「どうやら結果がまったく変わってしまうものらしいです」
という電話が山木からあったのは、先ほどの電話から10分ほど経ってからだった。
「受付の人が電話に出て、先生に聞いてきてもらったら、そう言われたそうなんです。で、計算し直して先生の方から電話をくれるってことになりました」
「そうか、占い直してもらえるならいいね。まあ電話じゃなくてタダでもう一度占い直してもらうのが一番いいけど」
「あ、そういう手もあったか。でもさすがにそこまでは無理でしょ」
「でもそんなものは計算ミスする方が悪いよ」
「そうですよねえ~。どっちみちまた報告しますから」
というやりとりのあった翌日、次はメールが山木から届いた。そのメールで山木はめちゃくちゃ怒っていた。
なんでも先生が電話をくれたのはいいらしいが、ハイハイと話を聞いているうちに、「特に他にはありませんよね?」と言われ、「ええ。まあ~」と言っているうちに「それでは以上です」ということで電話が切られてしまったというのだ。
最初のうちはこんなものかなと思っていたらしいが、時計を見ると電話占いの時間はたったの7分。
そうこうしているうちにだんだんと怒りが沸いてきた山木は、「バカ野郎っ! 2万円返しやがれ!」という気分になっていったというのだ。
そりゃそうだよな。
しかしこういう場合は「ええ。まあ~」などとおっとりと構えていてはいけない。そこのところがやっぱり山木はお嬢様育ちだ。
ちなみに山木は小学校から広尾にある私立の超お嬢様学校に高校まで通っていて、大学は成城という経歴の持ち主である。お父様は某団体の理事長で、天皇陛下から園遊会にご招待されるような筋金入りのアッパー系だ。
本人が音楽業界やらベンチャー企業などといったヤクザな稼業を渡り歩いてきてといっても、根底がお嬢様なのだ。
そこんところが少しでも元を取ろうと、がめつく突っ込む私とは違うよな。
商売人の両親から、「定価で物を買うやつはアホや」とか「とりあえず値切っとけ」とか「聞くだけやったらタダや」とか「なんでも自分でやるのは合理的ではない」とか「チビチビ節約するぐらいならそのあいだに稼げ」と言われて育ち、すべての基準は「元がとれる・とれない」になっている私は、銀座の先生のところに行くと息する時間すらもったいと思っている。
そんな私だから、もし同じ状況になったら電話で突っ込みまくり、質問しまくるね。
いや、ベストはやはりもう一度タダで占い直してもらうことだろう。
しかし今週の土曜日はいよいよG大附属T小学校の抽選というのに、ちょっと暗雲が垂れ込めた感じだよな。
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