「行ってきたよ。先生のところ」
子どもたちも寝静まった頃に泰子から電話が入る。
夫はすぐ近くなんだから電話なんかじゃなくて会いに行けばいいのにと、いつも言うが、そんなことは大きなお世話だ。
こういう話はなぜか電話でのほうが楽しいんだよねえ~。
「どうどうどう?」
「うーん、結論から言うとだいじょうぶなんだって」
「そうでしょう。だって真美ちゃんどっか悪そうには見えないもん」
「先生が言うにはね、体で悪いところがあると黒く見えるんだって」
「ひええ~。それ怖いね」
「で、真美ちゃんも連れていったんだけどどこも黒く見えないし、ストレスでしょうって。今年の夏ごろにはもう心配することもなくなりますよって。放っておいてもいいって言われたよ」
「良かったじゃん。そもそも、心配しすぎだって」
「実はさあ、心配するにも理由があって、テツ(仮名、泰子の元ダンナ)のお姉さんとかその子どもたちに障害があるんだよ」
「え、そうなの?」
「(ここで泰子は詳しく説明してくれるがここでは割愛)」
「そうか、だからか。なんでチックぐらいでそんなに心配するのかと不思議だったんだ」
「結果的には真美ちゃんにはまったく影響がないってことだったんだけど、テツの甥っ子と姪っ子の写真も持ってったんだよね」
「そしたら?」
「もちろん何も事前に知らせずに写真だけ見せたら、この子たちの中学受験や高校受験が見えないのは、なんでだろうって先生が言い出しちゃって、何かおかしなところがあるって言うんだよね」
「さすがは先生。恐るべし!」
「そりゃあ受験なんてするわけないよ。養護学校に行ってるんだから。でもそう言ったら先生、すごく納得してたよ」
「へえ~、あとは何を聞いたの?」
「あとは引越しとか。今年はいいって言われたよ。あとはテツのこととかかな。それとママが夏すぎぐらいに誰かに対してすごく腹を立ててるのが見えるって言ってた」
「心当たりあるの?」
「うーん、わかんないね」
「今回で2回目でしょ。全体的な印象としてはどうだったの?」
「そうだね~。1回目のときのほうが衝撃度が強かったかな。もちろん今回だって行って損したとは思わないけど」
「でもいいじゃん。心配ないってことだし」
「まあね」
とその後もしばらく深夜の長電話を続けた私たちなのであった。
それにしても体にどこか悪いところがあると黒く見えるってすごい。
その話がしばらく引っかかって、離れなかった。
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