娘の試験開始時刻は午後1時からなので、午前中はゆっくりと過ごす。
もう昨夜の前日講習以降はすべての勉強はストップ。ひたすらリラックスさせ、気持ちを楽にさせることに専念する。
幸い、快晴でわりと暖かい日であった。
試験日は来てしまえば、あとは腹をくくるのみである。
バスにふたりで乗り込み、受付の始まる30分前に学校到着。続々と受験生が列を作っている。
娘は特に緊張している様子はなく、
「マミィ、クイズ大会が終わったらパフェ食べさせてね」
などと余裕の様子。
いいとも、いいとも。今日さえ無事に乗り切ったら、パフェでもなんでも食ってくれ。
教室に入るまでの手順などはWで講習を受けているので、迷うことなくちゃっちゃと済ます。
娘のグループは白のグループで番号は7番。おお~、幸先よさそうな番号ではないかっ!
教室には暖かい日差しが差し込んでいる。
半そでの白い丸襟のブラウスに紺色のベスト、紺色のキュロット姿の娘は、ロングヘアーを二つに分けたみつあみをしていてめっちゃくちゃ可愛い。ぐるりと他の受験生を見回すと、とりたててめぼしい子はいない。
見た目だけならうちの娘はダントツだぞ。
と親バカながらに思う。
親バカの色眼鏡で見ると、よその子はなんだか貧弱で貧乏臭い。
だいたい筆記試験に通るのは7人に1人程度だといわれている。
この教室で言えばだいたい4人ぐらいが2次通過するはずなのだ。
この場にいる先生は来年度1年生を担任する先生だそうで、いわば「自分のクラスにはこんな子がほしい」と思う生徒を合格させるそうなので、試験というよりはある種のオーディションみたいなものなのだ。
私が先生なら絶対にうちの娘のような子は残すねっ! 傍で見ていても娘は目立っていて光り輝いて見えた。
ただここでちょっぴり不安なことがひとつ。
テストが始まるまでの待ち時間の間、在校生の6年生のお兄さん、お姉さんたちが各教室で絵本を読んでくれたり、歌を歌ってくれたり、紙芝居を見せてくれたりして受験生たちを和ませてくれるのだが、在校生のお姉さん方がどうにもダサいのだ。
個人的に昔から小学校高学年から中学生ぐらいの子どもは、一番ダサくて一番薄汚いと思っている。
それにしてもだ! いくら薄汚い年代だと言っても、普通、いるだろう。せめて1人かふたりはハッとするような美少女が!
ところがこの学校の女の子で可愛い子がまったく見当たらないのだ。どいつもこいつも色が黒くて固太りで髪の毛がボサボサしていて、自分を可愛らしく見せようだとかきれいに見せようだとかという意思を1ミクロンも感じさせないのである。
きっと運動はできて勉強もうんとできるんだろうけど、いいのか女の子として!?
間違ってもバレエとか習っていそうな子がいないのだ。
こんな中では女の子オーラ全開の娘はきっと浮いてしまう。
それとも小学校に入ったら入ったで、娘もこんな感じになってしまうのか?
それはそれで悩ましい。
「トイレだいじょうぶ?」
「うん」
と答える娘だが、どうにも不安になりちょっと無理やりトイレに連れて行く。
「マミィ、こんなトイレじゃ、できないよぉ~」
と情けない声を出す娘。
し、しまった! 小学校のトイレは全部和式だった! 特にT大附属T小の校舎は古めなので、洋式トイレなどなかったのだった。
しかも慣れないキュロット!
そう、今どきの子どもって和式トイレには慣れてないのよぉ~。
これは小学校に入るまでに訓練せねば!
そして教室に戻り、時間が来たら保護者たちは講堂へ。
このときにWの新田先生(仮名)からアドバイスされていたのが、子どもたちが元気になる「魔法の言葉」をひと言かけてあげようというもの。
もうここまで来たらどうにもならないのである。
「愛しているよ」
「今日は思いっきり楽しんで」
「Aちゃんならできるっ!」
「あとでパフェ食べようね」
「クイズ大会終わったらイギリスとニースに行くから」
「今日はフランス料理食べに行くから」
「あとでいっぱいむぎゅうってしようね」
等など・・・。
ひと言が選びきれなくて延々と声をかけ続ける私。
よそのお母さんたちを見ても皆さん、子どもの耳元で何やらブツブツと囁いている。
きっとどこのお受験教室でも同じようなアドバイスをしてるんだろうな。
娘はにっこりと微笑んで「またあとでね」と手を小さく振ってくれる。30人のグループに欠席(棄権!?)が4名、お母さんと別れるときになって泣き出した子が1名。
よしこれで5人退場! ひたすら娘に有利になることばかりを祈る私である。
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