2009年5月10日日曜日

緊急レポート第2弾! 立川フラメンコ祭りに潜入! ①

 ここ数年、毎年4月29日の昭和の日は立川の町がフラメンコ一色になる。
昭和の日=立川=フラメンコ、それぞれまったく何も結びつかないが、とにかく昭和の日は立川でフラメンコの日なのである。
 前夜祭があったり、堀江朋子さんという新進気鋭のプロのフラメンコ・ダンサーによるストリートライブがあったり、フラメンコ・ギターやカンテ(歌)が生で聴けたり、なんだかとてもすごいことになっているらしい。
 中でも見どころのひとつが総勢400名によるストリート・セビジャーナス。
 セビジャーナスとは踊りの名前で、この踊りにフラメンコのすべての基本が詰まっている(らしい)ので、たいていの教室ではまずこの踊りから習うことになる。

 私は2007年の4月から近所のカルチャーセンターのフラメンコのクラスを受講しているのだが、このクラスも例外ではなく入門クラスはセビジャーナスを習う。
 なんでもスペインの盆踊りのようなものらしく、スペイン人なら誰でも踊れるというようなことを聞いたことがあったが、実際にスペイン人の友人ジョセップに、セビジャーナスを踊れるか?と聞いたら、そんなわけあるか!と言われてしまった。
 ちなみに彼はバニョーラというバルセロナからフランス方向に車で1時間ほどの町に住む作家だ。
 バルセロナを中心とするエリアはカタルーニャ地方と言われ、フラメンコや闘牛のアンダルシアとかマドリットとかセビリアとは言語も文化もまったく違うらしい。
 私たちがスペインというとやはりそういうイメージしかないが、スペインはおおざっぱに言うと4つのエリアに分かれ、それぞれの言語、文化を誇っている。
 カタランと呼ばれるカタルーニャ語を話し、カタルーニャ語で文筆活動をおこなっているジョセップは、政府から歩く文化財的な扱いを受けているらしく、国から経済援助を受けている。
 俳句本もカタルーニャ語で出しているジョセップは、二度国の援助で日本に短期留学に来ている。
 初めて彼が日本に来た1999年にふとしたことで知り合い、ボランティアで彼に日本語を教えたのがきっかけで家族ぐるみの付き合いが始まった。
 そのときの名残でいまだに彼は私を「先生」と呼ぶ。カタルーニャを代表する作家先生に「先生」と呼ばれるとは、私もたいしたもんである(←自慢気)。

 2年半ほど前に夫の国に里帰りしたときに、ジョセップの住むバニョーラにも立ち寄った。ちょうどバニョーラから車で10分ほどのジローナという町でスリー・キングス(スペインではクリスマスよりこちらを盛大に祝う)のお祭りの盛大なパレードがおこなわれていて、大いに堪能した。
 3人の王たちがキャンディーをばら撒きながら行進していく様子を、いまだに娘は覚えていて、ジョセップがプレゼントしてくれたスリーキングスにまつわる絵本(カタルーニャ語!)をよく眺めている。
 そのときにここはカタルーニャだから文化が違うよと言うジョセップに無理やり頼んで、バルセロナのスペイン村でやっているフラメンコ・ライブに連れて行ってもらい、初めて本場のフラメンコを見た。
 圧巻だった。どれぐらいすごかったかというと、いつもボーっとしている息子(当時2歳)が目をキラキラさせて身を乗り出して食いついていた。
 
 それから3ヵ月後に近所のカルチャーセンターでフラメンコを習うことになるのだが、自慢ではないが私は体が異常に固い。そのうえリズム感がない。そして運動音痴だ。
 それに加えて日頃の大量飲酒による脳細胞破壊で記憶力がない。産後太りが解消されていないため体も重い。
 ダメすぎるぞ、私。どうするんだ、私。
 だが和子先生(仮名)に罵倒されながらも、あきらめず懲りない私。継続は力よ。それもいっしょに習っている仲間たちが素晴らしいことに尽きる。
 年齢も職業もバラバラな仲間たちだが、いっしょに怒られたり、褒められたり、発表会目指して練習したり、いっしょにフラメンコを見に行ったり、飲みに行ったり、パーティーをしたりしているうちにすっかり打ち解けてしまった。
 こんなに女同士の大人数のグループでつるむのが楽しいとは! もし20代のころの私が見たらびっくりだ。
 
 さてセビジャーナスである。この踊りは1番から4番まであって、順番にまず足の動きを習う。
パサーダとかパソ・デ・セビジャーナスとか1番から4番まで共通の足の動きもあるのだが、4パターンの足の動きをまず覚えなければいけない。それまでにおおよそ半年。
次にブラッソといって手と腕の動きがつく。1番から4番までのブラッソがつくまでにおおおよそ半年。
つまり1年あれば手と足が両方動かせるようになるので、ここまでできればなんとか人前で踊ることができる。
ただセビジャーナスはこれで完成形ではない。
さらにパリージョと呼ばれるカスタネットがつく。1番から4番までカスタネットがつくのがおおよそ1年。
今の私のレベルだ。
そしてそのあとは2人1組でペアが組めるようになれたら終了。そこまでいくのにあと1年。
うちの教室はたいてい3年間入門クラスにいてセビジャーナスを習い、それから次の踊りに進んでいくのが王道パターンだ。
セビジャーナスが終了すれば入門コースも卒業で、3年かかってやっと初級クラスに入ることができるのだ。
フラメンコとはなんと奥深いのか。

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