2011年5月29日日曜日

私立に挑戦?

そこで突然ひらめいたのはみっちゃん(仮名)のところの陽太(仮名)だ。
 皆さんは覚えておいでだろうか?  娘のお受験編のときにさんざん登場したみっちゃん&陽太親子を。
 T大附属T小が第一志望だった陽太(というよりみっちゃん)は、受験した私立4校 もすべて合格。その中でも名門GS小に陽太が「塩むすび(←GS小は毎日お弁当持 参)だけで毎日我慢しますから、お願いですからGS小に行かせてください」と土下座して頼むので(←6歳にして行きたい小学校があるのが驚異的!)、T大附属大T小 の抽選もあきらめ、GS小に入学したのであった。
 GS小は難関小学校として名を馳せており、生徒の親はほとんど医者だという。

 「ペーパーが難しいところといえばGS小とか?」
 「GS小ねえ。いいんじゃない?  記念だったら。ちなみにここ受ける子はみんな胎児のときから準備してるからね」
 「胎児がお受験準備!?」
 思わず突拍子もない声を上げる私。
 「GS小はね、月齢によって試験にハンディはつけてくれないんだよ。だからどうしても4月とか5月生まれの子が有利になるから、GS小を目指す親は当然、子どもがそのころに生まれるように調整するんだから。そう考えると2月生まれのLくんは不利だけど、いいじゃん、練習なんだから」
 うーん。厳しい。そういえば陽太は5月生まれだったよなあ。

 「けどさ、練習っていっても、美央さんどうする?  もしLくんがGS小なんか受かっちゃったりしたら」
 「そんなとこ、まず受かるわけないじゃんっ!」
 「わかんないよぉ~。でもどうする?  まあGS小だったら普通考えちゃうよねえ~」
 「うん。GS小だったら無理しちゃうかも」
 「考えようだよね。どうせ中学受験するなら4年生ぐらいから塾代に10万以上使うんだから」

 ふと息子がGS小の制服を着ている姿を思い浮かべてみる。
 う~ん。なかなか似合ってるではないかっ!  両家のお坊ちゃん風だわ。GS小かあ~。
 はっ! いかんいかん。すっかり泰子(仮名)に乗せられているではないかっ!
 まったく、油断も隙もない。そんな悪魔の囁きに乗ってどうする? 私!

 家に帰ってさっそく夫にGS小受験の話をする私。
 「私立? ありえないっ! そんなお金なし!」
 案の定、全力で反対する夫。
 「だ・か・ら。単なる練習だって。どうせ受からないんだから」
 「じゃあ、ますます意味ないっ! しかもカソリック!」
 「いいじゃん。カソリックでもなんでも。あなただってどうせ無宗教なんだから」
 「そういう問題じゃない!」

 そうGS小はカソリックなのである。夫はプロテスタントの国からやってきて、両親はメソジスト信者(プロテスタントの分派)だそうだ。
 子どものころはメソジスト教会の聖歌隊で賛美歌を歌っていたという夫だが、70年代にイギリスで吹き荒れたパンクの洗礼を受けた夫は、14歳のときロンドン郊外の町で13世紀ごろ建てられた木造の教会の敷地で突然、「神はいない」と天啓を受けたのだという。それ以来、無神論主義を貫き通す夫である。

私も特定の宗教を信じているわけではないので、夫と宗教観が一見似ているが、初めから「神はいない」と考える夫に対して、私は多くの日本人同様、神様はいないのではなく、たくさんいるのでそのときの都合に応じて使い分ければいいと考えている。その違いはとても大きい。
夫は神社に行ってもお寺に行っても絶対に拝まない。頭を下げない。何も信じな
いことにこだわっているのだ。
対する私はありがたそうなものなら何でも拝む。別に自分の信仰心など何に対しても減るもんでもなしと考えているからだ。
だから子どもの行く学校がカソリックであろうと、プロテスタントであろうと関係なし。 カソリック系の学校のほうがプロテスタント系より授業料が安めだと聞けば、じゃあカソリックにしようと思うほど節操がないのだ。

でもね、そんなこんなも受かってから言えって話ですよ。まったく。

2011年5月22日日曜日

悪魔の囁き

 「ねえねえ、Lくん(←息子)、私立は受けないの?」
 のっけから恐ろしいことを言ってのけるのは、近所のママ友・泰子(仮名)だ。
 うちの子どもたちは泰子からピアノを習っているので、毎週レッスン日が終わった後に迎えに行っているのだが、そこでうだうだと井戸端会議をするのが習慣になっている。
 娘をO女大附属に行かせているためか、泰子はお受験話が大好きで、無知な私にあれこれレクチャーするのが何よりも楽しいらしい。

 「私立なんて受けないよ。そもそも授業料が高いから行かせられないし」
 「でもさ、国立の場合、いざ抽選に通ったときに模擬以外でも試験の雰囲気に慣れておかないといけないから、練習のつもりでも受けたほうがいいんじゃない?運試しの国立志望の以外の人は私立も受けるもんだよ。1校でもいいから受けてみるべきじゃない?」
 「受験料ってどれぐらいなの?」
と聞いた時点で、私立なんて受けないもんね~という意思が揺らいでる私。

 「だいたい2万5千円から3万円が相場だね」
 「高っ!」
 「国立が破格なんだよっ」

 そう。国立の場合、受験料は1次抽選が1000円、2次試験で2000円というのが相場なので、それと比べると私立は10倍以上の受験料がかかる計算になる。
 それを何校も受ける人がいるんだから、受験するだけで10万円ほどの出費になってしまう。

 「う~ん。単なる練習でその値段か・・・」
 「やっぱり場慣れは必要だからね。Lくんの場合はあくまでも練習なんだし、せっかくだからいいところ受けなよ。第一志望はT大附属T小でしょ?  だったらペーパーが難しいところがいいよ。傾向が似ているところじゃないと練習の意味ないしね」

 そう。このところの第一志望はT大附属T小である。前年に娘が2次試験を受けてさんざん期待を持たされて見事落とされた因縁の小学校である。
 小学校お受験塾Wの国立コースはほぼT大附属T小に照準を合わせて作られているし、何よりもスパルタちっくなところが娘には厳しいと思ったけど、いつまでも赤ちゃん気分が抜けない息子にはピッタリだ。体育学校ちっくなところも実はスポーツが得意な息子にはいいかもしれない。
 Wで毎週洗脳されていることもあって、ほぼT大附属T小の父兄の気分でいる私である。

 「ペーパーが難しいところねえ~(ため息)」
 「Lくん、かなり頭いいよ。ピアノの楽譜だって覚えるの早いし、リズムの計算とか速いし、才能あるよ。ピアノはバカだと弾けないから、美央さんさえちゃんと勉強させればいけるって!  問題は態度が悪いところだよ。態度さえちゃんとしてればね。まあ、こっちはしつけの問題だけどね」
 う~ん。要は私次第なのね。なんというプレッシャー。

 あとは国立志望の場合、最大のネックは抽選である。特にくじ運が誰よりも悪い私の場合、これは致命傷だ。抽選に通らなければ試験さえ受けられないのである。最悪な場合、受験予定の国立4校とも抽選で全滅してしまう可能性だってある。その場合、実力を試すこともなくお受験が強制終了されてしまう。なんのための毎週の塾通いなのか?  その点、私立は抽選がないのでとりあえず試験を受ける
ことができる。
 うーん、そう考えるとやっぱり受けておくべきなのか? でもどこを受ける?

