2009年7月12日日曜日

銀座2回目④

 唐突に受験生が周りにいると断定された私。心当たりといえば、小4(当時)の甥っ子しかいない。
「わかりました。私の甥ですね、中学受験のために今、すごく勉強してますから。その子のことをおっしゃっているのかな」
「甥だとか姪ぐらい離れていると、そんな受験のことなんて出ないんですよ。もっと近い人、たとえばあなたのお子さんが受験を控えているんじゃないんですか?」
 まっすぐに私を見つめる先生。
 ええ~!? まさかまさか!

「いえいえ、うちの子どもたちは保育園行ってますから。そんな受験だなんて全然・・・」
「お子さんの小学校受験は考えていないんですか?」
「小学校受験ですか!?」

 田舎者の私は高校までは公立校というのが当たり前の環境で育っていた。ましてや、小学校や中学なんていうものは、試験を受けて入るところじゃなくて、家から一番近いところに無条件に入るものだという感覚が染み付いている。
 それでも昨今は私の田舎でも一部の子たちが、中学受験を考え始めたそうで、小学校から大枚をはたいて塾通いをしている。
 私の甥もそのタイプで、弟家族と同居している母などは、
 「まあ、小学校であんなに毎日塾通いさせるなんて、私らの世代にはわけわからんわ。なんで普通の中学やったらあかんのやろ。こんなことやったら今、子ども育てろって言われたら、私らもうようやらんわ」
と時代の移り変わりに嘆いている。

「小学校のね、制服が見えるんですよ。受験すれば受かりますよ」
 ええ~???
 中学受験ですら、なんだそれ~?の世界の私だ。ましてや小学校受験だなんて異次元の話だ。
田舎だと近所の公立校に行くしかないのに、東京だと、やれ、私立だとか、国立だとか学校があれこれありすぎる。
 近所の専業主婦のママたちは教育熱心な人が多くて、幼稚園に入るときに喧々諤々と、やれどこが受験に有利だの、どこだとエスカレーター式に上がっていけるだのといろいろやっていたけど、うちの子どもたちには無関係だった。
第一、 幼稚園なんてどうせ履歴書に載せないじゃん。
どうして幼稚園ごときであんなに目の色を変えて騒いでいるのか、まったく理解できなかった。

 それにうちから歩いて1分もかからないところに区立小学校があるのだ。そこは校舎もまだ新しく、保育園のお友だちの6割ぐらいは行くところだし、場所柄ハーフの子も公立小学校にしては多いので、うちの子どもたちが浮くことはない。
 うちの区は隣接する小学校の選択制をとっていて、その近所の小学校は結構人気があるらしく、違う学区からも越境入学してくる子がいるという。
 そんな小学校が歩いて1分かからないところにあるんだよ。
 それなのに受験ってどうゆうこと!?

 「本当にお子さんの受験とか考えていないんですか?」
 念押しする先生。
 「いや、全然。上の子は確かに次に年長クラスになるので、受験の年といえば年ですけど、すごーく家の近くに公立小があるし。まあ、国立なら記念でくじだけ引こうとは思ってましたけど・・・」
 「ハッキリと制服が見えてるんですよ。これどこだろう。男の子の制服が庇帽を被っていて、白いシャツに紺のブレザーで・・・」
 さらさらと制服の絵を書き込む先生。

 「なんか学習院っぽいんだよなあ~」
 学習院!? ありえねえ~!
 っていうか、学習院の制服って知らねえ~!

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