T書店の本田くん(仮名)に原稿を送ってから、例によってすぐにレスポンスをもらい、褒めてもらい気分をすっかり良くした私。
それから間髪を入れず、再度電話をくれた本田くん。
「清永さん、今日、空いてます?」
白昼会社にいるときの電話だったので、ドキマギしてしまい(嗚呼。小心者!)、コソコソと非常階段に移る私。
けど会社の非常階段はどういうわけか、手すりのところがアッパッパーになっているので(しかも7F!)、高所恐怖症の私は恐ろしさの余り、失禁寸前だ。
高いところが恐ろしいからか、会社で小説の話(しかもエロ描写あり!)を編集者とコソコソ話すやましさからか、膝がガクガクと震えている。
「今日って?」
「夜ですよ。飲みに行きましょうよ。いろいろとこの小説について話をしたいし」
「そうだねえ。じゃあ、夫に予定聞いてみる」
と言いながらも、まったくそんな予定をしていなかったので、ああ~! 今日、ロクな恰好してないじゃん!と身もだえる私。
夫に電話を入れて、今日飲みに行ってもいい?と聞くと、どうぞどうぞと快く子どもたちのお迎えと世話を引き受けてくれる。
私の夫はとてもよくできた人で、妻である私には常に社会とのつながり、友だちとの付き合いを大切にしてもらいたいと考えてくれている。
毎晩飲み歩くなどとはもちろん論外だが、小さい子どもがいてもたまにならぜひ心ゆくまで飲みにいってらっしゃいと送り出してくれる懐の深い人だ。
それでいて、自分が飲み歩くことをするわけでもない。子どもたちがもっと小さい時は、会社での付き合いですら断ってくれていたほどだ。
「そうですか、ダンナさん、いい人ですね。じゃあ、せっかくだから森田さん(仮名)と田上さん(仮名)、呼びましょうよ!」
折り返し電話を入れた私に無邪気な提案をする本田くん。
「ええ? このふたりはめっちゃ忙しいよ。当日は無理でしょ? しかも今日、金曜日だし」
「だめだったらだめでいいじゃないですか。とりあえず俺、電話してみますよ」
「だって私、今日、そんなつもりじゃなかったから、洋服イマイチだし」
「また~、人妻が何を言っているんですか。まあ、森田さんも田上さんもだめだったら、ふたりで飲めばいいんだし」
「まあそうね」
と私。どっちにしても洋服がイマイチなのは心理的にマイナスだ。私は着るものとか、化粧の有無だとか、髪型がキマっているかどうかなどで、かなり気分が左右されるタイプなのだ。
めいいっぱいキマっていると思えれば、ちょっとは自信も持てるし、ダメな日はもうごめんなさい、だ。
で、この日はどうだったかといえば、ごめんなさい度60%ぐらいかな。
「森田さんも田上さんも、今日OKですって」
それから1時間後に電話をくれた本田くん。
「え? マジで。2人ともよく当日OKだったね」
「まあ、ふたりともそうは言っても途中参加ですけどね。お前らふたりで飲むんだったら混ぜてくれよって言ってましたよ」
「あらあら」
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