 

2011年4月30日土曜日

息子のバレエ観劇デビュー

 子どもたちが習っているバレエの先生方の定期公演が年2回ある。1回目は夏で2回目は12月におこなわれる恒例の「くるみ割り人形」。
 実は大人になるまで生のバレエを観たことがなかった私。初めて見たバレエが先生方のやった「眠りの森の美女」。いわゆる3大バレエといわれるもののひとつである。
 ここのバレエ団は舞台下にオーケストラが控えており、生のオーケストラを堪能する楽しみも味わえる。
 初めてバレエを観たときに買ったチケット代はC席3000円なり。
バレリーナたちは遥か遠くにしか見えなかったけど、ゴージャスな舞台芸術と美しいバレリーナたち、華麗な踊り、そして迫力満点の生のオーケストラまで見られて3000円とは、なんとコストパフォーマンスがいい(←観客側からすれば)芸術なんだといたく感動して以来、毎年バレエを見ている。

バレエのお供は娘。例の「眠りの~」を観たとき、娘はわずか3歳。
そしていつもつれだっていくのは、お受験エキスパートにして子どもたちのピアノの先生でもある泰子(仮名)と真美ちゃん親子だ。
娘たちは3歳のときからわりと静かに最後までバレエを観ることができるので、毎回いっしょに来ている。
先生たちも毎回それなりの役(←もちろんプリマじゃないけど、「くるみ割り人形」なら「アラビアの踊り」とか、「シンデレラ」なら「仙女」とかといった3番手4番手ぐらいの感じ)で出てくるので、見ごたえもたっぷり。

泰子も他のママ友も子どものころからバレエを見慣れているらしく、こういったところにいちいちコンプレックスを刺激されてしまう。
この格差社会で子どもたちに文化的格差だけは味わせまいと、せっせとバレエを見せたりクラッシックを聞かせたり、ちょっとハイソなことをしてみせる田舎者の私である。

 そして今回は息子もバレエに連れて行くことにした。今回の舞台は「コッペリア」。人形作りのコッペリウスが作り出したからくり人形コッペリアを巡る騒動を描いた軽いタッチのコメディである。
 息子をバレエに誘うと初めはいやがったが、何度も声をかけているうちに、「僕も行くぅ!」と言い出したためにすかさず息子の分のチケットをゲットしたのであった。
 その旨を先生に告げると、
 「そうですかぁ。Lくん(息子)も来るんですね。はあ~」
となぜかあまりうれしそうではない様子。なんでだ?

 そして当日。
 子どもたちにお出かけ用の洋服を着せて、いざ出発!
 バレエは座席への出入りが、他の演目に比べると厳しく制限されている。
 まず舞台が始まってしまうと、途中で出たり入ったりすることができない。
 だから子どもが騒いでしまうとアウトである。静かにさせようと外に出ると、次の幕間に入るまで再入場できないのだ。

会場はほぼ満員御礼の入り状態。今回はちょっぴり奮発してA席ひとり7000千円なりである。3人分なので2万1千円といい値段だ。情操教育はお金がかかるのう(涙)。
ちなみに夫はバレエに対する興味0なので、毎回パス。
 そして幕が開く。
隣にいる真美ちゃんは足を揃えてきちんと座っていて、実にいいところのお嬢さんらしい振る舞いだ。さすがはO女大附属!  お受験に成功する子ってやっぱり違う。
 うちの娘は静かにはしているのだが、どうも長時間きちんと座っていることができないらしく、両膝が開いていたり、体が曲がっていたり、しつけが行き届いていない感じ(←まあ私のせいだが)。
 
息子に至っては公演中叫び出しそうになるのを、口を塞いで押さえつけているような有様。
 立ったり座ったりペラペラしゃべったり、お腹がすいただのノドが乾いただのぶーたれるのをなんとかなだめ、いまひとつバレエの世界に没頭できない。
 挙句は娘も息子も途中で大爆睡!
 なんたること! 2万1千円、返せっ! の世界である。

 そして後日、バレエの先生から言われたこと。
 「いやあ~。当日、Lくんが見に来るっていうんで、超緊張しましたよ。客席で何やられるんだろなんて思っちゃって。自分の出番どころじゃなかったですよぉ!」
 ご自身の出番や踊りの出来より、客席で息子が何をしでかすのかと、バレリーナに心配されてしまう我がバカ息子。

 ほんと、マジで2万1千円返せよ。と思う今日この頃であった。

2011年4月17日日曜日

国立対策模試

とりあえず毎週日曜日の塾通いもすっかり生活に定着してきたころ。初めての国立対策模試がおこなわれた。
模試とは模擬試験を略したものだが、みなさん。模試を初めて受けたのはいつですか?

私の場合は中学3年生のとき。
うちの田舎では当時(←今は知らない)、中3になるとほぼ強制的に4回分、地元新聞の冠がついた5教科の模擬テストを受けさせられた。
 この合計点数と内申点をプラスして、進学先は概ね半強制的に、担任の先生によって決められてしまう。
 うちの田舎では当時(←今は少し違う)、誰にとっても高校受験が初めての受験で、私立に行くのは公立に落ちた子だと相場が決まっていた。
 公立高校も進学校から底辺校まですべてのレベルに対応するだけの学校があったので、模擬によって自分のレベルを図ることができた。
 公立はひとり1校しか受けられないし、きっちり受験先も振り分けられているので、どんな人気校であれ倍率が2倍だの3倍になることは100%ありえなかった。
 受験者もぴったり定員分に収まるか、せいぜい定員プラス最大20名ほどまでの倍率にしかならない。
 昨今の首都圏の中学受験などに比べたらぬるいシステムだけど、その代わりあぶれる子もいなかった。受けた学校はほぼ入れるという、今から考えると非常に牧歌的な受験だった。
 この模擬で好成績をとると主催の地元新聞に名前が載る。私や上の弟は一度も名前が載ったことがなかったが、下の弟は毎回名前が載った。しかも毎回県で2番の成績だった(←いやらしい身内自慢.
たまには許して♪)。

その後受けた模擬は大学受験のためのもの。
前振りが長かったけど、要は模擬=小さな子どもが受けるようなイメージはなかったわけよ。
前日から泊まりにきていたまみちゃんも、
「なにぃ? 小学校受験のための模擬っていったい何させるんやねえ~? わけわからん世界やねえ!」
とビックリしている。
そして彼女はひとこと付け加えるのを忘れなかった。
「昨日からこの子(←息子のこと)見とって、思ったんやけどねえ」
とここで一拍おき、
「あんた、絶対大金をドブに捨てるハメになるわ」

ガーン! 何? お受験が無駄ってこと?
そうはなるか。さあ、息子よ。模擬の結果でガツンとお前の実力を見せておやり!

