「気軽に受ければいいんですよ。記念受験で全然だいじょうぶです。ただし娘さんにプレッシャーは与えないでくださいね。うん、この子、受かるな。だいじょうぶです」
シートに「T小です」と書き込み、「記念受験でOK」と付け加える先生。
いいの? そんな断言しちゃって! 結果は1年以内に出るんだよ!
「塾とか行かなくていいんですか?」
「うーん、行ってもいいけど、無駄です。そんなの行かなくてもだいじょうぶ」
ええ? そんな都合のいいことなんてありえる?
「でも国立ってクジでしょ? すごい倍率何でしょ? 私、クジ運めちゃくちゃ悪いんですよ」
そう、私はクジ運のない女。商店街のクジでもティッシュ以上の景品(←景品というより参加賞)は当たった試しもなく、読者プレゼントもことごとくはずれ、唯一当たったのは、子どものとき「なかよし」の読者プレゼントで800円分の切手をはがきに貼って送って代わりにもらった「おはようスパンク!」の筆箱のみ!(←ただし、当たったというより、買わされたという説もあり)
「その場合はお母さんのクジ運じゃなくて、お子さんのクジ運が物を言うんです。だからお母さんのクジ運の悪さを心配する必要はないんですよ」
へえ~、そうなんだ。
「でもそのあとに弟も小学校に入るのに、違うところに行かれたら学校行事とか大変じゃないですか」
そうだ、そうだ。近くに歩いて100メートルもないようなところに区立小学校があるのに、姉弟でバラバラの小学校に行かれたら、大変じゃん! 第一送り迎えとかどうするのだ?
「弟さんの生年月日を教えてください。男の子の制服がハッキリ見えてますから、ふたり揃ってT小の可能性が高いです」
ええ~! うそぉ~!
「うわ! やっぱりこの子、天才だわ!」
息子の生年月日を調べたあとにニッコリ笑う先生。そのあとも何度も「うーん、天才、天才」とつぶやいている。
本当にそうなのか!? 息子よ!
ちょっと最近はその片鱗らしさを見せているが、基本は野生の子猿である。
「うん、ふたり揃ってT小ですね。息子さんも公立、私立、インターナショナルスクールは出てない。息子さんも受かりますよ。彼も記念でOK」
ええ~!!!! ふたり揃って国立のT小!?
そんなことってありえるの? ただでさえ、倍率が高いのにふたりとも!?
まったく思ってもみなかったことをズバズバ言われて、ドキドキする私。
もう~、まじぃ?
「ふたり揃ってなんて、結構ある話ですよ。受かる人は受かるんです。兄弟3人揃って国立なんて話もあるんだから」
へえ~! そんな人が世の中にいるとは!
「じゃあ、ふたりともT小ってわかっているんだったら、T小だけ受ければいいんですよね?」
「いや、国立は全部受けてください」
「え?」
「私立は受けなくていいです。でも国立はふたりとも全部受けてください」
うーん。意味不明。全部受けて試験慣れしろということなのか?
しかしあの野生サルの息子が試験とか、面接とか、耐えられるのだろうか? どうも想像がつかないな。
娘は確かに受験向きかもしれないけど。
「ふたりとも制服を着ています。そして中学受験も高校受験も出ていません」
なになに? それってどういうこと?
「ふたりともそのままエスカレーター式にT小からT中に行って、そのまま高校まで行く可能性が高いですね。受験は大学受験まであとはありません」
なんて都合がいいのだ! 小学校で受験勉強もしていないのに、記念受験で国立に2人の子供が揃って受かり、そのまま中学も高校も受験しないでそのまま上がって行けるなんて! しかも国立だから学費は安い。
そんな親にとって願ったり叶ったりの話が自分の身の上に起こるとはまったく想像がつかん。
よっぽど前世にいいことをしていたのか、私!?
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