何人かの一級建築士を呼びつけて、合い見積りを取らせて、結果弟の友だちのお兄さんの事務所に決定という田舎特有のウェットな選択を経て、我が家のリフォームは始まった。
20年前、父の友だちだからという理由だけで建築士を決めて、痛い目に遭っているはずなのに、みんななかなか学習しないものである。
そこで驚愕の事実が発覚する。
キッチンと洗面台を挟んである壁の中が腐っていたらしく、配線にも達しようとしていて、もう少し放っておいたら、漏電していたというのだ。
恐ろしすぎるぜ、それって欠陥住宅だろうがっ!
まあそんなこんながあってオカンはいよいよリフォーム工事開始が近づいてきて浮き足立っているのだ。
積年のオカンのリベンジやいかに!である。
「銀座の先生が言うにはリフォームの場合やと、家の外観が変わるって言ってたよ。そのへんどうなわけ?」
「そんなもん、変わるのは中だけやで、外身なんか変わらんわ」
「けど店舗部分がなくなるんやろ? シャッターがあったところとかどうするの?」
「そんなもん、建築家の人があんばようやってくれるで、任せとけばいいわ」
「!!!」
おいっ! いいのかそんなんで! 前だってお任せにしてえらい目に遭ってたやろうっ! いい加減人任せはやめろ。
ああ恐ろしい。あんなダメな町に長年住んでいると、しっかりしていたはずのオカンまでダメになってしまうのか。
「あと2月中はインフルエンザとかそういったウィルス性のものに気をつけろだって」
「ふん! 私は体が丈夫やで、ここ8年間ぐらい風邪なんてひとつも引いとらんわ」
「まあそういう油断が大敵なんやで、気をつけといてよ」
「でもその占い、本当に当たるんかね?」
「私的にはいいことばっかり言われとるで、当たってほしいけど」
「私も診てもらおうかな。たぶん“あなた、男(←間違いなく私の父のこと)に苦労させられてきたわね”って同情されるわ。ふう~(ためいき)」
「・・・・・」
「それにしても2万円やろ? 1日5人診たとして10万。週5回働いたとして50万。で、一ヶ月で200万! ひえええ~! いい商売やない。でアルバイト雇って一人月30万も払えばいいやろ」
「事務所は結構高そうなマンションやったよ」
「高いっていったって、せいぜい30万とか40万やろ。諸経費が毎月5万かかったとしても、粗利は6割以上はあるやろう?」
いきなり利益率を計算し始めるオカン。廃業しても未だに商売人だ。
まあ確かに言われてみれば、占いって流行れば儲かるだろうな。
そうでなきゃ、細木数子みたいに指が折れるんじゃないかと心配したくなるような巨大な宝石のついた指輪なんてとっかえひっかえできないよね。
もっとも銀座の先生からはそういった生臭い感じは漂ってこないけど。
2009年8月26日水曜日
オカンのリベンジ
それで出来上がった家はなんとも微妙な按配だった。2階はまあいいのだが、問題は一階で、うちの実家は北東に面した角地に立っていて、南側も庭で隣家とはそれなりに距離があるので、日当たりが抜群にいいはずなのに、リビングが1日中電気をつけていないと真っ暗になってしまうほど暗いのだ。
それでいてキッチンが丸見えで、居間に続く座敷は無駄に凝りまくった欄干が作られていて、ちょっと放っておくと埃まみれになってしまう。
居間(しかも畳な!)と座敷の南側に面したところには、なぜか押入れと廊下が作られていて、そのせいでせっかくの南側からの光が入らないのだが、廊下というのか縁側というのかから、なんちゃって日本庭園風の庭が見られるようになっている。
そのなんちゃってな庭が父のこだわりの集大成らしく、その庭をひねもす眺めながら、死の淵から蘇った父が、
「どや、大した家やろ。こんな家はここいらにはあらへんぞ」
と人口数百人の狭い田舎の町内で“俺様は一番”とよく自慢していたものだった。
ちなみに高度成長期に突貫で作られたこの新興住宅街は、低い山々に囲まれた盆地に作られていて、アルファベットのCを反対にしたような形になっている。
うちはその逆Cの形の入り口にあたるところにあり、入り口から中心部は一戸建てがずらりと並び、中にはそれなりに立派な家もある。
山に沿って左側には築50年の未だに家賃が1万円もしないという公団群が30棟ほど半円状に広がり、奥にはいわゆる文化住宅群が犇めき合っている。
公団には子どもの頃、友だちも住んでいたこともあってよく遊びに行ったので、まあそれなりに慣れているが、中学時代ヤンキーだったクラスメイトたちはみんなこの公団に住んでいた。かなりビーバップ率の高い地域だといえよう。
その奥の文化住宅群は、ビーバップどころか、公団エリアがお上品に見えて仕方なくなるようなアナーキーなエリアで、もはや秘境といっても良かった。
今でもたまに散歩がてらそっちのほうに行ってみると、なんなく足がすくんでしまう。今から考えると子どものいる家庭とかもなかったかもしれない。
先日も近くまで行ってみたときに、なぜかピカピカのフェラーリが泊まっていて、時折「ギョエエエエエエ~」という奇妙な声が大きくなったり小さくなったりしながら聞こえてきたり、かと思えば鶏の羽が方々に散らばったりして、ここはいったいどこでいつの時代なんだとちょっとしたトリップ感覚を味わってきたところだ。
普通、そういう形の住宅街は山に近い小高いところにお金持ちは住んでいて、低地に一般庶民が住むものだろうが、わが町は逆だった。
この町も今では老人ばかりになってしまい、若者も子どももいなくなってしまった。
それはさておき、父はこんな寂れたダメな町で「俺様は一番だ」とずっといばっていたのだ。わが親ながらアホである。
ちなみに私はこの町が子どもの頃から大嫌いで、物心ついた頃から「こんなところにいたら自分はダメになってしまう。絶対にいつか脱出してやる」と、「成り上がり」における矢沢永吉のように深く心に誓っていたのであった。
父が「このうちはここいらでは一番!」と鼻息荒く自慢するたびに、母は発狂し、
「あんたぁ~、トロいこと言っとりゃあすなよっ! こんなうち、一番なことあらすかぁ(←“あらすか”とは方言で“~であるはずがない”という意味。アメリカのアラスカ州のことではない)!! こんなしょうもない町で自慢になんかなるか! そういうのを井戸の中の蛙っていうんやわ。そのうち絶対に私の思い通りにしたるでねえ!! 覚えとりゃあよ! 人にお金だけ出させてこのままじゃすまさせんでねっ!」
と父を罵倒していたものだ。
それから月日が流れ、近所に住んでいた上の弟家族と同居を始め、商売も畳むことになったので、店舗部分が不要になり、それに伴い念願のリフォームを決行することになったのだ。
20年間、不本意な間取りに耐えに耐えたオカンのリベンジがついに始まるのだ。
オカンの反応
あまりの占い結果の良さに興奮冷めやらぬ私。ああ~、この調子に乗っている私を誰か止めて。
スーパー・ナチュラル・ハイになりながら、次の報告相手に選んだのは実家のオカン。
「もしもし、例の占いに行ってきたよ」
「あれ、今日やったんかね? どうやったね。何言われたね?」
順を追って説明する私。オカンは「うんうん」と聞いてるが、たぶん頭に入っていないだろう。きっと明日、まったく同じ話をしても、「へえ~、そうかねえ。それはびっくりやねえ」とこっちがびっくりするような反応を返してくるはずだ。
父はアルツハイマーなので、これぐらいの反応は当然なのだが、アルツハイマーでもないオカンまでなぜそうなのかというと、それはボケてるボケていないという問題ではなく、彼女は基本的に人に話を聞くということができないからだ。
その証拠にオカンは違う話題に変わりたくて仕方なさそうなレスポンスをし、一瞬の隙を突いて、さっそく話の主導権を奪う。
「あんた、そんなことよりも(←なんだよ、そんなことよりもって! 人の話をなんだと思ってる!! 怒)、うちのリフォームのことやて」
そうなのだ。オカンはここしばらく家のリフォーム以外のことは考えられず、寝ても醒めてもリフォーム、リフォームなのだ。
なぜなら今からちょうど20年前。家を建て直したときに、まだ当時イケイケだった父がオカンの意見を一切無視して、勝手に図面を引き(←おいおい! 素人が乱暴すぎるだろっ)、連れの大工に言われるがまま、ぼったくられるまま、独断でゴーサインを出してしまったのだ。
