2009年5月14日木曜日

佑子さんの場合③

「ほかには何言われたの?」
「うん、仕事なんだけどね。1年後ぐらいに独立するらしい」
「え? そんな予定あるの?」
「考えてなかったわけじゃないんだけど、その時期が正しいのかどうかはわからないな。でも昇平は自分で勝手に勉強とかしてくれるタイプでもないから、私が家にいてちゃんとみてあげなきゃいけないような気はするんだよね。そう考えると早いほうがいいのかな」

 そうなのだ。昇平くんほど極端な例じゃなくても、子どもによっては大人がずっと見てあげたほうがいい場合もある。
 その場合、誰が見ることになるかといえばたいてい母親の役目になる。仕事を辞めれば収入は減る。けど子どもはどんどんお金がかかる。母親からの収入が減った分を父親だけの収入で補てんできればいいが、母親にキャリアがある場合はその分を父親だけで補うのは無理だ。ましてやこのご時世、父親の仕事だって今後どうなるかわからない。母親も働くことでリスクを分散するのは現在では生きていく上の知恵だ。
 ベストは自宅にいながら今までのキャリアが生かせる仕事ができ、なおかつそれなりの収入が得られることだ。
 私自身も娘が小学生になったときに、そうできればそれに越したことはないと考えている。そして先生からそうなると言われている。
 だから佑子さんの考えていることはよくわかる。

「あとね、パパに転勤の話が持ち上がるかもしれないんだって」
「そんな可能性あるの?」
「まああり得ない話じゃないだろうけど、この転勤話を断れば出世の道は絶たれるらしいけど、薄くしか出ていないし、断るかもしれないって。実際単身赴任ってことになれば、ご主人は浮気する可能性があって、家族のためにはならないから、出世しなくても断ったほうがいいんだって」

 再び佑子さんのダンナさんの顔を思い浮かべる。彼も忙しいながらもとっても子育てに協力的なパパで保育園の行事にも必ず参加しているし、送り迎えなどでもよくいっしょになる。
あのパパと浮気というのがうまく結びつかない。まあもちろん仮定の話だけど。

「で、パパにも占いの話したの?」
「うん、お金のむだだって」
「あ、うちと同じだね」
「まあ占いで何言われるか気になるからちゃんと聞いてこいよっていうダンナはちょっといやだよね」
「それは確かに。」
「ダンナっていうのは、なんでわかってくれないんだろうっていつもイライラさせられたとしても、スピリチャルなこととか、占いとかそういう科学では割り切れないことに理解がないぐらいなほうがいいかもね」
「それ絶対に言えてるよ」
 そう私たちはお互いの夫の話で盛り上がった。

0 件のコメント:

コメントを投稿