あ~、娘と息子の件ですでに1時間。アシスタントの女性が時間を終了の催促をするまでに、急いでその他のことを聞かねばっ!
「あの~、これまで会社を辞めて“先生”と呼ばれる仕事をするようになるだとか、クリエイティブな仕事をするだとかって言われてきたんですけど、それってどうなんですか? そういう仕事を始めるのは今年の4月からって言われてたんですけど、もう来月ですよね? 会社を辞めるような感じにはまったくなってないんですけど」
時間がないので質問も直接的だ。
前回見てもらったときに、5月7月9月と「先生」と呼ばれる仕事関連で頼まれごとをするのでボランティアでもいいから受けることと言われていたが、結局それは早紀ちゃん(仮名)とのプロジェクトを指すのか、時期はズレたが黒百合姉妹から頼まれた英訳を指すのか未だに不明だし、それは全然実を結んでいない。それ以外でもましてや来月会社を辞めてまでやるような仕事なんてあるわけでもない。
お受験のみならず、私の仕事に関しても、なんだ当たってないじゃんっ!というのが、今の現状なのだ。
「そうですか。でも今年の4月から仕事運は上昇するんですけどねえ。やはり個人で仕事をして成功するって出てますよ」
のんびりとした口調で話し続ける先生。前までは個人で何かできることがあればと思っていたものの、このところはむしろ「寄らば大樹」というか、昨今の不況を考えればしがみつけるならば会社にいつまでもしがみついていたいものだと考えるに至っている。
要は個人でどうこうしたいだなんて、最近では望んでいないのだ。
「43~45歳の間が勝負ですね」と先生。
43歳って今年じゃんっ! いったいどうやって勝負するのだ?
「やっぱりね、3~4人で集まって話をしているのが見えるんですよね。うん、内容も“教えること”、“伝えること”、“クリエイティブなこと”で変わりなし」
今の仕事だって3~4人で集まって結構話してますよ。
「だから今の仕事ではないです」
ああ、だからそれっていったいなんなの? 以前先生は自然にしていればそういう仕事を周りから押される形でやっていくって言ってたけど、全然そんなふうになってないじゃんっ!
「そうそう、前に先生に勧められてブログもやってますよ」
えへへ、内容は先生の占い結果が当たるかどうか検証するブログだなんて、本人を目の前にしては言えないけどね。
「ブログはいいですよぉ。ぜひ続けてください」
マジですか。先生の占い結果は当たってないぞぉって書きますよ。正直に。
「そうだ。あとこの人がビジネスパートナーなのかなって人が、ひとりいるんですけど」
来る前に教えてもらっておいた早紀ちゃんの生年月日を書き込む。
ささっと計算して数字を見ながら、
「対等なパートナーだったらものすごくいい相性ですよ。けどこの人の下につくと良くないな」
と言う先生。そうかあ~。早紀ちゃんは先輩だけど今のところ、どっちが上ってこともないから、今の感じだったらいいのかな?
「この人って女性ですよね?」
念を押す先生。いえいえ。男性ですよ。れっきとした。名前は女性っぽいけど。うん!? でも名前は教えてないし。生年月日だけで女っぽい名前だって出るのかしらん。
「え? 男性なんですか? ああ~、じゃあだめですね。この人はあなたが今後組んでいく人ではないです。彼がこれから紹介してくれる女性は吉ですけどね。この人自身ではないです。この人が女性だったら話は進んでいたし、これまでにも細かい仕事がちょこちょこ入ってきたはずです。基本的にはあなたの仕事に関して前お話したことと、変わりはありませんよ」
そうなんだ~。確かに早紀ちゃんとのプロジェクトは全然進んでないもんなあ~。
納得と言えば納得だ。
おっ! ここでアシスタントの人がドアをノックした! もう時間だという催促だな。
けど1回2万円なのである。セコい私は粘れるとことまで粘っちゃうぞ~。
お受験で大きくハズされてるしな(←一生言ってやるっ!)。
「夫はどうですか? 相変わらず会社辞めたがってるんですけど」
「今年来年、出世運がありますよ。会社にもっと認められます。転職はもう少し待ってください。だんだん収入は増えていくので心配ないですよ」
実際は結婚以来、年々収入が減ってるんですけどね(←切実)。
「この人はマイペースですよね(←その通り!)。然るべきときにいい条件の仕事の話がありますからだいじょうぶ。これも前に言った通りです」
だったらいいけどね。
「あと不動産とか、将来住む場所は?」
「3年は動かないでください。日本でも海外でもいずれにしろ将来の拠点という形で不動産を買うことになります」
「あれ? でも前に先生は日本では私たちは不動産を買わないって言ってましたよね?」
「それは子どもたちと住むための、つまりは家族全員で住むための通常の不動産の買い方ではないということです。日本における子どもたちの拠点という贅沢な買い方をすることになります。将来的に住むならヨーロッパでしょう(←そりゃあいいよね)。時期は娘さんが中学生になるときか、大学を卒業するかのタイミングでしょう(←10年のタイムラグだぜっ)。息子さんにとっては中途半端な時期の移住(←だからうちは年子だっちゅうの。1年ぐらいでそんなに変わるかぁ?)になりますが、彼を個人プレイヤーとしてしっかりさせるためには、早く海外に出したほうがいいです」
え? 娘が中学生になるか、大学を卒業するタイミング?
だって先生はさっき、中学はG大附属系がいいって言ってたじゃん。大学だってG大って言ってたんだから、それならそんな時期に海外に移住なんてありえないじゃん。
どうなわけ? そこのところは?
再度ドアがノックされる。今回のノックは「はよせい。ええかげんにせいよっ」という苛立ちがこめられているノックだ。
「あ。もうお時間ですかね」
さすがの先生も2度のノックは無視できないらしく、終わりを告げる。
ドアを開けるとアシスタントの女性が、「すみませんね。あとが詰まっていて」とちっともすまなさそうに事務的に言う。
私は釈然としない気持ちのまま、2万円払って事務所をあとにした。
0 件のコメント:
コメントを投稿