異動先は本社ビルから歩いてすぐのところにある某事業部だった。出社後、久々にKちゃん、Tちゃん、Rちゃん、Oちゃん、Sちゃんのおなじみ本社メンバーとランチに行く。
「ほんと、よかったですねえ。異動できて。近くなったんだし、これからはちょくちょくランチ行きましょうよ。あと異動祝いもしないとねえ」
みんなとキャピキャピいろんなことを話す。
私は20代のころは女性の集団が苦手で、女子が固まって口を開けば女性誌のネタのようなブランド物の話、ダイエットの話、スィーツの話、彼氏とのあれこれなどをチンタラ話すことが何よりも時間の無駄だと思っていたし、周りにもそういうOLちっくな女性がいなかった。
でも30代半ばすぎでから、急に周りにOLちっくな女性がいる環境になって、最初は大いに戸惑ったけれど、年齢のせいか、なんだかそういうのんびりとした感じも悪くないと思えるようになっていた。
いつまでも公私ともども戦闘状態じゃあ疲れるし、ランチタイムぐらいはこうやって何人かでOLちっくにつるんでおしゃべりするのも悪くないと思う。
「それで行ってきたよ。銀座の先生のところに」
「そうそう! その話聞きたかったんですよ。異動の話も聞いたんでしょ?」
私は言われたことを順を追って話す。
「クリエイティブな仕事かあ。なんかそれはイメージできるなあ」
とRちゃん。
「だんなさんのことも当たってますよ。だって超優しくていいだんなさんですもんね」
とKちゃん。
「かなりいいこと言われてるじゃん。娘が弁護士に向いてて息子は天才なんでしょ。それいいよ」
とTちゃん。
「でもコの字型のビルってどのビルなんだろう。美央さんの部署の入っているビルってどうだったけ?」
と再びRちゃん。
占いに関心のないSちゃんとOちゃんはコメントなし。
RちゃんとKちゃんとTちゃんは、「やっぱりあの先生は本物ですよ」とそれぞれ誰にいうわけでもなくまるで自分自身に言い聞かせるように繰り返した。
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