しかも家の取り壊しが済んでまもなくというときに、あろうことか父は夜中、一通を80キロオーバーで逆送し、燃料を積んだトラックが正面衝突して大破。幸い相手方はかすり傷ですんだが、シートベルトをしていなかった横着な父は、体ごとウィンドから車外に放り投げられ、そのあとトラックは炎上、爆発という大惨事に。
まあシートベルトをしていなかったから助かったのだか、その後集中治療室で生死をさまよい、一週間後に意識を取り戻し・・・、まあそのときいろいろと大変なことがあったのだが、それはまた別の機会でということで、そんなこんなもあり、日頃だったらそんな無茶な家は建てられなかっただろうが、すっかり憔悴しきったオカンは、言われるがまま、オカンが貯めに貯めた虎の子を全額キャッシュで支払ったのだ。
スーパー・ナチュラル・ハイになりながら、次の報告相手に選んだのは実家のオカン。
「もしもし、例の占いに行ってきたよ」
「あれ、今日やったんかね? どうやったね。何言われたね?」
順を追って説明する私。オカンは「うんうん」と聞いてるが、たぶん頭に入っていないだろう。きっと明日、まったく同じ話をしても、「へえ~、そうかねえ。それはびっくりやねえ」とこっちがびっくりするような反応を返してくるはずだ。
父はアルツハイマーなので、これぐらいの反応は当然なのだが、アルツハイマーでもないオカンまでなぜそうなのかというと、それはボケてるボケていないという問題ではなく、彼女は基本的に人に話を聞くということができないからだ。
その証拠にオカンは違う話題に変わりたくて仕方なさそうなレスポンスをし、一瞬の隙を突いて、さっそく話の主導権を奪う。
「あんた、そんなことよりも(←なんだよ、そんなことよりもって! 人の話をなんだと思ってる!! 怒)、うちのリフォームのことやて」
そうなのだ。オカンはここしばらく家のリフォーム以外のことは考えられず、寝ても醒めてもリフォーム、リフォームなのだ。
なぜなら今からちょうど20年前。家を建て直したときに、まだ当時イケイケだった父がオカンの意見を一切無視して、勝手に図面を引き(←おいおい! 素人が乱暴すぎるだろっ)、連れの大工に言われるがまま、ぼったくられるまま、独断でゴーサインを出してしまったのだ。
しかも家の取り壊しが済んでまもなくというときに、あろうことか父は夜中、一通を80キロオーバーで逆送し、燃料を積んだトラックが正面衝突して大破。幸い相手方はかすり傷ですんだが、シートベルトをしていなかった横着な父は、体ごとウィンドから車外に放り投げられ、そのあとトラックは炎上、爆発という大惨事に。
まあシートベルトをしていなかったから助かったのだか、その後集中治療室で生死をさまよい、一週間後に意識を取り戻し・・・、まあそのときいろいろと大変なことがあったのだが、それはまた別の機会でということで、そんなこんなもあり、日頃だったらそんな無茶な家は建てられなかっただろうが、すっかり憔悴しきったオカンは、言われるがまま、オカンが貯めに貯めた虎の子を全額キャッシュで支払ったのだ。
2009年8月22日土曜日
夫の反応
ルンルン気分で家に帰る。
すでに夫が夕食を準備してくれていて、ちょうど私が帰ったときは夕食が終わりかけていたときだった。
その日はトマトソースのパスタとサラダと魚のソテーがテーブルの上に乗っていて、子どもたちと入れ違いに、私もワインといっしょに夕食をつまみ始める。
「で、どうだったの? その高い占いは?」
夫が皮肉交じりに聞く。
占い結果を、順を追って説明する。
「そうそう、お義父さんが姉妹のけんかのトラブルに巻き込まれているって話だけど、ああいうのって間に入るのは普通、お義母さんじゃないの?」
「普通はそうかもしれないけど、マザーは知らんぷりしてるからねえ。実際、間に入っているのはファーザーで、大変らしいよ。しかし、そんなことまで占いで出るの?」
「じゃあ当たってるんだね?」
「うん。その点は間違いなし。それに対処法は関わらないことってその通りだと思うし」
珍しく占い結果に感心している夫。
「あとさ、どうする? 子どもたち。本当に国立受かっちゃったら? 受かったらバス通学だよ。送り迎えとかどうするの?」
「そんなこと、受かってから考えればいいじゃん。そんな宝くじ並みに倍率が高いところなんて受かるわけないじゃん。どうせなら宝くじが当たればいいのに」
「だから宝くじは当たんないんだって」
「じゃあ、その占いも当たらないよ」
「いいじゃん、48歳から仕事運が良くなるらしいんだから。勉強もいいらしいよ」
「・・・その勉強なんだけど、2つのコースもいっぺんに取っちゃったこともあって、しんどいよ。ちょっとの期間、休むって大学にメール出しといたから」
「・・・それって、すでに占い、当たってるよ」
「なんだって?」
「だって先生、休み休みでいいから最後まで続けろって言ってたから。ご主人ストレスになってますねって、先生、わかってたよ」
「へえ~」
「じゃあ、そういうことだから。ママにも報告しなくっちゃ」
そして私はそのあと速攻で実家のオカンに電話を入れた。
すでに夫が夕食を準備してくれていて、ちょうど私が帰ったときは夕食が終わりかけていたときだった。
その日はトマトソースのパスタとサラダと魚のソテーがテーブルの上に乗っていて、子どもたちと入れ違いに、私もワインといっしょに夕食をつまみ始める。
「で、どうだったの? その高い占いは?」
夫が皮肉交じりに聞く。
占い結果を、順を追って説明する。
「そうそう、お義父さんが姉妹のけんかのトラブルに巻き込まれているって話だけど、ああいうのって間に入るのは普通、お義母さんじゃないの?」
「普通はそうかもしれないけど、マザーは知らんぷりしてるからねえ。実際、間に入っているのはファーザーで、大変らしいよ。しかし、そんなことまで占いで出るの?」
「じゃあ当たってるんだね?」
「うん。その点は間違いなし。それに対処法は関わらないことってその通りだと思うし」
珍しく占い結果に感心している夫。
「あとさ、どうする? 子どもたち。本当に国立受かっちゃったら? 受かったらバス通学だよ。送り迎えとかどうするの?」
「そんなこと、受かってから考えればいいじゃん。そんな宝くじ並みに倍率が高いところなんて受かるわけないじゃん。どうせなら宝くじが当たればいいのに」
「だから宝くじは当たんないんだって」
「じゃあ、その占いも当たらないよ」
「いいじゃん、48歳から仕事運が良くなるらしいんだから。勉強もいいらしいよ」
「・・・その勉強なんだけど、2つのコースもいっぺんに取っちゃったこともあって、しんどいよ。ちょっとの期間、休むって大学にメール出しといたから」
「・・・それって、すでに占い、当たってるよ」
「なんだって?」
「だって先生、休み休みでいいから最後まで続けろって言ってたから。ご主人ストレスになってますねって、先生、わかってたよ」
「へえ~」
「じゃあ、そういうことだから。ママにも報告しなくっちゃ」
そして私はそのあと速攻で実家のオカンに電話を入れた。
2009年8月21日金曜日
銀座2回目⑲
2回目の占いで銀座の先生に言われたことをまとめると以下の通り。
・子どもたちは国立のT小学校に揃って入る。記念受験でよく、受験勉強は不要だが、国立は全部受けること。
・子どもたちが中学受験と高校受験をする予定がない。高校まで国立の附属でエスカレーター式に行く。
・娘はイギリスか日本の大学に進学し、息子はそれ以外(たぶんアメリカ)の大学に進学する。息子は医学系か芸術系で学費がかかるところに行く。
・夫のお父さんが夫の姉妹たちの仲が悪いことからトラブルに巻き込まれている。対処法は距離を置き、関わらないこと。
・私の実家の引越し(=リフォーム)が見える。家の外観がずいぶん変わる。
・2月中は母が風邪など引かないように注意すること。父のアルツハイマーは気にしなくていい。
・私の仕事が3本見える。1本は会社の仕事。でも薄くなっていく。前みたいに嫌な仕事はさせられていないのが見える。今辞めてもいいが、1~2年後のほうがいい。その後はフリーになる。数人で集って先生と呼ばれる教えたり、伝えたりする仕事と、書く仕事。