息子が試験を受けている間、私たちはWのカリスマ校長・新田先生(仮名)の解説を聞く。
今日のお題は「国立小学校に向いている子どもとは?」である。
うむむ。聞きたいぞ。果たして息子は向いているのか?

新田先生がまとめたポイントは3つ。

①人のお話がちゃんと聞ける子(特にG大系)
②反応がいい子。打てば響く子
③自分の言葉で文章にできる子

・・・・・・。
だめだ。息子にはまったく当てはまらない。
まずは①。とにかく人の話を聞いていない。パス!
②。打っても響かない! 
③。自分の言葉がない。あるのは意味不明の奇声だけ!

ガーン。だめじゃんっ!

そして新田先生が各校の倍率について解説し出す。
特に人気のO女大附属とT大附属について。
O女大附属の場合は 志願者 男子1000人→クジで150人→テストで50人→合格25人
              女子2000人→クジで150人→テストで50人→合格25人
T大附属の場合は 志願者 男女4000人→クジで1800人(うち辞退300人)→テストで260人
             →合格160人        

いずれにしてもすごい倍率である。これだけ見ると「ああもう無理無理っ!」ってなるでしょ?
ところが我らが新田先生は違う。
まず国立受験する家庭は以下の3パターンに分けられるそうだ。
①国立用の準備をしている家庭 → いわゆる私たちですね。新田先生いわく「我が塾に通われている皆様のようなご家庭です」
②私立の難関校を狙っている家庭 
③何も準備していない家庭

一見すると②が良さそうだけど、私立の準備を周到にやっている家庭の子どもは「訓練されている」感が出て、国立が望むノビノビとした子からかけ離れているのだそうだ。

なので①のような家庭は全受験生の10%ほど。その中の勝負であれば実質倍率は10分の1以下であると、新田先生は言う。
「ですから皆さんのお子さんは大変有利なのです!」
出た! 新田先生の必殺セールストーク!! よくわからん数字のトリックだ。
もうわたしゃ、あんたに、降参よ!

2011年4月15日金曜日

まみちゃん

 まみちゃんがうちに泊まりにやってきた。
 まみちゃんとは私の高校時代からの友だちで、初めて会ったのは高校1年だった15歳のときからだから、もうかれこれ何十年の付き合いである。
 彼女は地元に住んでいるのだが東京が好きらしく、定期的にやってきてはうちに泊まっていく。
 
 この日も朝、地元から長距離バスに乗って彼女は東京からやってきた。
 私はといえば、前日大学の東京校友会絡みの飲み会があり、べろんべろんに酔っ払ってきて帰ってきたので、朝は絶不調でゲロゲロの二日酔い状態だ。
 こんな状態で朝から子どもたちのバレエに付き合わないといけないのかしらん。うげげ。
 ソファーでボロボロの状態で横たわる私に対して、長距離バスに揺られてきたというのにまったく化粧崩れもしていなければ、よれてもいないまみちゃん。
 ねえ、なんであなたはどこにも毛穴という毛穴がないの?
そんな陶器肌のまみちゃんが私をじっと見つめて言う。

 「あんた、相当疲れとるねえ~。泊めてもらうお礼にマッサージしたるわ。まずは顔をやったるで。温タオルってどこにある?」
 おお、マッサージ! わたしゃ、マッサージの類が何より大好き! もう大富豪になったら(←絶対なれないけど)、専属のマッサージ師を真っ先に雇うねっ!

 電子レンジで温めた3枚のタオルを駆使しつつ、何やらひんやりとしたローションで私の顔を撫で回すまみちゃん。
う~ん、極楽。毛穴から昨日のアルコールが染み出してきそう。ゲロゲロ。
 「あんた、パックとかやっとらんやろ。あごの辺とか角質がたまってザラザラしとるよ」
 きゃーっ! その通り! だって忙しいんだもの(←言い訳)。
 さすがはプロの腕。私はあまりの気持ちよさに意識は真っ白よ。

 ちなみにまみちゃんはそのころ自分のサロンを作ったばかり。
 高校を卒業してから超大手化粧品メーカーに就職したまみちゃんは美容部員として、薬局とかデパートに派遣されていた。
 今でもばっちりなお化粧はこのころからなのだ。年季が違う。

 20代前半で結婚し、その後も化粧品関係の仕事をしていたまみちゃんに30代初めに転機が訪れる。 
その転機とは離婚だった。
ひとり息子を抱え、大変な苦労をしたのにも関わらず、天職ともいえる美容関係の仕事を続けている彼女に生活疲れだとか、所帯やつれなどといったものが一切顔に表れていない。
偉い! えらすぎるぞ。

息子もすっかり大きくなったので、こうしてちょくちょく東京に遊びに来ているのだが、晴れて実家の敷地内に夢のサロンをオープンさせたわけだ。
そこでヘアメイクとかエステだとかをやっているのだが、施術をされる女性からしてみれば、やっぱりきれいな人にやってもらったほうがいいに決まっている。
そんなまみちゃんが始めたサロンでの奮闘記がこれ→http://ameblo.jp/libra-goddess16/

まみちゃんの未来に幸あれ。

2011年4月10日日曜日

美佳先生(仮名)、撤退

 毎日朝早く起きて、息子のお受験勉強に付き合い、土曜日には私のフラメンコ、子どもたちの英語の家庭教師、その後に娘のアルゴクラブ、息子の幼児教室、日曜日は朝から子どもたちのバレエ、午後からは息子のお受験塾W、月曜日の夜は泰子(仮名)のところで子どもたちのピアノと、毎日バタバタだ。
 どうしても働いていると子どもたちの習い事が週末に集中するので、仕方がないといえば仕方がないのだが、
週末が忙しい。
 そんなこんなで月日もバンバン過ぎていき、気付けば夏である。

