2009年5月19日火曜日

2008年6月のある日の夜①

 何かを生み出したいというかつてないほどの創作意欲を持て余しつつも、ちょっとずつしか半自伝的小説「エッサウィラ」を書き進めるしかなかった私。
 もちろん言い訳はすぐにでも100個ぐらい挙げられる。
 フルタイムで仕事をしている。誰も締切なんて設定してくれない。子どもがふたりいる。習い事をしていてそれどころではない等など。

 6月に入ってからさすがに以前よりは進んだので、再度T書店の本田くん(仮名)に送った。
 編集者として本田くんの何が素晴らしいかといえば、真っ先に挙げられるのはレスポンスの速さだ。
 これはかつて編集者だった私自身に対する反省点でもあるのだが、執筆という作業はとても孤独なものだ。
書き進めながらもいいんだか、悪いんだかよくわからならいが、とにかく書くしかなくて書いている。
もしかしたら自分の書いているものは完ぺきだ、一字一句たりともいじらせないと自信満々で文章を書いている人もいるかもしれないが、そういう人がいるのなら、うらやましい限りだ。
私の場合は恐々、オドオドとこんなん書いてみましたけど、どないいたしましょう?ともう気分は一昔前に一世を風靡したアイフルのCMのチワワのようだ。(意味不明)
そんなんなので、勇気を振り絞ってせっかく編集者に見せたのに、何もレスポンスがなかったりとか、いまだにお目にかかった経験はないが、強面の編集者でビジバジと赤を入れられ、「つまらん、書きなおし!」などと言われたら、しょぼ~んとなってしまう。
ごめんね、打たれ弱くて、だ。

その点、本田くんは読んだらすぐに連絡をくれて、ツボをついた感想をこれでもかこれでもかと伝えてくれる。
そういうレスポンスがあるからこそ、書き続けようと思うし、おもしろいって褒められてようやく書いたことは悪いものではなかったんだなと安心することができる。
私は誰からわかってもらえなくても、自分の信じたことをやり遂げる強い意志の持ち主ではない。
 恋愛も同じで、まったく見込みのない恋愛を、私はこの人を愛しているからという理由だけで、たとえ片思いであっても愛を全うするタイプではない。
ごめんね、ヘタレで、だ。

けどそういうのって私だけじゃなくって、ほとんどの人がそうだと思うけど(違う?)、そういう著者の孤独を編集者時代の私がちゃんと推し量っていたかといえば、はなはだ疑わしい。
せっかく精魂傾けて書いた原稿をいまひとつリアクションしなくて、傷つけてしまったライターのみなさま、翻訳家のみなさま、著者のみなさま、この場を借りて謝ります。
ごめんなさい。

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