「あなたのご主人のお姉さんたちが揉めるのは、似た者同士が、ときにはチームを組んで片方に対抗したり、また別の人が片方と組んで攻撃したりと、3人がそれぞれに揉めるのではなく、相手を変えながら誰かを責めるので、際限がなくなるんです」
まるで見てきたかのようなことを言う先生。
そう、その通りなのだ。義姉たちは、いつも徒党を組む。
いつもどっちにつくか油断ならないのが、2番目のお義姉さんだ。
「何か解決策とかありますか?」
「あの人たちはずーとそうやっていくでしょう。変わらないですよ」
まったく仕方がないという表情で首を小さくすくめる先生。
やっぱり優香にちょっと似ているよなあ。タレントの優香をもう少し知的にして地味にさせたような感じ。
ふんわりした感じもちょっと優香ちっくかも。
「ご主人のお父さんはこの3人からの板挟みにあって、相当ストレスを溜めています。このところ、お姉さんたちの関係がさらに悪化してませんか?」
思わず「あっ!」と小さな叫び声をあげたくなる私。
そういえばクリスマスの日、いつものように家族全員に電話をかけて、明け方ごろ寝室に戻ってきた夫が、寝ている私をわざわざ起こして、
「うちのファミリーが大変なことになってるよ。みんな、大ゲンカしてる」
と言うではないか。
かなり気になる内容ではあったけど、眠気には勝てず、
「おお、そうかそうか、そりゃ大変」
と適当に相槌を打ち、とっとと寝てしまったダメ奥さんな私。
翌日改めて夫に聞きなおすと、また3人のお義姉さんたちが揉め始めたことで、クリスマスに家族がそろって会えなくなったということを、全員からそれぞれの言い分で聞いたらしいのだ。
うちの夫もお人よしで、向こうからも頻繁に電話をかけてきてくれたり、子どもたちの誕生日には欠かさずプレゼントを送ってきてくれる3番目のお義姉さんの話を熱心に聞くだけではなく、こちらからかけないと絶対に電話なんかかけてきてくれなくて、そのくせ夫が電話をするとひたすら一方的な話ばかりする1番目のお義姉さん、2番目のお義姉さんにもわざわざ電話なんてしている。
「ケンカっていつものことじゃないの?」
またかよっという顔で聞く私に対して、
「いや、今回は違うね」
と断言していた夫。
「大変って何が大変なわけ?」
「うーん、クリスマスに会わないってことだよ」
「それが何か?」
まったく噛み合っていない私たちの会話。どうやらイギリス人にとってはクリスマスに家族が会わないってことは大事件らしいのだ。
ふう~ん。
そのときの会話が鮮やかに思い出される。
どうやらこのことがお義父さんの心を痛めているらしいのだ。
「お義姉さんたちはそれぞれの言い分をすべてお義父さんにぶつけて、彼はまともにそれを被ってしまっています。調停に入ろうとするお義父さんの行動はすべて裏目に出てしまい、何かあると今度はお義父さんのせいにされてしまっているのです」
「そういうのってどうしたらいいんですか?」
「とにかく間には絶対に入らず、解決しようとしないことです。3人から距離をとって、関わらないことです。それしか方法はありません」
「私の夫はどうしたらいいんですか?」
「あなたの御主人は巻き込まれてもいないし、今まで通り関わらないで距離を保っていればだいじょうぶですよ。お義父さんのことはご主人から、関わらず巻き込まれないようにと忠告してもらってください。そうしないと体も壊しますよ」
そうか、お義父さんがそんなことになっていたとは。でも不思議。ふつう日本だったらたいていそういう場合、姉妹たちが愚痴るのは母親のほうにじゃないの?
まあいいか、夫に帰ったら聞いてみよう。
「あと引っ越す予定ってもしかしたらありますか?」
またしても私の仕事のこととは関係のないことを切り出してくる先生。
今度は引っ越しですかあ~!?
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