 子どもたちの英語の先生・美佳先生は慶応卒の帰国子女でしかも美女ときているのだが、残念なことに2ヶ月で辞めてしまうことになった。
 本業はウェブデザイナーだそうなのだが、そちらの仕事が忙しくなったので辞めたいのだという。
 私は元々、英語はお受験が済んでからでいいと考えていたので、ひとつ予定も減らせてよかったぐらい。

 ただ思うに、これは美佳先生のせいではないけど、子どもたちにとっても英語の時間はあまり楽しい時間ではなかったようだ。
 読み書きを中心にしていたのだが、まず娘と息子が同じ時間で同じことをやらされていたのだが、ふたりの知的レベルが違いすぎて、娘にとっては簡単すぎ、息子にとってはちんぷんかんぷんでついていけなくて、どちらにとっても中途半端なものになってしまった。

 それは余白にみっちりと書き込まれた落書きを見れば一目瞭然で、娘のほうはマンガ形式で登場人物に「え~とえいごできりん2ひき、ゴリラ3びきであわせて5ひきっていっても、なんだ。これってにほんごでかんがえれば、たんなるさんすうじゃないかっ!」と言わせ、授業内容を批判しているし、息子の落書きはぐちゃぐちゃの線が書きなぐられていて、なぜかものすごく汚い字で「ぼいんまん!」と大書きされている。
 そう、息子は授業に飽きると美佳先生の膝に座って、先生のおっぱいにさわりまくってセクハラしてたのだ。
 その挙句、「ぼいんまん」の落書き。

 そりゃ、うら若き乙女の先生は辞めるよな。
 トホホ。

短信:そういや~、占いでハズレていたこと

 3月に銀座の先生改め麻布の先生に診てもらったことでハズレていたこと。

 それは娘に関することで、保育園で同じクラスだった春美ちゃん〈仮名〉のことだ。
 同じクラスでおかっぱの女の子が娘に意地悪したりするけど、ヤキモチの裏返しであること。また腐れ縁なのでずっとクラスが一緒になるけど、時々ケンカもするけど、大きなトラブルになることもないと先生は入っ言った。

 娘たちの学年は2クラスしかないのだが、入学式の時点でクラスが発表されていて、彼女たちは見事に違うクラスだった。
 なんだよぉ~。同じクラスになるなんて言っちゃって違ったじゃんっ!
 学童じゃあ、確かに一緒だけどさ~。

まったく先生はいったいどうしてしまったのか? 神通力が落ちてるぞ。

2011年3月22日火曜日

M小学校原理主義者の登場③

「あのときお受験なんてしないって言ったじゃないっ! しょせんあなたもそんな人なのね?」
ファイティングポーズを崩さない曽我部さん(仮名)。

「言っておくけど、M小学校はすごくいいわよ。給食だって“全国おいしい給食ベスト10”の中に入ってるんだから! 何よ、この前の“給食試食会A”に行かなかったの? だめじゃないの!」
あの~、“給食試食会”って平日の昼にあって、働いてるとそんな時間無理なんですけどぉ~。

これでもかこれでもかとM小学校のポジティブなところを列挙し始める曽我部さん。ここまで頑なにM小学校バンザイって人は初めてだ。校長先生ですら、きっとここまで入れ込んでないと思うぞ。

それに比較して、陽太(仮名)が行っている私立のG小やそのほか国立もメタクソである。特に曽我部さんの舌鋒の矛先になったのは、泰子(仮名)のところのO女大附属小と我らが憧れのT大附属T小である。
つーか、両校とも負けず劣らずの超人気校じゃんっ!

曽我部さん曰く、「O女はまともな宿題すら出さないので行ったらバカになる」だの「O女に行っても大した人生は待っていない」だの「T大附属T小は人を蹴落とすことしか知らない冷血漢の行くところ」だの「T大附属T小に行ってノイローゼになった人が何人もいる」だの、出るわ出るわ、両校の悪口が。
しかも合間合間にどの有名校にも必ず彼女のイトコやら親戚やらが通っていたらしいのだ。
もう、お受験反対と言いたいだけなのか、身内自慢がしたいのか、どっちやねんっ!
あとね、いい小学校に行ったらその後は安泰だなんて、誰も思っちゃいないからねっ!

「これだけ言えばあなただって、どれだけ小学校受験がくだらないものかってわかるでしょ? Aちゃん(←うちの娘)だってM小学校でラッキーだったのよ。だからLくん(←うちの息子)にもお受験させるだなんて無駄なことさせないで、素直にM小学校に決めればいいのよ。第一、国立とか行かせて、あなたは子どもをどんなふうに育てたいわけ?」
と口撃を緩めない曽我部さん。辛うじて反撃を試みるもすべて撃沈。というよりハナから戦意喪失している私。
だって相手の言うことを聞く気もなさそうだし、そもそもそこまで人んちの教育方針というか、そういったことにあれこれ干渉される筋合いはまったくないからだ。
しかもここまでお受験を否定する本人は幼稚園、小学校と人一倍お受験をやらせてるんだぜぇ~。

実際、何度かいかにもお受験の面接の帰りですといういでたちをした曽我部さん一家を見かけている。
仕方なくお受験につきあってますといった感じのダンナさんや苗子ちゃん(仮名)に、あれこれ口やかましく指図しているお受験スーツ姿の曽我部さんを見ているだけあって、説得力ないよって感じ。
これだけ足蹴に有名小学校のことを貶すのも、どう考えても負け犬の遠吠え(←別の意味でな)にしか聞こえないし、ここまでM小学校を原理主義者的に絶対視するのも、そこまでしないと自分自身が納得させられないからだと思う。
そう考えるとなんだかかわいそうだぜ、曽我部さん。

けどね、そこまであーだこーだと言われるんだったら、息子のお受験にバッチリ成功して、「T大附属T小に行っても、人を蹴落とすことばかり考える冷血漢にはなってほしくないわ♪」などと思いっきりイヤミを返してやりたいと思う悟りからは程遠い私であった。
ふんっ! こうなったら絶対に見返してやるからね!