・先生と呼ばれる仕事は5月、7月、9月にボランティアで何か頼まれる。そのうち仕事になるので、断らないこと。
・書く仕事はとにかく2010年まで書き続けること。才能もあり世に出る。本も何冊も出版する。英語版は家族が英訳してくれる。
・今年から人脈が広がる。とにかく書いていることを言いまくる。今夜からでもブログを始めること。
・収入は会社を辞めたあと半減はしないが、45歳までは今より少し少ない。45歳でトントンになり、50歳から今より増える。
・ペンネームは本名を使うのは微妙。「清永美央(しみずみお)」がいい。
・夫はいい配偶者。今勉強を頑張っているのが見える。長丁場になるので時々休んでも必ずやり遂げること。本人が考えている以上に成果が出る。今年の春転職運あり。ただ48歳からのほうが上昇運に乗る。50歳で花が咲き、収入も大幅増。
・老後は豊か。イギリスに投機目的で家を買う。国内では賃貸で子どもたちが大きくなったときにもう一度引っ越す。ただし賃貸。子どもたちが大きくなるまでは海外は旅行する程度。子どもたちが大きくなったら、日本とイギリスを行ったり来たりする。
・娘はマジメで息子は天才。息子は世界で活躍する可能性が高い。ただし気まぐれなので興味のあることしかやらない。努力することを覚えること。
・娘のバレエとピアノはとてもいい。続けること。息子のバレエは続かない。ピアノはいい。あとサッカーや乗馬もいい。
・守護霊がフルーツを使ったパイを気に入っている。パイナップルのパイを食べたいらしい。
「こうやってお話を聞くと、私の未来ってめちゃくちゃ明るいですね! いいことばっかりじゃないですか!」
「そうですよ。だから何も心配しなくてだいじょうぶですよ。私も楽しみにしてるんですよ。あなたの未来には」
そう先生がニッコリと微笑んだときに、「もうお時間ですよ!」とドアをコツコツと叩く音がした。
診てもらってからきっかり1時間が経過していて、扉を開けると髪をところどころ脱色した幸薄そうな派手なんだか地味なんだかよくわからない若い女性が暗い顔をして待っていた。
「あなたが今日最後だったらもう少し診てあげられたんだけど・・・」
先生が何か言いたそうな顔をする。
まったく道に迷って遅れたことが悔やまれる。
けどおおよそ聞きたいことは全部聞いたし。
前回よりも明るい結果に胸踊り、ドキドキする私。
本当に先生の言う通りの未来が開けるなら最高だ。
・子どもたちは国立のT小学校に揃って入る。記念受験でよく、受験勉強は不要だが、国立は全部受けること。
・子どもたちが中学受験と高校受験をする予定がない。高校まで国立の附属でエスカレーター式に行く。
・娘はイギリスか日本の大学に進学し、息子はそれ以外(たぶんアメリカ)の大学に進学する。息子は医学系か芸術系で学費がかかるところに行く。
・夫のお父さんが夫の姉妹たちの仲が悪いことからトラブルに巻き込まれている。対処法は距離を置き、関わらないこと。
・私の実家の引越し(=リフォーム)が見える。家の外観がずいぶん変わる。
・2月中は母が風邪など引かないように注意すること。父のアルツハイマーは気にしなくていい。
・私の仕事が3本見える。1本は会社の仕事。でも薄くなっていく。前みたいに嫌な仕事はさせられていないのが見える。今辞めてもいいが、1~2年後のほうがいい。その後はフリーになる。数人で集って先生と呼ばれる教えたり、伝えたりする仕事と、書く仕事。
・先生と呼ばれる仕事は5月、7月、9月にボランティアで何か頼まれる。そのうち仕事になるので、断らないこと。
・書く仕事はとにかく2010年まで書き続けること。才能もあり世に出る。本も何冊も出版する。英語版は家族が英訳してくれる。
・今年から人脈が広がる。とにかく書いていることを言いまくる。今夜からでもブログを始めること。
・収入は会社を辞めたあと半減はしないが、45歳までは今より少し少ない。45歳でトントンになり、50歳から今より増える。
・ペンネームは本名を使うのは微妙。「清永美央(しみずみお)」がいい。
・夫はいい配偶者。今勉強を頑張っているのが見える。長丁場になるので時々休んでも必ずやり遂げること。本人が考えている以上に成果が出る。今年の春転職運あり。ただ48歳からのほうが上昇運に乗る。50歳で花が咲き、収入も大幅増。
・老後は豊か。イギリスに投機目的で家を買う。国内では賃貸で子どもたちが大きくなったときにもう一度引っ越す。ただし賃貸。子どもたちが大きくなるまでは海外は旅行する程度。子どもたちが大きくなったら、日本とイギリスを行ったり来たりする。
・娘はマジメで息子は天才。息子は世界で活躍する可能性が高い。ただし気まぐれなので興味のあることしかやらない。努力することを覚えること。
・娘のバレエとピアノはとてもいい。続けること。息子のバレエは続かない。ピアノはいい。あとサッカーや乗馬もいい。
・守護霊がフルーツを使ったパイを気に入っている。パイナップルのパイを食べたいらしい。
「こうやってお話を聞くと、私の未来ってめちゃくちゃ明るいですね! いいことばっかりじゃないですか!」
「そうですよ。だから何も心配しなくてだいじょうぶですよ。私も楽しみにしてるんですよ。あなたの未来には」
そう先生がニッコリと微笑んだときに、「もうお時間ですよ!」とドアをコツコツと叩く音がした。
診てもらってからきっかり1時間が経過していて、扉を開けると髪をところどころ脱色した幸薄そうな派手なんだか地味なんだかよくわからない若い女性が暗い顔をして待っていた。
「あなたが今日最後だったらもう少し診てあげられたんだけど・・・」
先生が何か言いたそうな顔をする。
まったく道に迷って遅れたことが悔やまれる。
けどおおよそ聞きたいことは全部聞いたし。
前回よりも明るい結果に胸踊り、ドキドキする私。
本当に先生の言う通りの未来が開けるなら最高だ。
2009年8月16日日曜日
銀座2回目⑱
「子どもたちは将来、結婚もするし孫だってちゃんと見れますよ」
それは前回聞いたとおり。
「仕事もちゃんと手に職を持ってやっていけますか?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。ふたりともちゃんと専門分野でそれぞれ活躍しますよ。向いている仕事はさっきも言った通り」
おお、よかった、よかった。
「それはそうと、最近果物を使ったパイ?ですかねえ? そういったものを作りましたか?」
「パイですか?」
「あなたの守護霊があなたが作った果物のパイがとってもおいしかったって、おっしゃっているんです」
「私の守護霊がですか!?」
なんだよ~、それ~。守護霊って味覚があるの? もしかして貧しい食生活とかしていたら、「もっとうまいもん、食えよ!」とかって、守護霊様に渇を入れられたりするのかしら?
「また作ってほしいそうですよ」
うわ! 食べたいものをリクエストする守護霊。毎晩、今日はカレーが食べたいだの、焼肉にしてくれだの、刺身にしろだの催促されたらイヤだろうなあ。
「夫が作ったものじゃなくって、私が作ったものですか?」
「ええ、あなたが作ったものだそうです」
私は酒飲みなので、基本的に甘いものは家では食べない。ましてやお菓子作りはきっちりきっちり材料を量って作らないといけないので、男の料理的にガガァーと混ぜて、チャチャチャと作るアバウトなクッキングスタイルの私には、スイーツ作りは似合わない。っていうのか、めんどくさい。
だからパイなんてそんなひちめんどくさいもんなんか、作るわけないじゃないの!
それに引き換え、マメな夫は毎週末手作りのパンを焼いたり、母の日にはなぜかチーズケーキを焼いてくれたり、毎年子どもたちの誕生日ケーキを焼いたり、極めつけはなんといっても私たちのウェディングケーキは新郎の夫の手作りだったのだ。
しかし突如、私の頭の中で♪チャラララアア~ン、チャラララタアターン♪(←バッハの超有名オルガン曲「トッカーターとフガー」)とメロディが鳴り響く。決して嘉門達夫の「♪タララーン 鼻から牛乳~♪」ではない。
思い出したのだ。
そうだそうだ、確かに作りましたよ。パイ。2ヶ月ほど前に!!
