2009年5月12日火曜日

佑子さんの場合②

「おお~、どうだった?」
「結論から言うとね、気は楽になったよ。確かに美央さんの言う通りすごくあの先生いいね」
「おお、そいつはよかったよ。で、昇平くんのこと、なんて言われたの?」
「いや、それがね・・・」

佑子さんの話によると、まずいつもの守護霊とか悪いものとかが憑いていないかどうかを見てもらう儀式を済ませたあと、先生が最初に言い出したことは佑子さんのお母さんの健康状態のことだったという。
 たまたまお母さんの写真を持っていたので、先生に見せたところお母さんのことをあれこれ言われ、そのあと一緒に写真に写っていた一番下の男の子のことをあれこれ言いだし、そのあとは佑子さんの仕事の話になり、いつまで経っても昇平くんの話が出なかったという。
 40分ほど経ったころに業を煮やした佑子さんから、
「あの~、うち実はもう2人子どもがいるんですけど・・・」
と切り出し、
「え? そうなの? あと2人もいるの? あら、全然わからなかったわ!」
と先生もびっくりしていたそうだ。
 あわてて2人の生年月日を聞いた先生の第一声は、
「この子たちとさっきの男の子のパパって同じ人?」
だったそうだ。
いや、どう考えてもあのパパの子だろう。思わず佑子さんのダンナさんの顔を思い浮かべる。3人とも雰囲気こそ違えど、みなそれぞれパパとママの特徴を引き継いでいる。

「うーん、ふたりとも変わっている・・・」
と先生は腕組みをし、莉奈ちゃんのことは秀才タイプで将来仕事と収入が結びつくタイプだと断言したそうだ。
 ただ昇平くんに対しては、「微妙だなあ~」と何やら考え込んでしまい、
「下手すれば犯罪者」
などど言い出し、佑子さんの肝を冷やしたらしい。

 そこで佑子さんは昇平くんに関する悩みを先生に打ち明けたところ、先生の見立ては以下の通り。
 まず昇平くんは学校という場が合わないタイプらしく、それで今は周りから浮いてしまっているが、中学生ぐらいになれば落ち着く可能性があるということ。
 とにかく彼の人格を否定することはタブーで、彼の言うことにきちんと耳を傾けてあげること。
 科学とか考古学とかに才能があり、うまく彼の個性を生かせてあげれば将来専門分野で博士とかになる可能性がかなり高いこと。
 本人が好きで得意な分野を伸ばしてあげなければ、どう転んでいくか微妙なこと。
 仕事に関しては莉奈ちゃんと違い、キャリアと収入が結びつかないタイプだという。
 「けどちゃんと人格を認めてあげて、興味のあることに打ち込むようにしてあげればいいってことだったから安心したよ。実際これからそうさせてあげたいと考えてたからね」
 と佑子さんは朗らかな表情を見せた。

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