2011年2月28日月曜日

M小学校原理主義者の登場②

 今から6年以上前のこと。娘を出産してから育児休暇を取得していた私は、初めての専業主婦ライフを送っていた。
 元来家にじっとしていられなくて寂しがりやの私は、ガンガンママ友を作った。住んでいる場所が都心のオフィス街のため人もあまり近所には住んでいないし、子どももいないと思っていたら(←実際、家に来た保健所の人から“この辺りはちょうど子どものいないところなんですよぉ”と言われた)、うちから3軒隣の超高層タワーマンションに、娘と同じぐらいの年頃の子どもたちがわんさかいた。
 そこでイッキにママ友が増えたわけだが、彼女たちはみんな専業主婦でちょいセレブ(←本物のセレブはうちの近所なんかにゃ住んでないっ!)だった。

 そのため誰かの家でお茶をすると必ずウェッジ・ウッドかミントンあたりのティーカップに丁寧に淹れられたコーヒーか紅茶に、“これいただきものなんだけどぉ~”と言いつつしっかり近所のデパートで買ってきたばかりなのが丸わかりのトップスだのユーハイム・ディー・マイスターなどのケーキを食べ(←酒飲みには辛い!)、子どもたち(←そのころはまだ赤ちゃん)をその辺で遊ばせつつ、話題の中心は常に“ねえ~、幼稚園どうするぅ?”または“小学校はどうするぅ?”だったのだ。
 
 田舎者の私に幼稚園受験だの小学校受験だのの知識や経験があるわけはなく、幼稚園受験に至っては共働きの我が家は100%保育園しか選択肢がないので、まったく関心も興味も持てない話題だった。
 そもそも私は銀座の先生改め今は麻布の先生になった先生(←ややこしいな)から、国立受験のことを言われるまで、まったくお受験のことなど考えたこともなく、保育園のあとは無条件に家から数十秒のM小学校に入れる以外ノーアイディア状態だったのだ。
 
 そんなある日、何人かで矢崎さん(仮名)宅に集まった。ちなみに矢崎さん宅はその超高層マンションの最上階で、そのマンションの中で一番広い住居面積を誇り、お値段も最高級の億ションで同じマンションの住人たちからの羨望を集めていた(と思う)。いわばちょいセレブ主婦軍団の中におけるヒエラルキー(←つまんねぇっ!)の頂点に矢崎さんは君臨していたのだ(←オーバー)。

ご主人が急成長中のベンチャー系企業の社長でいわゆる社長夫人の矢崎さんなのだが、本人は至って普通な素朴な人で、ご主人が自分へのごほうびのつもりでシャトー・マルゴーだのロマノ・コンティーだのわかりやすい超高級ワインをコレクションなんかしたりすると、
「そんなお金があるなら、恵まれない人に寄付したらんかいっ!」
と言って返品させたりするのだという(←だったらうちにくれ!)。
この日もさんざんみんながお受験話で盛り上がる中、私と矢崎さんは話の輪に加われないでいた。
「ねえ、美央さん、みんなが帰ったあともちょっと残っててよ」
とそっと耳元で囁く矢崎さん。
なぜかそれをめざとく聞きつけ、みんなが帰ったあとも残っていた曽我部さん(仮名)。

そして3人だけになったときに、
「みんな受験受験ってすごいねえ~。こんなに近くに小学校(←このマンションからM小学校は真正面)があるんだから、そこでいいのにね。それに私、地方出身だから全然そういうのわかんないんだぁ~」
と首をすくめる矢崎さん。
「私だって田舎者だからわかんないよ。ただ将来履歴書に幼稚園とか小学校を書く欄なんてないわけだから、最終的には大学になるんだろうけど、今は大企業だって潰れる時代だし、昔みたいにいい大学に行ったらいい会社に入れてっていう保証もないしね」
「そうそう、子どもなら泥んこになって遊べだよ」
「あと日本のいい大学をそこまでお金をかけて出たって、東大ですら世界の大学ランキングの100番目ぐらいなんだし、だったら世界の大学をめざしたほうがいいよね」
「確かに」
「まったく子どもにそんなにお金かけるぐらいなら、その前に親だっちゅうねん」
「そうそう。親が楽しそうにしてるのが一番の教育だよ」
私と矢崎さんはお互い同志を得たような気になり、大いに溜飲を下げる。

「私はふたりと違ってこの近くの出身で実は小学校から短大までずっと私立だったから、みんなの言うお受験の世界はよく知っているけど、でも音羽のお受験殺人事件でもそうだったように、私に言わせればはっきり言ってお受験って騒いでるのって地方出身者ばかりなのよねぇ~。または子どもの小学校受験で階級上昇を狙うようなギラギラした人が多いから、昔から住んでいる地元の人たちにとっては何を地方の人たちが頑張っちゃってるの?って鼻白んでるのが現実なのよ。だから今日みたいな話題になっても私的には矢崎さんとか美央さんの感覚に近いっていうか、あっ、私はこっちのグループの方が居心地いいやって思っちゃったんだよね」
とまったく上から目線なんだか、仲間に入れてほしいんだか、よくわからないコメントをする曽我部さん。
それに私も矢崎さんも別にグループを作る気はないんだけどなあ~。

「っていうことはふたりともお受験はさせないってことね?」
むしろ釘を刺しているかの如き曽我部さん。
「そんなめんどくさいことするわけないっちゅうーの! ずっと公立で上等だよ」
即答する矢崎さん。
「うちも。だってお受験どころかいつまで日本に住んでるかわからないし」
「そうか~、美央さんちはそういう問題もあるもんね」
「むしろインターナショナルスクールに入れたいぐらいだけど、高いからうちは無理っ!」
「日本の初等教育は世界と比べてもいいみたいよ。それ以降はどんどん海外の学校の方が良くなるけど、小学校のうちは日本の方がいいんじゃないかな」
「だったらなおさらお受験は必要じゃないね」
「そうそう」

***********************************************

以上が曽我部さんの言う「矢崎さんの家で話した」話である。

思い出した、思い出した。確かにしましたよ。こういう話。
実際、矢崎さんはそれ以降、まったくお受験に関わった形跡はなく、今M小学校で矢崎さんの息子とうちの娘は同じクラスになっている。
チラッと以前矢崎さんに国立受験の話をしたら、
「よくそんなめんどくさいことできるねえ~。私には無理っ!」
とまったく関心なさそうだった。

でもね、曽我部さんがなんで今、そんな話を蒸し返すわけ?