あれは2ヶ月ほど前のことだ。定年退職した元上司・鋼鉄の女こと、稲橋さん(仮名)のところに、何人かで遊びに行って夕食をご馳走になったのだ。
料理上手な彼女はこれでもかとたくさんおいしい料理を作ってくれていて、最後に出てきたのが、「りんごのタルト」だったのだ。
「うわ~、これおいしいですねえ」とみんなで言いながら食べていたら、「これ、めちゃめちゃ簡単なのよ」という話になり、誰かが「レシピを教えてくださいよ」と言い出したので、翌日さっそく全員のPCに鋼鉄の女から、懇切丁寧なレシピ(写真つき)が送られてきたのだ。
こんなものが送られてきて、放っておくなんて小心者の私にはできないね! だってコメントにはしっかりと「清永さんは特に適当に作らないこと。分量をはかって!」と名指しで書かれていたのだ。
恐ろしい。
そしてその週末、いそいそと鋼鉄の女のレシピに従って「りんごのタルト」を作ったのだ。
お味のほうはといえば、子どもたちにも好評であっというまに平らげてしまった。
もちろん、さっそく写メールで鋼鉄の女に作ったタルトの出来栄えを送り、速攻で「りんごの並べ方が汚い! きちんと縁に沿って円く並べること!」とダメだしを喰らってしまったが、結局ちゃんと作ったのは私だけだったらしく、のちに別の人に「清永さんのああいうところはかわいい」と鋼鉄の女は語ったという。
まあ鋼鉄の女が怖いばっかりに普通だったら作るはずもない「りんごのタルト」を作るハメになったのだが、先生はこのことを言っているのだろうか。
「パイナップルのパイ?」
「はあ?」
「パイナップルのパイってあるんですかねえ?」
「さあ? あるといえばあるかもしれませんけど」
「あなたの守護霊がパイナップルのパイを作ってほしいって言ってるんですよ。意味わかりますか?」
「いや、わかんないです」
「ご主人と協力してもいいから、パイナップルのパイを作れって言ってるんですけど、私もパイナップルのパイってなんだか想像できないんですよ。けどこれを作ることで何か新展開があるかもしれないってことみたいですけど」
「へえ~。まあでもそういうことなら作ってみてもいいですけど」
「ぜひそうしてあげてください。楽しみにしているそうですよ」
私の守護霊様って甘党なのかしら?
それは前回聞いたとおり。
「仕事もちゃんと手に職を持ってやっていけますか?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。ふたりともちゃんと専門分野でそれぞれ活躍しますよ。向いている仕事はさっきも言った通り」
おお、よかった、よかった。
「それはそうと、最近果物を使ったパイ?ですかねえ? そういったものを作りましたか?」
「パイですか?」
「あなたの守護霊があなたが作った果物のパイがとってもおいしかったって、おっしゃっているんです」
「私の守護霊がですか!?」
なんだよ~、それ~。守護霊って味覚があるの? もしかして貧しい食生活とかしていたら、「もっとうまいもん、食えよ!」とかって、守護霊様に渇を入れられたりするのかしら?
「また作ってほしいそうですよ」
うわ! 食べたいものをリクエストする守護霊。毎晩、今日はカレーが食べたいだの、焼肉にしてくれだの、刺身にしろだの催促されたらイヤだろうなあ。
「夫が作ったものじゃなくって、私が作ったものですか?」
「ええ、あなたが作ったものだそうです」
私は酒飲みなので、基本的に甘いものは家では食べない。ましてやお菓子作りはきっちりきっちり材料を量って作らないといけないので、男の料理的にガガァーと混ぜて、チャチャチャと作るアバウトなクッキングスタイルの私には、スイーツ作りは似合わない。っていうのか、めんどくさい。
だからパイなんてそんなひちめんどくさいもんなんか、作るわけないじゃないの!
それに引き換え、マメな夫は毎週末手作りのパンを焼いたり、母の日にはなぜかチーズケーキを焼いてくれたり、毎年子どもたちの誕生日ケーキを焼いたり、極めつけはなんといっても私たちのウェディングケーキは新郎の夫の手作りだったのだ。
しかし突如、私の頭の中で♪チャラララアア~ン、チャラララタアターン♪(←バッハの超有名オルガン曲「トッカーターとフガー」)とメロディが鳴り響く。決して嘉門達夫の「♪タララーン 鼻から牛乳~♪」ではない。
思い出したのだ。
そうだそうだ、確かに作りましたよ。パイ。2ヶ月ほど前に!!
あれは2ヶ月ほど前のことだ。定年退職した元上司・鋼鉄の女こと、稲橋さん(仮名)のところに、何人かで遊びに行って夕食をご馳走になったのだ。
料理上手な彼女はこれでもかとたくさんおいしい料理を作ってくれていて、最後に出てきたのが、「りんごのタルト」だったのだ。
「うわ~、これおいしいですねえ」とみんなで言いながら食べていたら、「これ、めちゃめちゃ簡単なのよ」という話になり、誰かが「レシピを教えてくださいよ」と言い出したので、翌日さっそく全員のPCに鋼鉄の女から、懇切丁寧なレシピ(写真つき)が送られてきたのだ。
こんなものが送られてきて、放っておくなんて小心者の私にはできないね! だってコメントにはしっかりと「清永さんは特に適当に作らないこと。分量をはかって!」と名指しで書かれていたのだ。
恐ろしい。
そしてその週末、いそいそと鋼鉄の女のレシピに従って「りんごのタルト」を作ったのだ。
お味のほうはといえば、子どもたちにも好評であっというまに平らげてしまった。
もちろん、さっそく写メールで鋼鉄の女に作ったタルトの出来栄えを送り、速攻で「りんごの並べ方が汚い! きちんと縁に沿って円く並べること!」とダメだしを喰らってしまったが、結局ちゃんと作ったのは私だけだったらしく、のちに別の人に「清永さんのああいうところはかわいい」と鋼鉄の女は語ったという。
まあ鋼鉄の女が怖いばっかりに普通だったら作るはずもない「りんごのタルト」を作るハメになったのだが、先生はこのことを言っているのだろうか。
「パイナップルのパイ?」
「はあ?」
「パイナップルのパイってあるんですかねえ?」
「さあ? あるといえばあるかもしれませんけど」
「あなたの守護霊がパイナップルのパイを作ってほしいって言ってるんですよ。意味わかりますか?」
「いや、わかんないです」
「ご主人と協力してもいいから、パイナップルのパイを作れって言ってるんですけど、私もパイナップルのパイってなんだか想像できないんですよ。けどこれを作ることで何か新展開があるかもしれないってことみたいですけど」
「へえ~。まあでもそういうことなら作ってみてもいいですけど」
「ぜひそうしてあげてください。楽しみにしているそうですよ」
私の守護霊様って甘党なのかしら?
銀座2回目⑰
「ご主人が48歳過ぎたら収入もドーンと上がりますよ」
やったあ~!! ドーンっとだって! いいぞ、いいぞ~。
「あなたも50歳過ぎたら収入が増えますから、豊かな老後を過ごせますよ」
キャッホウ~!!
「下の男の子の学費が大学でかかりそうですけど、それもそのときのあなたたちの収入ならだいじょうぶ」
イエーイ!
「海外生活とかありますかねえ?」
「子どもたちが大きくなるまでは、海外は旅行ぐらいですかねえ。あとはイギリスと日本を行ったり来たりかな」
「宝くじとか当たります?」
「それは当たりません(キッパリ)」
ちぇっ! なんだ、つまんないの。
「子どもたちの習い事はどうでしょう? たとえば娘はバレエとピアノをやっているんですけど」
「両方ともいいですよ。娘さんは努力家だからコツコツやっているでしょう。長く続けることが大事ですから、娘さんにとっていいことですよ」
「息子なんですけど、息子には今年の4月からバレエを、小学生ぐらいになったらピアノをやらせたいんですけど」
「バレエですか・・・・うーん、息子さんにバレエは微妙だなあ~。だめじゃないけど、この子、すぐに辞めますよ。好きなことしかしないから」
「え!? バレエだめですか?」
ガーン! 夫はいまひとつ賛成してくれないけど、私は男の子がバレエをやるのはカッコいいと思っていて、しかも女の子と違って圧倒的に男子のバレエ人口は少ないから、どれだけへタレでも必ず王子役は子ども時代、ゲットできるというメリットがある。
しかも親バカかもしれないが、うちの息子はイケメンである。伊達にハーフじゃないぞ。
実際に娘のバレエの先生に、「息子もバレエを習わせたい」と相談したら、「ぜひ♡」と瞳をウルウルさせ、「なんだったら、私、養子にしてでもあの子だったら徹底的に教育しますよ」とまで、言ってくれていたのだ。
先生にバレエはいまひとつと言われたって、引けないわ。
「ピアノはいいですよ。彼には芸術的なことをさせてあげてください。とにかくこの子はコツコツと努力することが必要です。あと駆け巡るようなこともいいですよ」
「駆け巡るってサッカーとかですか?」
「サッカーもいいですねえ。あと乗馬もいいですよ」
おい、それこそ学習院のお坊ちゃまの趣味じゃないの!?…………….
