ここ数年GWのスケジュールを立てるのが難しい。その元凶はピアノの発表会がGWど真ん中にあるからだ。
私と娘は近所のママ友にしてお受験エキスパートの泰子(仮名)にピアノを習っている。泰子の生徒は中学生や高校生も多く、彼らは日ごろ勉強で忙しくGWぐらいしかピアノの練習もできないので、GW以外の日程での発表会は難しいのだという。
そんなこともあってGWはなかなか帰省もままならない。
その代わりに、今年は2月のバレエの発表会のときに、体調がいまひとつということでオカンが上京できなかったので、ピアノの発表会には来てくれることになったのだ。
今回オカンは3泊4日のスケジュールを慌しく過ごすことになる。
初日の夜は、友人のジョン&留美(仮名)ファミリーと我が家でホームパーティー。ジョンの弟トムが来日したので、ウェルカム・ジャパン・ディナーを夫が腕を奮って振舞うことになっている(夫は元フレンチのシェフで趣味はホームパーティー)。
2日目はピアノの発表会で、そのあとHANAちゃんを招いてホームパーティー。
3日目は葉山に住むクリフ&朝子(仮名)ファミリー宅に遊びに行きそのまま1泊し、翌日東京に戻ってから家に帰るというハードスケジュールだ。
しかもジョンはアメリカ人、クリフはユダヤ系オーストラリア人、HANAちゃんは関西人、朝子は台湾系とめっちゃインターナショナルである。
オカンの人生の中で一番国際色豊かな4日間だったことは間違いない。
さて、ピアノの発表会で毎年悩まされるのが衣装だ。
発表会は泰子の教室と、泰子の音大時代の友人である真由子先生(仮名)の教室と合同で行われる。
泰子と真由子先生は「衣装に気を使わないのは言語道断。衣装に気合を入れることによって演奏にも気合が入る」と頑なに信じており、毎年ふたりとも「花嫁のお色直しかっ!?」と突っ込みたくなるような色鮮やかなドレスで登場する。もちろんドレスは毎年新調し、楽屋に美容師を呼びつけるほどの念の入れようだ。
それを生徒にも強要するのだ。色もグランドピアノ(←スタンウェイの超高そうなやつ!)が黒なので、黒は禁止。スニーカー禁止、カジュアル禁止、ミニ禁止、特に幼稚園・小学生の女の子は華やかにしてくることと事前に衣装チェックまでされるのだ。
これで派手にならないはずはない。特に女の子の母親たちはここぞとばかりに娘たちを飾り立てるので、毎年エスカレートしてきている。
こういう発表会ではだいたい入学式とかで着るようなワンピースやスーツが相場だと思っていたが、ここでは誰もそんな地味な格好をしていない。
かくいう私も去年は泰子にそそのかされ、娘のために水色のドレスを買った。もうフリフリヒラヒラのお姫様ドレスだ。しかしこんなデコラティブなドレス、発表会以外にいつ着るっちゅうねんっ!
よしこうなったら毎年発表会で着倒してやると思っていたら、
「Aちゃん、今年は何着せるの?」と泰子が聞いてくるので、「去年と同じでいいよ」と答えたら、「だめだよ~! 去年と同じだなんてかわいそうじゃんっ!」と猛反対するではないか。
去年真美ちゃんが着ていたのは、白いドレスでスパンコールが全体に散りばめられていたこちらもフリフリヒラヒラなお姫様ドレスだ。
「じゃあさ、子どもたちのドレス、今年は交換しようよ」
と私が提案したら、断ると思っていた泰子が少し考えてから、
「そうだね。Aちゃんのドレス、去年実はこっちでもいいなあって買うとき、さんざん悩んだやつなんだ。いいよ。じゃあ今年はそうしよう」
と言うではないか。それではということで、事前にドレスを交換していた。
ところが直前になって、「やっぱ真美ちゃんに新しいドレス買ったんだ~」と泰子。
なんでも真由子先生から、
「去年のAちゃんのドレスは相当目立ってて話題になってたから(←いつ?)、だめだよ。借りたことがすぐばれるよ(←それってだめなの?)。真美ちゃんが着ていたのは白だからみんなの記憶にあまり残ってないかもしれないけど、Aちゃんのドレスはやめたほうがいいよ」
と強弁に反対されたらしいのだ。
まあ私としては真美ちゃんのドレスが借りられれば余計な出費をせずにすむので、それはそれで一向にかまわなかった。
ついでに私にも派手にしろと、越路吹雪が舞台で着るような赤いロングドレスを泰子が貸してくれた。
「これで美央さんもAちゃんもショぼい演奏したらシャレになんないからね。衣装に負けないように頑張ってよ」
と事前に泰子から大いにハッパをかけられていたのである。
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