2009年5月12日火曜日

佑子さんの場合①

「行ってきたよ。銀座」
詩音ちゃん(仮名)ママこと里美さん(仮名)の報告を聞いた翌週、莉奈ちゃん(仮名)ママこと佑子さん(仮名)が、そうおもむろに切り出した。
彼女とは、バレエのママ友であるが、それと同時に保育園でも娘と同じクラスのママ友でもある。
 娘も莉奈ちゃんも0歳児のころから保育園に入っていたので、お互い子供同士が赤ちゃんだったころから知っている、いわば働くママとしては古くからの同志といったところか。
 莉奈ちゃんには3つ違いのお兄ちゃんと2つ違いの弟がおり、3人の子供を抱えながら、SEとしてバリバリ働いているので彼女はいつも忙しい。
 私より年下だがほぼ同世代なので、私としては話しやすい相手である。

 そんな佑子さんには悩みがあった。
 それは莉奈ちゃんのお兄ちゃん昇平くん(仮名)のことだ。
彼が小学生になったとたん問題が続出した。もともと自由人で束縛されるのが嫌いな昇平くんの元来の性格は、集団生活での規律を重んじる学校教育と相性が悪かったらしく、さらには担任の先生との相性もよくなかったことが拍車をかけ、問題児のレッテルを貼られてしまった。
 昇平くんは友だち付き合いにも困難を感じていて、友だちとの間にトラブルを抱え、勉強も頭はいいのだが集中力が続かず、嫌いな先生の授業では教室を抜け出してしまうらしい。
 バレエの待ち時間にママたちでくっちゃべっているときに、佑子さんが昇平くんについて話すことでストレス発散をしていたが、たった1週間の間に何せ昇平くんはいろいろとしでかすのである。
 私が銀座の先生の話をしたときに、まっさきに食いついてきたのは佑子さんだった。

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