やったあ~!! ドーンっとだって! いいぞ、いいぞ~。
「あなたも50歳過ぎたら収入が増えますから、豊かな老後を過ごせますよ」
キャッホウ~!!
「下の男の子の学費が大学でかかりそうですけど、それもそのときのあなたたちの収入ならだいじょうぶ」
イエーイ!
「海外生活とかありますかねえ?」
「子どもたちが大きくなるまでは、海外は旅行ぐらいですかねえ。あとはイギリスと日本を行ったり来たりかな」
「宝くじとか当たります?」
「それは当たりません(キッパリ)」
ちぇっ! なんだ、つまんないの。
「子どもたちの習い事はどうでしょう? たとえば娘はバレエとピアノをやっているんですけど」
「両方ともいいですよ。娘さんは努力家だからコツコツやっているでしょう。長く続けることが大事ですから、娘さんにとっていいことですよ」
「息子なんですけど、息子には今年の4月からバレエを、小学生ぐらいになったらピアノをやらせたいんですけど」
「バレエですか・・・・うーん、息子さんにバレエは微妙だなあ~。だめじゃないけど、この子、すぐに辞めますよ。好きなことしかしないから」
「え!? バレエだめですか?」
ガーン! 夫はいまひとつ賛成してくれないけど、私は男の子がバレエをやるのはカッコいいと思っていて、しかも女の子と違って圧倒的に男子のバレエ人口は少ないから、どれだけへタレでも必ず王子役は子ども時代、ゲットできるというメリットがある。
しかも親バカかもしれないが、うちの息子はイケメンである。伊達にハーフじゃないぞ。
実際に娘のバレエの先生に、「息子もバレエを習わせたい」と相談したら、「ぜひ♡」と瞳をウルウルさせ、「なんだったら、私、養子にしてでもあの子だったら徹底的に教育しますよ」とまで、言ってくれていたのだ。
先生にバレエはいまひとつと言われたって、引けないわ。
「ピアノはいいですよ。彼には芸術的なことをさせてあげてください。とにかくこの子はコツコツと努力することが必要です。あと駆け巡るようなこともいいですよ」
「駆け巡るってサッカーとかですか?」
「サッカーもいいですねえ。あと乗馬もいいですよ」
おい、それこそ学習院のお坊ちゃまの趣味じゃないの!?…………….
2009年8月11日火曜日
銀座2回目⑯
「さて、あなたのご主人のことですが」
先生が次に切り出してきたのは夫のことだった。
「相変わらずいいご主人ですねえ。この人は本当にいいですよ。配偶者の位置にきちんと立っているし、コツコツと努力しているのも見えています」
「転職はどうでしょうねえ。明日にでも会社を変わりたがっているんですけど」
「ご主人の仕事運は48歳から急激に良くなります(この時点で夫は45歳)。今年の春も転職はいいですけど、48歳まで待ったほうがスムースですよ」
ああ、これも前回と同じ答えだ。
「何か勉強されていますよね?」
そうなのだ。夫は半年ほど前から通信教育でオーストラリアの大学の経営学のコースを取っている。
5年ほど前も同じ大学で、言語学を働きながら夜、コツコツ勉強しながら3年ほどで修了し、大学院の修士号を取得した。
きちんと決めたことをやり遂げる姿勢に私は大いに惚れ直し、尊敬したものであった。
しかし言語学の修士号と言うのは彼の知的好奇心は大いに刺激し、仕事でも持っていると人々に説得力を与えてはいるが、彼の収入増には結びつかなかった。
転職活動をしても、言語学の修士課程は語学産業以外では意味がなく、そこでより有利な転職のために、もっと収入に結びつきそうなマネージメントコースを取ることにしたのだ。
会計学やらマーケティングなどひとつひとつ修了していけば、4年後にはMBAを取得できるという形で今、夫は勉強している。
ただ先日コース選択時に入力ミスをしてしまい、一度にふたつのコースをこなさなくてはいけなくなり、このごろは毎晩勉強に追われ、ちょっとストレスが溜まりかけている。
「今やっていらっしゃる勉強はいいですよ。必ずやり遂げてください。ご主人が思っている以上に素晴らしい結果を生みます。ちょっと今、ストレスがあるかもしれませんが、休み休みでもいいので、とにかく修了させることです」
おお、このMBA取得が48歳からの仕事運アップにつながるのか? あ、でも44歳から勉強を始めて、4年後の48歳に修了するのだから、48歳からの仕事運アップはまさにタイミングがぴったり。
また今ストレスが溜まっているっていうのもズバリだ。
すごいよ~、先生。やっぱり。
そういえば夫の仕事といえば、前回診てもらったときに、「彼は運が強いので、仮に今会社を辞めてもなんとかなるし、辞めなくても4年半後にもっと楽に転職できる」って言われていた。
そしてその後の転職活動で、夫が最終面接まで行って落とされた会社が3社。
最後の最後で落とされた理由はどうしてもわからない。
夫はずいぶん落ち込み、かなり「どうせ僕なんて」モードに突入してしまったが、 ただ、その3社と言うのが、ひとつはあのリーマン・ブラザーズ、もうひとつはAIG生命、もうひとつは名前は忘れてしまったがコンピューター関連のグローバル企業で、この会社も先月倒産してしまった。
逆に最終面接が通って、たとえばリーマン・ブラザーズなんて行っていたら、真っ先に路頭に迷うハメになっただろう。
そういう意味では3社とも落としてくれてありがとう、だったのだ。
確かにある意味運が強いのかも。
先生が次に切り出してきたのは夫のことだった。
「相変わらずいいご主人ですねえ。この人は本当にいいですよ。配偶者の位置にきちんと立っているし、コツコツと努力しているのも見えています」
「転職はどうでしょうねえ。明日にでも会社を変わりたがっているんですけど」
「ご主人の仕事運は48歳から急激に良くなります(この時点で夫は45歳)。今年の春も転職はいいですけど、48歳まで待ったほうがスムースですよ」
ああ、これも前回と同じ答えだ。
「何か勉強されていますよね?」
そうなのだ。夫は半年ほど前から通信教育でオーストラリアの大学の経営学のコースを取っている。
5年ほど前も同じ大学で、言語学を働きながら夜、コツコツ勉強しながら3年ほどで修了し、大学院の修士号を取得した。
きちんと決めたことをやり遂げる姿勢に私は大いに惚れ直し、尊敬したものであった。
しかし言語学の修士号と言うのは彼の知的好奇心は大いに刺激し、仕事でも持っていると人々に説得力を与えてはいるが、彼の収入増には結びつかなかった。
転職活動をしても、言語学の修士課程は語学産業以外では意味がなく、そこでより有利な転職のために、もっと収入に結びつきそうなマネージメントコースを取ることにしたのだ。
会計学やらマーケティングなどひとつひとつ修了していけば、4年後にはMBAを取得できるという形で今、夫は勉強している。
ただ先日コース選択時に入力ミスをしてしまい、一度にふたつのコースをこなさなくてはいけなくなり、このごろは毎晩勉強に追われ、ちょっとストレスが溜まりかけている。
「今やっていらっしゃる勉強はいいですよ。必ずやり遂げてください。ご主人が思っている以上に素晴らしい結果を生みます。ちょっと今、ストレスがあるかもしれませんが、休み休みでもいいので、とにかく修了させることです」
おお、このMBA取得が48歳からの仕事運アップにつながるのか? あ、でも44歳から勉強を始めて、4年後の48歳に修了するのだから、48歳からの仕事運アップはまさにタイミングがぴったり。
また今ストレスが溜まっているっていうのもズバリだ。
すごいよ~、先生。やっぱり。
そういえば夫の仕事といえば、前回診てもらったときに、「彼は運が強いので、仮に今会社を辞めてもなんとかなるし、辞めなくても4年半後にもっと楽に転職できる」って言われていた。
そしてその後の転職活動で、夫が最終面接まで行って落とされた会社が3社。
最後の最後で落とされた理由はどうしてもわからない。
夫はずいぶん落ち込み、かなり「どうせ僕なんて」モードに突入してしまったが、 ただ、その3社と言うのが、ひとつはあのリーマン・ブラザーズ、もうひとつはAIG生命、もうひとつは名前は忘れてしまったがコンピューター関連のグローバル企業で、この会社も先月倒産してしまった。
逆に最終面接が通って、たとえばリーマン・ブラザーズなんて行っていたら、真っ先に路頭に迷うハメになっただろう。
そういう意味では3社とも落としてくれてありがとう、だったのだ。
確かにある意味運が強いのかも。
銀座2回目⑮
「そうですねえ、他にいい画数の名前は・・・・」
再度画数を調べ始める先生。
うーん、この先生って、生年月日は昭和で計算しているし、漢字の画数もこまめに調べているし、意外と古風な占い師なのかしらん。
「清永 美央」
「これです! そうそう、これがいいです! これにしてください!」
珍しくちょっと興奮気味な先生。
「先生、これなんて読むんですか?」
「ですから、画数が問題なわけであって、読み方はなんでもいいんですよ」
そ、そんな乱暴な。先生ったら、ちょっぴり画数原理主義者だわ。
「でもこれって、普通に読んだら“きよなが みお”ですよねえ」
「いいんじゃないですか、それで」
「“きよなが”ってなんかいまひとつなんですけど」
「“みお”はどうですか?」
「正直わかんないですよ。だって今までペンネームとか芸名とかつけたことがないから。自分の名前じゃないからどれだって、すぐにはピンとこないかも」
「じゃあ、どうしますか?」
「先生、決めてください。先生が決めてくれた名前に従いますから(←おいおい! なんて他力本願なんだ! 自分の名前だろっ!!)」
「じゃあ、“清永 美央”と書いて“しみず みお”と読ませますか」
あっさりと決める先生。
「はい、それでいいです(←おいっ! いいのか!?)」
こうして、私のペンネームが決まったのである。
作家・清永美央の誕生である(←なれたらな)。
「このペンネームだったら、恋愛小説でもサスペンスでも推理小説でもミステリーでも成功します。あとエッセイもいいですよ」
本当ですか?
