里美さんと電話で話した翌日は泰子(仮名)から電話がかかってきた。
内容は泰子のお友だちでやはり銀座の先生に診てもらったおうちの子もお受験合格したよということだった。
お友だちの第一希望はこれまた人気のSY女子で、先生からは「ちょっと難しいけど、SYの名前がついた講習を受ければだいじょうぶ」と言われて、実際にSY関係の講習は受けまくったのだという。
「全部で4校受かる」と言われていたらしいが、2校合格がわかった時点で受験を終了させたらしい。
「ね、銀座の先生のやっぱり当たってたよ。だからAちゃんもどっかの国立に行くことは間違いないんだよ。それがO女かT小か。けど女の子はO女がいいよ。AちゃんはO女のほうが向いてそうだけど」
とほぼ里美さんと同じようなことを言う。
話を聞いていると私立の結果が出るのは早いみたいで、私立も併願している由美子さん(仮名)のところやみっちゃん(仮名)はどうなったんだろうと思っていたところに、みっちゃんからメールが来た。
「陽太(仮名)、G校無事合格しました! 私の第一希望はT大附属T小だけど本人がどうしてもG校に行きたいと言うので、後ろ髪引かれる思いですが、これでお受験終了です。うちの分もAちゃん(←うちの娘)、T大附属T小、がんばってくださいね。もちろんO女も」
というものだった。
さっそくみっちゃんにおめでとうの電話をかける。G校は私立でも超難関校で偏差値の高さはピカイチなのだ。
「すごいね。G校。陽太、がんばったね。カズヒロ(仮名・陽太パパ)も喜んでるでしょ?」
「カズヒロくんはね、いまひとつわかってないみたい。G校ってお弁当作らなくちゃいけないんだけど、どうしても陽太がG校に行きたいって。塩むすびだけでいいからG校に行かせてくださいって頭下げて私たちに頼むのよ。そんなに行きたいのなら行かせてあげようかと思って」
すごい。6歳にしてどうしても行きたい学校があるなんて。
うちみたいに真正面から「受験」と言わずに、「クイズ大会」とごまかして受験勉強させているのが果たして正しいのかという気分になってしまう。
「他の私立はどうだったの?」
「うちは他にH学園とS学院を受けたんだけど、おかげさまでみんな合格したんだけど・・・」
「さすがだね。あれ? S学院は雪美ちゃん(仮名)も受けなかったっけ?」
「そうなの・・・。実は同じ日に受験したんだけど。雪美ちゃんね、学校選択が悪くて今のところ全滅なのよ」
とみっちゃんは心底気の毒そうに言う。
そう同じ塾に通ってがんばってきたみっちゃんと雪美ちゃんママの由美子さん(仮名)は今や完全に同志と化していて、固い絆で結ばれている。
みっちゃんはタイプ的に自分のところさえ受かればいいと考える人ではない。
「雪美ちゃんって努力してるし、いつもいい判定をもらってたのよ。けどあれはどう考えても由美子さんの戦略ミスで、受けた私立がS学院とH女子まではいいけど、あとがよりによってA学院とB学園だったのよ!」
「その選択のどこがだめなの?」
と私。
A学院は超人気校で芸能人の子弟が多いのでも有名だ。みっちゃんいわく、よほどのお金持ちかよほどのコネがなければ、最低でも両親のどちらかがA学院出身者じゃなければかすりもしないところなのだという。
「へえ~。ということは由美子さんかヒロキ(仮名)がA学院出身なの?」
「それが違うからだめだったのよ。塾からも学校選択を見直したほうがいいって言われてたしね。私立ならH女子が本命だったんだけどここが残念ながら落ちちゃって、それで由美子さんが動揺しちゃって・・・。普通だったらS学院なら確実だったはずなのに、あろうことか、由美子さんったらS学院の試験日にパパに仕事を休んでもらうことを忘れたり、赤ちゃんを預け忘れたりして、パパはいないわ、けど赤ちゃんは連れてきちゃうわで散々だったの。もし時間がうちとズレていればその間、赤ちゃんを見てあげられたのに、最悪なことに面接時間がまったく陽太と重なっちゃって、うちも見てあげられなくて、それでS学院もダメだったのよ。ただB学園はまだ結果が出ていないんだけど、正直言って私立というだけでレベル的にはどうかなっていうところなのよ。ここなら100%合格すると思うんだけど」
そうか~。私立は私立でいろいろあるんだな。
抽選という運頼みの要素がない分、親の戦略とか選択がダイレクトに問われてしまうのも辛そうだ。
だったら由美子さんのところはしばらくそっとしておいてあげよう。
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