2011年2月25日金曜日

M小学校原理主義者の登場①

 平日の昼下がり。久しぶりに学校公開日で出くわした近所のママ友曽我部さん(仮名)と、ランチに出かけた私。
 場所は小学校から歩いてすぐのところにある人気のイタリアン。
 本日のお薦めパスタを頬張りながら、おしゃべりを始める私たち。
 「美央さん、ここ初めて? ここは結構パスタもおいしいし、デザートもいけるよ」
 といかにも常連風な曽我部さん。
 「あ、うん。そうだね」
 なんて言ってると、
「あれ、こんな時間帯に珍しいですね!」と長身でイケメンなお店のスタッフが私に話しかけてきた。
 「今日はどうされたんですか?」
 「小学校の行事だったんです」
 「あ、この近くの。そうですか。また可愛いお子さんたちもいっしょにいらしてくださいね。会員カードもご主人様のお名前でお作りしてありますから。フレンチのほうでもお待ちしています。ではごゆっくり」
 そう爽やかに言い残して去って行く彼。
 
 「あの人誰? ここのウェーター?」
と訝しげな曽我部さん。
 「この店のオーナーだって」
 「なんでオーナーなんて知ってるのよ?」
 「夜、たま~にフレンチのほうに行くからだよ」
 「ふんっ!」
 そう、ここのオーナーは近くでフレンチもやっていて、そこは娘のお気に入りのレストランなのだ。T大附属T小の試験が終わった日にお祝いしたのもそのフレンチだった。しかも娘はここのオーナーのファンで、憧れちゃっているのだ。

引き続きパスタを頬張りながら、うちよりも1年先に入学していることもあり、M小学校のシステムなどをあれこれ教えてくれる曽我部さん。
誰にでも聞くことなので、何気なく「中学はどうするの?」と聞くと、当然中学受験をさせるに違いないと思っていた曽我部さんは、なんと「そのときになってみないとわからない」と言うではないか!
幼稚園受験も小学校受験も散々経験してきた人が、中学受験はさせないっていうことなんてあるんだろうか。

「美央さんのところはどうするのよ?」
なんとなく探るような目つきで私を見る曽我部さん。
「そうだねえ~。まだわからないけど、G大附属O中は国立なのに、インターナショナルスクールみたいなことをしてくれるからいいなあって思ってるんだけどね。小学校でも挑戦したんだけど、残念ながら抽選で落ちちゃったんだ」
と言うや否や、
「美央さん、お受験したのっ?」
と顔色を変えた曽我部さん。

「うん。国立は全部受けたよ。A(←娘)の場合、T大附属T小は一次抽選通ったけど、試験で落ちて、あとは全部抽選で×だったんだぁ~。L(←息子)も一応国立狙いだからW(←お受験塾)に行かせているよ」
「見損なったねっ!」
恐ろしい形相で睨みつけてくる曽我部さん。
ええっ!? なんで? なんでやねん!?

「国立なんて行かせてどうするつもり?」
ええっ!? あなただって国立受験させたんでしょ? 
泰子(仮名)によると曽我部さんのところもT大附属T小は一次に通ったけど試験でダメだったって言ってたし、私立も何校も受験させたとのことだった。

「実はさ、占いでAもLもG大附属T小に行くって言われたんだ。(→ )それでね・・・」
「ふんっ! バカバカしい。占いってあれでしょ? 泰子さんのところがO女大附属の制服を着てるのが見えるって言われたところのことでしょ? あんなの信じてるの? おかしいよ」
そんなこと言ったって、泰子に「これはO女大付属小の制服だっ!」って断言したのは曽我部さんだったっていう話じゃんっ!
 何なに? いったいどうしちゃったの? どうしてそんなに好戦的なの?

 「どうして美央さんがお受験なんてさせるのよっ! あなたはそんな人じゃなかったでしょ? 昔、矢崎さん(仮名)の家で話したこと覚えてる?」
 ええっ? 何よ、それ!? 覚えてねえ~っ!

 曽我部さんが語り出したのはなんと6年以上も前の話であった。

2011年2月19日土曜日

M小学校学校公開週間

 娘が近所の公立M小学校に通い始めて早2ヶ月あまり。
 クラスの半数近くが同じ保育園出身のこともあり、結構楽しそうに通学している。
 それにつけても学校が近いってありがたい。
 M小学校は8時10分から20分が登校時間だけど、何せ8時10分に家を出ても余裕のよっちゃんなのだ。
 これが国立小に行っていたら、間違いなく7時半には家を出ないといけないし、G大附属O小に至っては7時半前に家に出ないと間に合わないので、大変だっただろうなあ。しかも送迎しないといけないし。
 学童も学校の裏にあるので、通学の安全面ではこれ以上のことはない。
 確かに国立受験に失敗して落ち込んだこともあったけど、娘にとってはこれでよかったのかなとやっと思えるようになってきた。
 
 そんな6月のある日、娘の学校公開週間のために朝から学校に行ってきた。
 M小学校だけなのか、今日びの学校はそうなのかわからないけど、M小学校は年に何度か学校公開週間があって、丸々1週間1時間目から6時間目まで父兄や近所の人たちのために学校の出入りが自由になる。
 前もって1年生から6年生までの時間割が1週間分渡されて、誰がどこの授業を見てもいいことになっている。
 M小学校はオープンスペースになっているので、ブラブラといろんなクラスを見るのに適している。

 私たちが子どものときは、「父兄参観」と言えば、何月何日の何時間目の授業(←たいてい5時間目!)と決まっていて、見られるのは自分の子どものクラスのみと決まっていたから、公開週間の間、都合がつく時間にいつ行ってもいいし、何を見てもいいというのは画期的だ。
 在校生の父兄じゃなくても学校に入れるので、特に学校選択制を採用している我が区のお父さんお母さんは候補に考えている小学校をこういう機会に訪れて様子を見ることができる。
 また在校生の父兄でも違う学年を見ることで、学校全体の様子もわかるし、何年か先の子どもの様子も想像できるのでいいシステムだと思う。

 小学校も新しく建てられてから5年ぐらいしか経っていないので、中は清潔で明るく冷暖房完備でいい感じ。
 教室での娘は優等生然として、「ハリー・ポッター」シリーズのハーマイオニーみたいだ(←顔もちょっと似てるしね)。
 他には仕事の関係上、違う学年の英語の授業を見たりして過ごしたらあっという間にお昼になった。
 また午後から学校に戻ってくるつもりで校門を出たところで、バッタリと出くわしたのが曽我部さん(仮名)だった。

 「あらっ、久しぶりじゃないの? 今日、会社じゃないの? だったらランチしようよ」
と声をかけられたので、学校から近くの人気のイタリアンに行くことに。
 曽我部さんは近所のママ友で、苗子ちゃん(仮名)という小学校2年生の娘さんがM小学校に通っている。
 ちなみに曽我部さんは、子どもたちのピアノの先生でお受験エキスパートの泰子(仮名)たちと同じマンションの住人だ。

 彼女は私と同い年の専業主婦。幼稚園受験、小学校受験に相当明け暮れたが(←泰子情報)、残念ながら全滅し、不本意ながらM小学校に通わせているという噂だった。
 泰子が銀座の先生に娘の真美ちゃんの幼稚園受験を診てもらったときに書いてもらった制服の絵を見て、
 「これってO女大附属O小学校の制服よっ!」
と喝破したのが曽我部さんだった。
 そんないきさつもあり、間接的に銀座の先生のことを知っている曽我部さん。お受験経験者だし、いろいろとお話できるかもと期待に胸を膨らませ、ランチに臨んだのであったが・・・。

