2010年11月12日金曜日

3度目の銀座の先生②

 「娘さんは大きなトラブルが特に起こるわけではないのですが、お友だち関係で悩んでいないですか? このお友だちとは小学校に行っても関係が続きます。ショートのボブの女の子が見えるんですけど、心当たりはありませんか?」
と銀座の先生。
 ショートのボブの女の子ねえ~。
 ・・・・むむむ、あるぞあるぞ心当たり。
 うちの娘は口が立つので保育園での出来事もよく話す。将来、絶対に関西弁で言うところの「文句言いぃ」になると思うのだが、何せグズグズとあーでもない、こーでもないと言うタイプなのだ。
 そんな文句言いぃの娘の文句の中でも頻度が高いのが、“晴美ちゃん”(仮名)というお友だちで彼女はズバリ、ショートのボブなのだ。

晴美ちゃんは小柄なのだか、気が強くしっかりしているので、みんなを仕切っている。保育園の行事なんかではよく「始めのあいさつ」だの「終わりのあいさつ」などを任されるタイプだ。
いっしょに遊んでいてもあれこれ仕切られることや、持っているものや着ているものをやたらとほしがられることや、面と向かって「Aちゃんって太ってるよね」と言われることが娘にとっていやなことなのだそうだが、人懐っこい子で会えば「Aちゃんママ~」と必ず向こうから話かけてくる。
娘が今お友だち関係で悩んでいるとすれば、今の時点では晴美ちゃんしかいないだろう。

「この子は悪気があるわけではないんですよねえ。芯は悪い子じゃないし。たぶん娘さんのことがものすごく好きでやきもちを焼いている節もあるんですよねえ」
うん、それだったらわかるかも。娘の持ち物や着ているものをやたらとほしがったり、私のところに来て甘えてみたり、やきもちだと言われると晴美ちゃんの言動はすっきりする。挙句に娘が好きな亮太くん(仮名)のことを晴美ちゃんも好きらしいし、恋のライバルでもあるのだ。
「小学校でも同じクラスになる可能性は高いですね。とにかく縁のある子です。」
なるほどねえ~。けど娘が4月から通うM小学校の新1年生は2クラスしかないのよねえ。晴美ちゃんと同じクラスになるかどうか、4月になったら確かめてやろうじゃないの。

「あとはやっぱり中学受験ですかねえ~。制服も見えるし受かるって出てますよ。中高一貫で共学がいいですね。女子校は向いてません」
「制服ってどんな制服なんですか?」
「いやあ~、ちょっとボヤけているんで、よくは見えないんですけど」
「実は今、ちょっといいなあと思っている中高一貫校はG大附属T中ではなくて、G大附属O中なんですよね。そもそもT中は高校と一貫校ではないですけど、O中は国際教育に力を入れてますから、うちには向いているんです」
「ああ、G大附属系は特に向いてますよ。T中じゃなくてもG大附属系ならいいと思います。もしかしたらG大まで進む可能性もありますからね」
「でね、先生。O中は制服がなくて私服なんですよ。中高とも。なのになんで制服が見えるんですか? ってことはO中ではないってことですか?」
淡々と理屈をこねる私。
「へえ~、O中って制服がないんですか? でも受験する場合には制服が見えるんですよ。ふつう区立でも制服がありますよね? けど中学受験しないで区立に行く場合には制服が見えないんです。だから受験すれば制服がないところでも制服が見えるんですよ」
先生も微笑を絶やさず淡々と先生なりの理屈を言う。
でもなんか釈然としないよなあ~。

「中学から高校に行くときは一応テストを受ける形は取りますけど受験ではないです。大学受験もしますけどやっぱり系列の大学って出ているからG大ってことになりますかね。同じ国立でもT大附属系はやっぱりダメです。娘さんには向いてません。あと塾はあまり早くから行かなくてもいいです。娘さんのピークは5年生ですから受験時にピークに近づけるためには塾通いは5年生または4年生からでもだいじょうぶです」
中学受験塾ねえ~。やっぱり話が先すぎて全然ピンとこない。

「あと海外と縁が深いですねえ。交換留学生に選ばれる可能性も中学生ぐらいのときに出てきます。あとは海外の大学に行く可能性もありますね」
「え!? でも大学はG大に行く可能性が高いんですよね? それってG大を卒業してから海外の大学に行くってことなんですか?」
「・・・うーん、そこまではちょっと」
途端に歯切れの悪くなる先生。おいおい、だいじょうぶかよ。

「あと本人がモデルとかアイドルに憧れているみたいなんですけど、どうなんですか?」
うちの会社の宣伝用のDVDに出演して以来、何かあるたびに「芸能事務所に入れろ」とうるさいうちの娘。芸能人なんて国立小学校に入るよりもよっぽど倍率が高いんだぞ。抽選はないかもしれないけど。
「ああ、いいんじゃないですか。お母さんがステージママになってがんばりすぎなければだいじょうぶですよ。芸能界で大成はしませんけど、趣味程度だったらOKですよ」
なるほど。青春の思い出程度ならという意味なのね。それにしてもステージママだなんて。こういうときに本人以上張り切ってプレッシャーをかけかねない自分の性格を言い当てられているようで、いやな感じ。

 おっと、この時点ですでに50分経過。このままいくと娘の話だけで2万円かかってしまうではないか!
 いけないいけない、早々に次に話題を移さねば!

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