「あなたの本が出るのを私も楽しみにしてますよ。たいじょうぶ、ちゃんと成功しますよ」
そう先生はにっこりと笑った。
再度画数を調べ始める先生。
うーん、この先生って、生年月日は昭和で計算しているし、漢字の画数もこまめに調べているし、意外と古風な占い師なのかしらん。
「清永 美央」
「これです! そうそう、これがいいです! これにしてください!」
珍しくちょっと興奮気味な先生。
「先生、これなんて読むんですか?」
「ですから、画数が問題なわけであって、読み方はなんでもいいんですよ」
そ、そんな乱暴な。先生ったら、ちょっぴり画数原理主義者だわ。
「でもこれって、普通に読んだら“きよなが みお”ですよねえ」
「いいんじゃないですか、それで」
「“きよなが”ってなんかいまひとつなんですけど」
「“みお”はどうですか?」
「正直わかんないですよ。だって今までペンネームとか芸名とかつけたことがないから。自分の名前じゃないからどれだって、すぐにはピンとこないかも」
「じゃあ、どうしますか?」
「先生、決めてください。先生が決めてくれた名前に従いますから(←おいおい! なんて他力本願なんだ! 自分の名前だろっ!!)」
「じゃあ、“清永 美央”と書いて“しみず みお”と読ませますか」
あっさりと決める先生。
「はい、それでいいです(←おいっ! いいのか!?)」
こうして、私のペンネームが決まったのである。
作家・清永美央の誕生である(←なれたらな)。
「このペンネームだったら、恋愛小説でもサスペンスでも推理小説でもミステリーでも成功します。あとエッセイもいいですよ」
本当ですか?
「あなたの本が出るのを私も楽しみにしてますよ。たいじょうぶ、ちゃんと成功しますよ」
そう先生はにっこりと笑った。
2009年8月7日金曜日
銀座2回目⑭
「45歳(←この時点で私は41歳)までは、今より少し(収入は)低いです。けど半減するわけでもないので、安心してください。45歳になったら今とトントンになってきて、50歳を過ぎると今よりも良くなっていきます。もちろん毎年ある程度の波はありますけど、傾向としてはそういった感じで推移していくでしょう」
淡々とお金の話をする先生。
へえ~。半減はしないんだ~。それはうれしいけど、いったい辞めたあとのお金はどっこから入ってくるんだ?
しかも50歳を過ぎると今より良くなるという。期待していいのか?
書くことでそんなにお金がもらえるなんて、よほど出した本が売れるなり、出した本が映像化されるなりしないと難しいと思うんだけど、それってどうなわけ?
おーい、聞いてるか? T書店の本田くん(仮)。
「英語で本を書いて、海外で出版してもいけますよ」
おおお~いいい!!! スケール、デカッ!
「それはすんばらしいんですけど、私、そんな英語力ないですよ!(哀)」
「そんなのあなたが英語できなくても、ご主人に英訳してもらうなり、子どもたちに将来英訳させればいいんですよ」
ヘイ! ヘイ! ヘイ! ギブ・ミー・ァ・ブレェエエーク!
そいつは微妙だぜ! きわどい描写満載の半自伝小説「エッサウィラ」を夫や子どもたちに英訳させるのは!
子どもたちから将来、「オカン、何やっとったんや?」と白眼視されること必至だ。
「あとですねえ~、ペンネームなんですけど・・・」
そこで2番目に聞きたかったことを切り出す。
「小説なり、ものを書いていくにあたって、どうすればいいかなあと思っていて。小説でカタカナの苗字を使うのもイヤだし、今の名前が使えないなら、旧姓を使うか、はたまた第3の名前を考えるか・・・・」
今の名前と旧姓を並べて、画数を調べていく先生。
「ああ、両方ともいまいちですねえ」
「じゃあ、第3の名前ですかねえ。さっぱり何にも思いつかないんですけど」
あまりに私がノー・アイディアのためしばし沈黙が続く。
ああ、この沈黙はもったいない! なんていったって2万円ですからねえ。
「ご家族の名前、全員の分、教えてもらえますか?」
しばしの沈黙のあと、先生が切り出す。
夫の名前、娘の名前、息子の名前、私の名前。
全部並べて、先生が「さあってと」と小さく呟いて、サラサラと紙に何か書き込んでいく。
「●水 美央」
何々? これなんて読むの? っていうか、たった今気付いたけど、この●の漢字、特殊記号で探しても手書き機能にしても出てこないんですけど!!!! いったいどういうこと!? そんな漢字ないじゃん!!!(茫然)
「先生、これなんて読むんですか?」
「読み方はどうでもいいんですよ。画数だから」
「はあ!?」
「これだと画数も完璧だし、何よりもあなたの家族の全員の名前が入っています」
この字は息子から、この字は娘から・・・と解説してくれる先生。
「あの~、夫のは? 夫の名前はカタカナなんですけど・・・」
訝る私。
「ああ、ご主人はこれです。だって音読みでこうやって読むでしょ」
ああ~、そう来るわけね。結構当て字だわ~。
「小説を書くなり、フリーでクリエイティブの仕事をするというのは、えてして家族に迷惑をかけがちです。けどこうやってペンネームに家族全員の名前を入れることによって、家族からの協力が得られたり、迷惑をかけずに済んだりするメリットがあるんですよ」
へえ~。そうなんだあ~。
それが本当だとしたら、「火宅の人」(←古っ!)の壇一雄も、「芸のためなら~♪ 女房も泣かす~♪」の桂春団治(←激古っ!)も家族全員の名前を入れ込めば良かったんだよ~。
「でもこの名前、ちょっとわかりづらいというかなんというか、先生、他にはないんですか?」
「他ですか・・・・うーん、そうですねえ~」
淡々とお金の話をする先生。
へえ~。半減はしないんだ~。それはうれしいけど、いったい辞めたあとのお金はどっこから入ってくるんだ?
しかも50歳を過ぎると今より良くなるという。期待していいのか?