2011年2月17日木曜日

W、無事合格

 Wの体験レッスンから3日後、息子の入塾を認める書類が届いた。
「クマ歩き」が効いていたのか、なんとか基準には達していたようだ。
中には前期分の請求書が同封されていて、内訳は入会金が無料で、6月から9月までの3か月分の月謝¥26,000×3の¥78,000であった。
入会金が無料なのは娘が昨年T大附属T小の講習を受けていたので、兄弟割引が適用されたらしい。
¥78,000とは痛い出費であるが、SG会では1ヶ月にこれぐらいの金額を取るのだから、まだ良心的だと納得すべきなのか。
このお金が無駄金と化さないよう、息子よ、頑張っておくれ。

さて正式にWの会員となった私たち。翌週訪れると、さっそく息子のネームプレートが取り付けられた引き出しが用意されていた。
こういうのが用意されていると気持ちが引き締まるよね(←肝心な本人が何にも感じちゃいないが・・・)。

さて息子が授業を受けている間、保護者たちは別室にて我らが新田先生(仮名)の講習を受けるのである。
去年は直前講座のため、一次抽選に通って慌ててやってきたような親子(←私たちみたいなやつな)が会員以外でもたくさんいたため、近くの別のビルを借りて広い部屋で講習をやっていたけど、まだ5月だからか、Wの入っているビルのさして広くはないフロアーで講習はおこなわれた。

しかし目に付くのは父親の参加率の高さである! 保護者の半数は父母揃って参加しているし、父親だけが参加しているケースもある。
この頃のお父さんってお母さんだけに子育てや教育を任せっきりにしない人が増えてきてるんだなと、改めて実感。

うちの夫は家事の半分以上やってくれているし、もちろん子育てにも積極的に参加してくれているけど、言葉の壁があるせいか、保護者会の類のものや、送迎以外の習い事に関与するのを避ける傾向がある。
やってくれないこともないんだろうけど、こちらとしてもちゃんと理解しているのか不安になるので、だったら自分でやればいいやと思ってしまう。
つくづく思うのは、私たちが海外に住むハメになれば、逆に「きちんと100%話を理解していないといけない」場には夫にすべてお願いしないとしょうがないんだろうなあ。
まあこういうのはお互い様なのだ。

さて久々の新田先生。相変わらず低音の魅力で保護者たちを惹きつけてやまない。
この日のお話は「お話の記憶」対策と「クマ歩き」対策。
新田先生によるとお気に入りの本を繰り返し子どもの読んであげることで、

①言葉の力を育てる 
②心を育てる 
③追体験をさせてあげる 
④登場人物の気持ちにさせてみる

という効能があるらしく、コツとして感情を込めすぎず子どもの真横にいて淡々と読むのがいいそうだ。
またクマ歩きは手押し車の要領で練習するといいらしく、日ごろの遊びを通してとにかく手足の力をつけることがポイントだとか。

こういうのって親が日ごろから子どもに向き合っていないと、なかなか身につけさせてあげられるものでもない。
 常日頃、フルタイムで働いていることを理由に保育園に任せきりになっている我が家。
 すまんよ。子どもたち。
 新田先生の美声に聞き惚れながら、小さくうなだれる私であった。

2011年2月16日水曜日

銀座の先生のお引越し

 子どもたちが通っているバレエ教室でいっしょのママ友・里美さん(仮名)から驚きのメールが届いた。
里美さんによると、なんと銀座の先生が引っ越したのだと言う。引っ越し先は麻布で、里美さんは丁寧に新しい電話番号まで教えてくれた。
知らないうちに「銀座の先生」は「麻布の先生」になったのだ。
う~ん。なんだかちょっとヘンな感じ。

それ以前から私の元には「銀座の先生が病気になった!」という情報が、続々と寄せられていた。
数ある情報を分析すると、どうやら春先あたりから先生は体調を崩し、4月以降に予約を入れていた人たちは軒並み予約の取り消しをお願いされているのだ。
先生の身にいったい何が!?

しかし思うに、先生を訪れる人たちは大なり小なり悩みを抱えている人たちだ。私みたいに大した悩みもない人(←それでも1回目はすっごく悩んでたけど)も中にはいるだろうけど、2万円も払って見てもらおうなんて人たちの中には変な“気”を発している人もいるだろうし、背後にいろんな“悪いもの”を引き連れてやってくる人もいるだろう。
先生が1日何人ぐらい見るのかわからないけど、毎日不特定多数のマイナス・オーラを持つ人々(←勝手に断定)と接していれば、そりゃあ病気にでもなるっちゅうねんっ。

肝心な先生が鑑定できないなら、事務所として使われていたあの銀座の高級マンションはどうなるんだろうと思っていたところに、この移転話だ。
鑑定を再開したということは、先生の体調は戻ったのだろうか?
しかも場所も事務所の名前も変えてということは、先生自身心気一新してリセットしたということなのだろうか。
うーん、謎。

あれだけハズされて二度と行くまいと思っていても、やはり先生の動向がどうにも気になるのであった。

2011年2月1日火曜日

Wの体験レッスン

体験の日は親が見学できるということだったので1時間半の授業をつぶさに観察することにした。
ひとつのフロアーがパーテーションで3つに区切られ、息子は一番手前のグループに入れられた。10人ずつぐらいの子どもに先生がひとりつく。
同時に同じ内容で授業を進めているようだ。
この時間帯は合計30人ぐらいの子どもがいる計算になるのだが、男児率の高いことこのうえなし。
近所のS会は女児のほうが多いらしいけど、ここは圧倒的に男児ばかりだ。

ちなみに小学校受験世界では女児の受験率が男児を上回るらしい。女の子の親が小学校のうちに受験をしてあとはのんびりさせてあげたいと思うのに対して、男の子の親は「男なら中学受験で揉まれろ」と考える傾向が強いからだそうだ。

また小学校から女子校というのは結構な数があるのだけど、小学校から男子校というのはみっちゃん(仮名)いわく、全国で2校しかないらしい。
その2校とは1校が暁星小学校、もうひとつが立教小学校だ。
両校ともうちから近いのでなんとなく身近に感じていたのだが(←もちろん一方的になっ!)、完全なる先入観を持ってして、もっと男子校はたくさんあるものだと思ってた。
受験の男女差はたぶん学校数自体の差でもあるのだろう。

それなのにWの男児率の高さはT大附属T小の合格実績によるものだと思う。T大附属T小は体育会系のスパルタで有名だから、女の子よりもやっぱり男の子の親に人気があるのだ(←そうはいっても女の子の受験者数もすさましい数だけど)。

