そして当日、O女大附属へ。
その日の朝の課内ミーティングで今週の予定を聞かれ、
「今日のO女大附属小の抽選結果次第です」
と答えた私。課長の石山さん(仮名)は事情を知っているので、「そっか受かるといいよなあ」と相変わらず優しかったりする。
持つべきものは話のわかる上司だ。
さてO女大附属である。
構内は厳かな空気に満ちている。12月のキリリと冷えた澄んだ冬空のよう。
「今日選ばれる方は純粋に運だけです。ただそれだけです」
と校長先生のお言葉。
立会人のもと番号の入った玉が何度もかき混ぜられ、番号が読み上げられていく。
Aグループの志願者608名中選ばれるのは50名、うちの娘が属するBグループはなんと一番志願者が多くて639人中50名、Cグループは546名中50名が選ばれる。
倍率50倍と書いたがこの時点では10倍強といったところか。
さらに2次試験で3分の1に削られ、3次抽選でさらに2分の1に減らされるのだという。
なんと気の遠い道のりか。
確かに宝くじ並の倍率だけど、それでも確実に受かる人は存在するのだ。
しかしここの2次試験は3時間と長丁場ではあるが、ペーパーはなく行動観察と口頭試問だ。しっかり者のうちの娘なら抽選さえ通れば、2次試験はなんとかなるんじゃないか。
だってここの学校はうちの娘には向いていそうなんだもん。
抽選機から排出される玉の番号がどんどん読み上げられていく。
いつまで経ってもこの抽選というのには慣れない。私の持っている番号は199番。
「199番199番」とずっと心の中で番号を唱え続けている。
この場にいる保護者たち全員が同じようにそれぞれの番号を胸に秘め、祈るような気持ちで唱え続けているのだろう。
心臓がバクバク音を立てているのを鎮めつつ、選ばれた番号を見ているとなぜか500番台というのが多く出ている。
泰子は10番以内、最低でも100番以内と言っていたが、意外と出ていない。
ほんと、こういうのってわかんないものだよなあ~。
そして199番という番号は最後まで読み上げられることなく、それに近い番号もかすりもせず、当選番号がすべて出揃った。
終わった。やっぱり私にくじ運などあろうはずはなく、娘よ、すまんと心で詫びるばかり。
しょんぼりしながら表に出ると、由美子さん(仮名)とタケル(仮名)も来ていた。
「今日は洋子じゃないんだね」
とタケルに声をかけると、由美子さんとタケルが声を揃えて、
「やっぱこの倍率じゃあ無理だわ」
と言った。
「うちももちろんかすりもしなかったよ」
深くため息をつくと、由美子さんから「さあ、私たちはまだT大附属T小が残ってるのよ!」と叱咤される。
T大附属T小はハナっから受験しなかったタケルのところは、これでお受験は終了だ。
「うちはこれからランドセル買いに行くっすよ」
と自嘲気味のタケル。
あ~あ、これで背水の陣だ。
最難関のT大附属T小を残すのみとなってしまった。
ちなみにすべての小学校受験の最終日程に当たるT大附属T小ではまず合格者の辞退者はいない。それゆえに辞退者を見込んで余分に合格者を出したり、2次募集があるわけではない。
2次試験の受験者はひたすらT大附属T小を親子で怒涛のごとく目指すのみなのだ。
あ~あ、あとがないよ。あとが!
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