書くことでそんなにお金がもらえるなんて、よほど出した本が売れるなり、出した本が映像化されるなりしないと難しいと思うんだけど、それってどうなわけ?
おーい、聞いてるか? T書店の本田くん(仮)。
「英語で本を書いて、海外で出版してもいけますよ」
おおお~いいい!!! スケール、デカッ!
「それはすんばらしいんですけど、私、そんな英語力ないですよ!(哀)」
「そんなのあなたが英語できなくても、ご主人に英訳してもらうなり、子どもたちに将来英訳させればいいんですよ」
ヘイ! ヘイ! ヘイ! ギブ・ミー・ァ・ブレェエエーク!
そいつは微妙だぜ! きわどい描写満載の半自伝小説「エッサウィラ」を夫や子どもたちに英訳させるのは!
子どもたちから将来、「オカン、何やっとったんや?」と白眼視されること必至だ。
「あとですねえ~、ペンネームなんですけど・・・」
そこで2番目に聞きたかったことを切り出す。
「小説なり、ものを書いていくにあたって、どうすればいいかなあと思っていて。小説でカタカナの苗字を使うのもイヤだし、今の名前が使えないなら、旧姓を使うか、はたまた第3の名前を考えるか・・・・」
今の名前と旧姓を並べて、画数を調べていく先生。
「ああ、両方ともいまいちですねえ」
「じゃあ、第3の名前ですかねえ。さっぱり何にも思いつかないんですけど」
あまりに私がノー・アイディアのためしばし沈黙が続く。
ああ、この沈黙はもったいない! なんていったって2万円ですからねえ。
「ご家族の名前、全員の分、教えてもらえますか?」
しばしの沈黙のあと、先生が切り出す。
夫の名前、娘の名前、息子の名前、私の名前。
全部並べて、先生が「さあってと」と小さく呟いて、サラサラと紙に何か書き込んでいく。
「●水 美央」
何々? これなんて読むの? っていうか、たった今気付いたけど、この●の漢字、特殊記号で探しても手書き機能にしても出てこないんですけど!!!! いったいどういうこと!? そんな漢字ないじゃん!!!(茫然)
「先生、これなんて読むんですか?」
「読み方はどうでもいいんですよ。画数だから」
「はあ!?」
「これだと画数も完璧だし、何よりもあなたの家族の全員の名前が入っています」
この字は息子から、この字は娘から・・・と解説してくれる先生。
「あの~、夫のは? 夫の名前はカタカナなんですけど・・・」
訝る私。
「ああ、ご主人はこれです。だって音読みでこうやって読むでしょ」
ああ~、そう来るわけね。結構当て字だわ~。
「小説を書くなり、フリーでクリエイティブの仕事をするというのは、えてして家族に迷惑をかけがちです。けどこうやってペンネームに家族全員の名前を入れることによって、家族からの協力が得られたり、迷惑をかけずに済んだりするメリットがあるんですよ」
へえ~。そうなんだあ~。
それが本当だとしたら、「火宅の人」(←古っ!)の壇一雄も、「芸のためなら~♪ 女房も泣かす~♪」の桂春団治(←激古っ!)も家族全員の名前を入れ込めば良かったんだよ~。
「でもこの名前、ちょっとわかりづらいというかなんというか、先生、他にはないんですか?」
「他ですか・・・・うーん、そうですねえ~」
2009年8月6日木曜日
銀座2回目⑬
「前回と違って仕事の変なオーラは出てないですね。どうやら異動できたみたいですね」
おお~、前回のことを覚えてくれているのか!? 先生。
「それほど嫌な仕事はしていないようですけど、うーん、来年または再来年でもいいけど、会社はやはり辞めますね」
そうなのか!? 私。それにしてもそんな予兆全然ないんですけど。
「今年であなたが勉強をする期間は終了します」
おいおいおい! 勉強って、まだ何も始めてないんだよお~!
「本当に何も始めていませんか? あなたは何かしら今までやってきたことがあるでしょ? はっきりと仕事の線が3つ出てきてますよ。ひとつは会社の仕事、ひとつは何か人に教えたり伝えたりする仕事、ひとつはクリエイティブな仕事。会社の仕事の線がどんどん薄くなってきていて、他のふたつがだんだん色濃く出てきていますよ」
うーん、それがよくわからない。会社の仕事は鋼鉄の女が定年退職してから、任される仕事も増え、むしろ足抜けが難しそうになってきている。
「勉強は何もしてないんですけど、実は前回先生のところに来てから、今までの間に1本小説を完成させているんです」
「ああ~、そういうことだったんですね。はいはいはいはい」
何やら納得した様子の先生。
「いいですよ。小説。ドンドン書いてください。2011年までに書けるだけ書くこと。本とかも何冊も出せそうですよ。今後」
え!? マジですか。それ?
「恋愛小説でもサスペンスでも詩の世界でも、書くのはすごくいいですよ。才能もあります。世に出ることになるでしょう。楽しみですね」
ジャジャジャジャアアーンン!!!!! 「本気」と書いて「マジ」と読む。または「真剣」と書いて「マジ」と読む。
それマジですか? えええええええええええええ~!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ねえ、先生、私のこと担いでない?
「今年はすごくいい人脈も築けそうですよ。とにかくたくさん書いていろんな人に書いていることを言いまくってください。そのためにはブログも始めてください。今晩からでもぜひやってくださいね」
ブログかあ~。そうこの先生のひと言でこのブログを始めることにしたのだった。
「あと教える仕事ってなんでしょうね? 私、どう考えても人に何か教えられるようなものなんてないんですけど」
「教えるというのか伝えるというのか、何かはわかりませんけど、会話の多い仕事のようですよ。今年の5月、7月、9月に何か頼まれることがありそうです。その場合はボランティアでも必ず受けてくださいね。それが来年にちゃんとつながって仕事になりますから」
なんだろう? 頼まれることって。依然謎だ。
「先生の言う通り来年から何か教える仕事と書くことを始めたとして、収入はどうなるんですか? 曲がりなりにも今正社員で働いていてボーナスももらっていて、今と同じ収入をフリーの立場で得ようと思ったら、大変だと思うんですけど・・・・」
おお~、やっと今回聞きたかったことの1つめを質問できた。
やり甲斐だとかそういうのも大切だけど、やっぱりそれに見合う収入だよなあ。夢がない言い方かもしれないけど、私はやりたいことができればお金なんていらないというタイプではない。
お金で買えないもの、お金で解決できないこともたくさんあるし、お金自体がトラブルを生むことだってもちろんあるけど、たいていのことはお金で解決できると私は考えている。
だからね、気になるのよ。フリーになったところでお金が入るかどうかが。
そこのところを先生、テル・ミー・プリーズ!!
おお~、前回のことを覚えてくれているのか!? 先生。
「それほど嫌な仕事はしていないようですけど、うーん、来年または再来年でもいいけど、会社はやはり辞めますね」
そうなのか!? 私。それにしてもそんな予兆全然ないんですけど。
「今年であなたが勉強をする期間は終了します」
おいおいおい! 勉強って、まだ何も始めてないんだよお~!
「本当に何も始めていませんか? あなたは何かしら今までやってきたことがあるでしょ? はっきりと仕事の線が3つ出てきてますよ。ひとつは会社の仕事、ひとつは何か人に教えたり伝えたりする仕事、ひとつはクリエイティブな仕事。会社の仕事の線がどんどん薄くなってきていて、他のふたつがだんだん色濃く出てきていますよ」
うーん、それがよくわからない。会社の仕事は鋼鉄の女が定年退職してから、任される仕事も増え、むしろ足抜けが難しそうになってきている。
「勉強は何もしてないんですけど、実は前回先生のところに来てから、今までの間に1本小説を完成させているんです」
「ああ~、そういうことだったんですね。はいはいはいはい」
何やら納得した様子の先生。
「いいですよ。小説。ドンドン書いてください。2011年までに書けるだけ書くこと。本とかも何冊も出せそうですよ。今後」
え!? マジですか。それ?
「恋愛小説でもサスペンスでも詩の世界でも、書くのはすごくいいですよ。才能もあります。世に出ることになるでしょう。楽しみですね」
ジャジャジャジャアアーンン!!!!! 「本気」と書いて「マジ」と読む。または「真剣」と書いて「マジ」と読む。
それマジですか? えええええええええええええ~!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ねえ、先生、私のこと担いでない?
