2010年10月6日水曜日

銀座の先生に電話してみた①

 さて気が治まらない私である。
オカンは「信じるほうがたーけ(たわけ)だ」と言うが、だって銀座の先生、あんなに断言してたじゃんっ!!
本当は受かると言われていたG大附属T小の一次抽選に落ちたときに連絡しようと思ってたんだけど、取り急ぎ受かってもダメでも国立小の受験がすべて終わってからにしようと心に決めていた。
そうだよ。終わっちゃったじゃんかよっ! 小学校受験がよぉ~!

「あらっ、ご無沙汰しています」とは、私が名乗ったあとに電話口で出た女性の第一声だ。
さすがに私が紹介した人たちが多数訪れているためか、いちげんさん扱いはされていない。
「ワレ、2万円も鑑定料払わせやがったくせに、思いっきりはずしやがったやんけっ!」と言いたいところをグぅーとこらえ、「予約を入れたいのですが」と性懲りもなく3回目の予約を入れる私。
電話で物を聞くにしてもまず予約を入れないと、答えてくれないような気がしたからだ。まったくぅ~、小心者な私。

「次回はですねえ、3ヶ月先になりますね」
なぬっ! 3ヶ月先だとぉ~!!! 最初は1ヶ月待ちで次が2ヶ月待ちで今回が3ヶ月待ちだとは、どんどん延びてるじゃんっ!
「一番早いところで3月16日になります」
マジか!? 来年のことを言うと鬼が笑うぞ。 
「じゃあ、その日でいいです。けどその前にちょっとどうしても先生にお電話でもいいので早急に確認したいことがあるんですけど」
「そうですか。でも先生は今、ちょっと買い物に出かけているので戻ったら確認します。あと15分後にもう一度電話をもらえますか?」
ということなので了解して、いったん電話を切る。
しかし買い物ってなんだろう? アシスタントに行かせりゃいいのに。

言われたとおり15分後に電話をかけると、再度女性のアシスタントが出て、
「確認したところ、清永さんなら15分ほどお電話でお話してもいいと言っています。今、鑑定中なのでゆっくりお話ができる9時半すぎぐらいにお電話いただけますか」
ときた。
おしっ! 15分だったら5000円分だなっ!

キッチンに立ってあれこれHanaちゃんが来たときのためのつまみやら夕食の準備をしていたら、家の電話が鳴る。
電話の相手は夫であった。
「ハロー、元気? ロンドンは寒いよ。雪降った」
背後では息子が誰かとふざけているのか、笑い声が聞こえてくる。息子の笑い声と夫の屈託のない声を聞いているうちに、張り詰めていた何かがプチッと切れたみたいに涙が溢れてくる。
「受験だめだったよ」
娘がTVアニメに夢中なのをいいことに、彼女から見えないように子どものように泣いた。

「ええええ~!! なんで泣くの?」
「だって落ちたから」
「それで?」
「それでって何よ」
「いいじゃん。ミーはホッとしてるよ。どうせ送り迎えするのミーじゃん。M小学校はいいよ。近いし。友だちもみんな行くし。国立行ったって、ミーたちは将来どこ住んでるかわかんないじゃん」
「そうだけど、けど私がもっと早くから準備してあげればよかったとか、Wだってもっと早く行かせてあげればよかったとか、いろいろ考えちゃうよ」
「M小学校はいいところだよ。いつまでもそんなつまんないこと言ってないで、早く気持ちを切り替えて。じゃあロンドンで待ってるから。あ、そうそうニースで行きたいレストランとかも調べておいてね。毎日電話入れるから」
そう言って夫は電話を切った。
そうは言うが気持ちなんぞは、なかなか切り替えられないものである。

そうこうしているうちにHanaちゃんがうちにやって来て、あらかじめ冷やしておいたカヴァの辛口を開け、氷を入れたワインクーラーにボトルを放り込んでおく。
娘はHanaちゃんが来てくれて大喜びしている。娘が起きている間は今日の結果の話はご法度だ。
そのあたりはHanaちゃんも心得ている。
「さっき、銀座の先生のとこ、電話したんよ」
「マジですかっ? で、どうなったんです?」
「先に予約入れてんけど、3ヶ月先やって」
「ひぃ~!」
「で、話したいって言ったら9時半に電話くれやて。15分ぐらいなら話してくれるらしいよ」
「ホンマですか。へえ~、どう先生、説明するんですかねぇ。この結果を」
「いやあ~、このあとの楽しみやなぁ」

 3人で夕食を囲みながらおしゃべりしているうちに約束の時間が近づいてきた。
「美央さん、そろそろ電話してください。私、Aちゃんとここでおしゃべりしてますから」
とナイス・フォローのHanaちゃん。
 
 銀座の先生よ。この落とし前はどうつけてくれる?

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