「O女も行ってきたんでしょ?」
「うん。なんか上品な学校だね。あ~あ、いいなあ~、泰子んちは。高校までO女に行けるなんて。マジうらやましいよ。うちだってO女に入れるなら行かせてあげたいよ」
そう言いながらハッとする。意地っ張りな私は他人がどんなにうらやましくても、こんなにあからさまに人をうらやんだことなんて今までなかった。
やっぱりお受験というものは、自分だけががんばってもどうにもならないからだろうか。
「そういえばO女の先生、1次抽選に通っても咳とか風邪の症状のある人は2次試験に来ないでくださいって言ってたよ」
「ふう~ん。私たち内部生にはたとえインフルエンザに罹ったとしても這ってでも来いって言ってたんだけどね」
おお~、外部からの受験生と内部生との間に横たわる何たる格差! 片や隔離で、片やは這ってでも来いときた!
「説明会でほか何か言ってた?」
そう聞かれて質疑応答のときに興味深い質問が飛んだことを思い出した。
ひとつは「文科省の学習指導要領に沿った指導をしているのか?」という質問で、それに対する学校側の答えが、「参考程度にさせていただいています」というものだったこと。
G大附属系はT小もO小も「学習指導要領」に沿って指導していると学校説明会のときに言っていた。さすがは天下のO女、日本の教育を牽引しているのは自分たちだという自負があるんだろうなあ。
そしてもうひとつの質問は、「小学校で英語の時間がないようなのですが」というものだ。
それに対する回答が、「本校では中学からしか英語は行いません。それよりも国語に力を入れています」というもので、これにも驚いた。
どうしてこれらの質疑応答に私が激しく反応してしまったかというと、今の私の仕事内容に関係があるからだ。
2011年から全国の公立小学校では5,6年生で年間35時間の英語活動が必修化される。
それに向けて移行措置の今、全国の小学校では実施時間や内容などに格差はあるとはいえ、まったく取り組んでいないところは皆無だ。
そんな中、「英語より国語が大切」と言い切るO女ってすごすぎる。
「まあさ、あと3校残ってるからさ、がんばりなよ」
とポンと私の肩を叩く泰子。
泰子と別れて家に帰ると、なぜか誰もいない。外からは祭りの音が聞こえてくる。
今日の祭りの酒はまずいよなと思いながら、片っ端から電話なりメールなりしまくる。
恵一くん(仮名)もG大附属T小の抽選がだめだったそうだが、奈美子さん(仮名)の様子はメールからでも伝わってくるぐらい晴れ晴れとしていて、「次、次! 本番は(T大附属)T小だから気にしない気にしない!」という返事が返ってきた。
どうやら一番私がくよくよしてるみたいだ。いろんな人に慰めまくってもらって、何とか気を取り直して次に進んでいこう!
というふうにはなかなか気持ちが切り替えられないんだよねえ~。あ~あ、この性格がうらめしい。
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