「今年はすごくいい人脈も築けそうですよ。とにかくたくさん書いていろんな人に書いていることを言いまくってください。そのためにはブログも始めてください。今晩からでもぜひやってくださいね」
ブログかあ~。そうこの先生のひと言でこのブログを始めることにしたのだった。
「あと教える仕事ってなんでしょうね? 私、どう考えても人に何か教えられるようなものなんてないんですけど」
「教えるというのか伝えるというのか、何かはわかりませんけど、会話の多い仕事のようですよ。今年の5月、7月、9月に何か頼まれることがありそうです。その場合はボランティアでも必ず受けてくださいね。それが来年にちゃんとつながって仕事になりますから」
なんだろう? 頼まれることって。依然謎だ。
「先生の言う通り来年から何か教える仕事と書くことを始めたとして、収入はどうなるんですか? 曲がりなりにも今正社員で働いていてボーナスももらっていて、今と同じ収入をフリーの立場で得ようと思ったら、大変だと思うんですけど・・・・」
おお~、やっと今回聞きたかったことの1つめを質問できた。
やり甲斐だとかそういうのも大切だけど、やっぱりそれに見合う収入だよなあ。夢がない言い方かもしれないけど、私はやりたいことができればお金なんていらないというタイプではない。
お金で買えないもの、お金で解決できないこともたくさんあるし、お金自体がトラブルを生むことだってもちろんあるけど、たいていのことはお金で解決できると私は考えている。
だからね、気になるのよ。フリーになったところでお金が入るかどうかが。
そこのところを先生、テル・ミー・プリーズ!!
銀座2回目⑫
「あなた自身は日本で家を買うことはなさそうですけど、イギリスで投機目的で将来的に家を買うのは見えています」
おお、前回も同じようなことは言われたが、今回はハッキリと「イギリス」だと言われた。
前回はまだ世界の金融危機が始まっていなくて、イギリスはバブルの真っ最中。誰もロンドンに住めなくなるぐらい地価が沸騰して、イギリスで家を買うなんて私たちが田園調布に豪邸を新築するぐらいありえない話だった。
ところがリーマン危機から端を発する世界恐慌で、最もダメージが大きいといわれているのは、発信もとのアメリカではなく、とっくに製造業など衰退して、サッチャー改革以来、未曾有の好景気を謳歌していたイギリスなのだ。
確かにイギリスは地価とともにポンドも下がり始めてはいるが、それでもまだまだ私たちに手が届く日は遠そうだ。
「日本で今のところから、引っ越すことはありそうですか?」
「一度ぐらいはあるでしょうね。でもやはり賃貸です。きっとお子さんが大きくなって今のところが手狭になるから、引っ越すというパターンのようですね」
うーん、それなら十分ありえるな。
「さて、肝心なあなたの仕事についてですが・・・・」
おお、ついに来た! 子どもたちの受験話に気をとらわれすぎていて、ついつい本題を忘れるところだった!
そうだよ、私はこれを聞きに来たのだよ。
本当に2010年の4月までに会社を辞めるのか? 書き上げた小説はどうなるのだ? ペンネームは? 聞きたかったことが頭の中でぐるぐると回っている。
さあ、私。いったい私はどうなるの?
銀座2回目⑪
「近々引っ越す予定とかありませんか?」
唐突に切り出す先生。
そんなことは100%ありえない。我が家は都心にありながらもそこそこ広く、それでいて家賃は相場の半額近く。あまりにも条件がいいので、最初は「すわっ、訳あり物件か!?」と訝っていたほどである。
「そうですよねえ。見えているのは大きめの一軒屋ですから。あなたが住んでいるのは賃貸のマンションですものね」
そんな、私が住んでいるところまで見えるのか!? だったらちゃんと掃除しとかないとな。まあ、そんな問題じゃないか。
「あなた自身の引越しじゃないとすると・・・・ご実家に引越しの予定はありますか?」
それもない。バリバリ農耕民族的な私の家族は一度根を張った場所から、仮にその根が腐っていたとしても絶対に離れやしない。
「うーん、おかしいなあ。引越しがクッキリ見えてるんだけどなあ」
首をかしげる先生。
「引越しはないですけど、うちの実家、来月から家のリフォームをするんですよ」
「ああ! それだわ! リフォームしている間、一時どこかに引っ越すとかないですか?」
「いや、それはないです」
「じゃあよっぽど外観が変わるんだろうなあ。あなたの実家、見た目がずいぶん変わりますよ」
そ、そうなのか!? ずっと自営業を自宅で営んでいたうちの両親は去年の年末、ついに商売を畳んで、その前から上の弟家族と同居を始めていたこともあって、店舗部分と居間とキッチンを全部ぶち抜いて、広いLDKを作り、車庫を両親の寝室にし、ついでに風呂場も全部一新することになっていたのだ。
まあ店舗がなくなる分、外観は確かに変わっちゃうかもしれないけど、それにしてもそんなことまでわかるのか? 先生!
「その間、そうですねえ、2月中までこのうちのお母さんは感染症とか風邪のひどいものとかに注意が必要です。おかしいと思ったらすぐに病院に行くなり、休むなりしてもらってください。3月になればもうだいじょうぶになりますから、それまでの間は気をつけてください」
「私の父って結構アルツ(ハイマー)入ってるんですけど、だいじょうぶですかねえ?」
「だいじょうぶですよ。しばらくこのまま行きますから。長生きされますよ」
おいおいおい、妄想が始まっている父の様子がこのまましばらく行かれても困るんだけどなあ。トホホ。まあ、これ以上、しばらくはひどくはならないということか?
「うちの家族はだいじょうぶですかねえ?(←なんとも漠然としている質問だ)」
「はい、だいじょうぶですよ。お母さんの風邪は気をつけてくださいね」
そうか、だいじょうぶか。それなら心配なし! はい、以上実家のこと、終わり!
唐突に切り出す先生。
そんなことは100%ありえない。我が家は都心にありながらもそこそこ広く、それでいて家賃は相場の半額近く。あまりにも条件がいいので、最初は「すわっ、訳あり物件か!?」と訝っていたほどである。
「そうですよねえ。見えているのは大きめの一軒屋ですから。あなたが住んでいるのは賃貸のマンションですものね」
そんな、私が住んでいるところまで見えるのか!? だったらちゃんと掃除しとかないとな。まあ、そんな問題じゃないか。
「あなた自身の引越しじゃないとすると・・・・ご実家に引越しの予定はありますか?」
それもない。バリバリ農耕民族的な私の家族は一度根を張った場所から、仮にその根が腐っていたとしても絶対に離れやしない。
「うーん、おかしいなあ。引越しがクッキリ見えてるんだけどなあ」
首をかしげる先生。
「引越しはないですけど、うちの実家、来月から家のリフォームをするんですよ」
「ああ! それだわ! リフォームしている間、一時どこかに引っ越すとかないですか?」
「いや、それはないです」
「じゃあよっぽど外観が変わるんだろうなあ。あなたの実家、見た目がずいぶん変わりますよ」
そ、そうなのか!? ずっと自営業を自宅で営んでいたうちの両親は去年の年末、ついに商売を畳んで、その前から上の弟家族と同居を始めていたこともあって、店舗部分と居間とキッチンを全部ぶち抜いて、広いLDKを作り、車庫を両親の寝室にし、ついでに風呂場も全部一新することになっていたのだ。
まあ店舗がなくなる分、外観は確かに変わっちゃうかもしれないけど、それにしてもそんなことまでわかるのか? 先生!
「その間、そうですねえ、2月中までこのうちのお母さんは感染症とか風邪のひどいものとかに注意が必要です。おかしいと思ったらすぐに病院に行くなり、休むなりしてもらってください。3月になればもうだいじょうぶになりますから、それまでの間は気をつけてください」
「私の父って結構アルツ(ハイマー)入ってるんですけど、だいじょうぶですかねえ?」
「だいじょうぶですよ。しばらくこのまま行きますから。長生きされますよ」
おいおいおい、妄想が始まっている父の様子がこのまましばらく行かれても困るんだけどなあ。トホホ。まあ、これ以上、しばらくはひどくはならないということか?
「うちの家族はだいじょうぶですかねえ?(←なんとも漠然としている質問だ)」
「はい、だいじょうぶですよ。お母さんの風邪は気をつけてくださいね」
そうか、だいじょうぶか。それなら心配なし! はい、以上実家のこと、終わり!
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