2010年10月18日月曜日

お正月はニースだっ!

 クリスマス、年末をイギリスで過ごした後、年初の5日間をニースで過ごした。
 と聞くとめっちゃ優雅に聞こえるよなあ~。
 イギリスはもちろん全泊人んちだし、ニースはヘレン姉さんの別荘といえば、これまた聞こえがいいが、彼女の所有するアパートを貸してもらったのだ。
 なので全然お金がかかってないのですよ。奥様っ!

 夫の父親が銀行員だったので現役時代は転勤族で住むところを転々としたため、このファミリーには故郷と呼べるところがない。
 そのころの習性なのか夫の母親は1つの場所にいつまでも住み続けられない人で、引退後も転居を繰り返し、そのためにひと財産使い果たしてしまった挙句、転居のために家を売却した金額の15%が税金で差っぴかれるという恐ろしい法律の改正もあったため、ロンドンから車で5時間もかかるウェールズ・ネクスト・ザ・シーというとんでもない田舎町に引っ越して以来、身動きがとれなくなっている。

 それで1年の半分ぐらいをあっちこっちと旅行しているのだが、それでも飽き足らないらしく膨大な借金を背負ってでも引っ越そうとするので、見かねたヘレン姉さんが、「それならミーがお金を出してあげるからファーザーもマザー(←このファミリーはなぜかダディだとかダッドとかマムなんて呼び方じゃなくて、両親をファーザー、マザーと呼ぶ。夫も同様)もちょっとはお金を出して、ニースでアパートを買いましょうよ。で、好きなときに使えばいいじゃない」と提案し、それ以来、両親は年にのべ3~4ヶ月ぐらいニースで過ごし、ヘレン姉さんたちものべ2ヶ月近くニースのアパートで過ごすので、1年のうちの半分ぐらいは誰かが使用している状態になっているのだという。

 今回私たちがニースに行きたいと言うと、気前よく「どんどん使ってちょうだい」と鍵を渡してくれて、気前いいついでに私たち家族4人分のロンドン、ニース往復の航空券まで買っておいてくれた。
 このヘレン姉さんはとにかくいい人で気前がいいので、同タイプの夫相手だと気前いい合戦になってしまう。
 この航空券に対する夫の気前いい返しはパナソニック32型ハイビジョン薄型テレビだった。日本に比べるとイギリスは特に日本製の家電は高級品で値段も高い。こういったタイプのテレビを持っている人は日本よりずっとずっと少ないので、とても喜ばれたみたいだ。
 そういえばヘレン姉さんたちが来日して私の実家に来たときに、うちの50インチのテレビを見て相当衝撃を受けたようだった。

 ヘレン姉さんのニースのアパートは旧市街にあり、長距離バスターミナルからも徒歩7分ほどの便利な場所にある。迷路みたいに細い路地が入り組んでいて、狭い路地を挟んだアパートとアパートの間に張られた洗濯ロープには色とりどりの洗濯物が吊るされ、その光景はフランスというよりむしろイタリアの町を髣髴させられる。
 ニースはコンパクトな街なので歩いてどこにでも行けるし、さらにニースから足を伸ばしてエズやグラースやモナコといった近郊の町にもすぐに行くことができる。

 アパートの築は古そうだったが、いわゆる1LDKの間取りで60平米ぐらいあるので、ホテルよりもずっと広い。
 寝室にはまだ娘が赤ちゃんだったときに私たちがイギリスに里帰りしたときに、大家族全員が集まりプロのカメラマンを呼んで撮ってもらった写真が飾られていた。
 そのときにはまだ息子と妹の3女のマデリンが生まれていなかったので、ふたりのスナップ写真もパネル大に引き伸ばされた集合写真の隣に貼られていた。
 これでこのファミリーが全員揃ったことになる。ヘレン姉さんはいつも2人のお姉さんの悪口ばかり言ってるけど、本当は家族のみんなを気にかけているんだなと寝室の写真を見て改めて思う。

 アパートにはテレビがなかったが、街をブラブラするのが楽しいのでなければないで別にどうってことはなかった。
 キッチンも使い勝手が良くて、今回私たちは5日間しかいられなかったが長期滞在するにはいいと思う。
 このアパートをヘレン姉さんは7年前に600万円(!)で買ったのだという。当時ニースは治安が悪いと言われていたらしく不動産自体が安かった上にポンドが強かったのが、安く購入できた理由らしい。
 さすがに今ではこのアパートも1300万円ぐらいになっているらしいが、それでも東京でマンションを買うことなどを考えればずっと安い。

 ニースを訪れるのは実は私にとっては2回目で、12年ほど前に当時付き合っていたモロッコ人のボーイフレンドに会うためにモロッコを訪れ彼の地でのラマダン(断食)に耐え切れず、シャンパンと生牡蠣を求めてニースにひとり避難して以来だった。
 あれから12年。まさか家族連れで再び来ることになるとは思いもしなかったぞ。

 それに対して夫は今回初めてのニース。
 相当気に入ったらしく、街をブラブラするたびに不動産屋さんに張り出してあるチラシとにらめっこしている。
 おぬしよ、いったい何を企んでいるのじゃ?

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