って小学校の5年生で転入生を受け入れてるんだよね。もちろん試験を受けなきゃいけないんだけど」
「ということは早くても遅くてもどっちみちS女子学院に縁があるということだね」
「そのようですねえ」
「じゃあ、これから大変だね」
「うん。一応、お受験塾も入れてみました」
「あ~あ、子育てってほんと、お金かかるねっ!」
「まったくです」
そう言いながらも里美さんは新たな楽しみを見つけたように、満足げに微笑んだ。
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