さて授業の始まりは図形問題から。すっかりおなじみの「回転図形」だの「鏡図形」だの「分割図形」である。
5月のクラスなのでまだまだ易しい内容になっている。1月ぐらいからボチボチ息子もやっているだけあって、ちゃんと解いている様子。
よしその調子でがんばれ~。

次は「お話の記憶」だの、「クマ歩き」だのおなじみのコースである。
見ていると「国立コース」イコール「T大付属T小対策」と言っても過言ではない。
事前に渡された書類に志望校を書く欄があり、第二志望までしか書く欄がなかったので、軽く迷った挙句、第一志望を「T大附属T小」、第二志望を銀座の先生から兄弟揃って行くとそもそも言われていた「G大附属T小」と書く。

「クマ歩き」のときに登場したのはタケ先生(仮名)という若い男の先生。この先生は娘の講習のときにも指導してくれた先生だ。
この先生、なんと体操でおなじみの「弘道お兄さん」に似ている。なので今後、「弘道」と呼ぶことにしよう(←ヒネリなし!)。

「クマ歩き」は3クラス合同で行われ、まずは気合の入ったあいさつから。
息子は当然のようにモジモジくねくねと腑抜けたこと、このうえなし。
その様子を3人の先生たちがひとりひとりの子どもたちを目視で評価し、評価表にさらさらと書き込んでいる。
あ~あ、うちの子、評価低いんだろうなあ~。

しかしである。
横一列でいっせいにクマ歩きを始めると、うちの息子の異様にスピーディーなこと!
息子のあまりの速さに他の子どもたちは呆気にとられている。
誰に似たのか、なぜか息子は運動神経が良く、足も速い。
先生方も「おお~、Lくん、すごいねえ!」と関心している。
なんどか「クマ歩き」をやるのだけど、常に息子の圧勝である。「クマ歩き」だけだったら、息子は確実にT大附属T小に受かるだろうなあ~。

「クマ歩き」が終わると、「弘道」が「じゃあ、今日一番頑張った人はLくんです。みんな拍手!」と息子をみんなの前に立たせ、褒めてくれる。
息子はちょっぴり困ったようなそれでいて誇らしいような照れ笑いを浮かべていた。

授業が一通り終わると、ひとりひとりに評価表が渡される。評価はAからGまでで、当然Aは「大変良い」である。
評価項目は多岐に渡っていて、「クマ歩きがきちんとできる」以外はB、C、D、Eと芳しくない評価もたくさんついている。
そういえば講習のとき、娘は最初から「ちぎり」以外は全部Aで、「ちぎり」も猛特訓したのち何回目かで「A」を取った。
あのときは誰だって評価は良くつけられると思っていたけど、実際息子の評価がいまひとつだったりすると、そうでもなかったんだなと思う。
これから息子もAをたくさん取れる日が来るのかしら?

そして帰り際、受付にはカリスマ講師・新田先生(仮名)がいて、にこやかに微笑みかけてきた。
半年振りの新田先生は当たり前だけどまったく変わっていなかった。相変わらず低音の魅力(ゥフランク永井)で惚れ惚れする美声だ。
しかし見た目はまったく冴えないおっさんなのが、またいい味を醸し出している。

「今日はいかがでしたか?  それでは今日の入学考査の結果が出ましたら、またご連絡しますから」
とのこと。
 え?  何、入学考査って? 聞いてないよ。そんなの。こういう塾って希望すれば全員入れるんじゃないの? だって商売でしょ?

「我が校ではやはり実績が大切ですので、やはり可能性の低いお子さまに関してはお申し込みを見合わせていただくことがあります。合格に至らなかったお子さまには、再度体験レッスンをお申し込みいただき、基準点にいたるまで考査を受けていただくか、また個別指導のコースをご用意していますので、そこで基準点になったら通常コースに移行という選択もできます」
うーん。そこはやっぱり商売か。今日の様子じゃ、基準点にいたってない可能性もあるよなあ~。「クマ歩き」を除いて。

塾通いにもハードルがあったのだ。

2011年1月30日日曜日

W再び

 国立小受験では抜群の実績とネームバリューを誇るW。
 つい半年ほど前に娘のT大附属T小直前講座などでお世話になったばかりだ。
 あのときはWの指導のきめ細かさ、徹底した対象校に対する調査力、試験に対する分析力、予測力には舌を巻いた。
 そして何より決定的だったのは、カリスマ講師(←W本校の校長が本当の肩書き)新田先生(仮名)の卓越した話術だ。

 もう私。この先生の大ファンなのだ。なんといっても声がよろしい。落ち着いた低い声で、説得力満点である。
 あとはお金の取れる話術だ。ずっと聞いていていたいと思わせる話し方(←これが不思議なこと1対1だとそうでもない)で進められる新田先生の講義はプロの仕事である。
 新田先生は大勢の聴衆を前にして輝くのである。まさに新田先生こそカリスマ講師の名にふさわしい。
 
 さて電話に出たのは、どことなく新田先生と声が似ている男性だ。
 Wの場合は6000円(!)で体験レッスンが受けられるので、さっそくその週末に予約する。
 娘が直前講座に通っていたことを話すと、「ああ、そうでしたか」と感じのいい反応が返ってくる。

 Wの受講料は9月までは月に24000円。9月からは月30000円。
 夫にWに入れる話をすると、「高いっ! 意味ないっ!」と猛反発。
 「私のお金で入れるんじゃっ! 文句あっかっ! ウン?」

 以上。夫の反発を秒殺。いや~。結婚しても働き続ける醍醐味はこれに尽きますね。
 何かあっても「ワシの金じゃ。自分の金を使って何が悪い? アン?」。これで万事解決。
 もちろん、夫にはこの手は使わせない。だってあなたは一家の大黒柱で、世帯主(←うちはダーリンが外国人のため、私が世帯主)でしょ? さあ家族の幸せのためにヨロシク(←何を?)!と丸め込んで終わりだ。

 そして迎えた体験レッスンの日。
2Bの鉛筆、クーピー、上履き、はさみ、のりなど必要なものはすべて娘のときに揃えたものを使用。 
息子とチンタラ歩くとドア・トゥ・ドアでおよそ30分。
今度は自分の番かという感じで、息子は違和感なく塾通いを受け止めている様子。

5月の終わりなのですでにクラスは出来上がっている感があるので、恐る恐るという感じでクラスに入っていく息子。
しかし、よその子を見ると大いに焦る。やはり訓練されている子どもたちだけあって、あいさつがすばらしいのだ。
もう元気にはきはきと人の目を見てきちんと、「こんにちは」だの「さようなら」だの「ありがとうございました」だの感じのいいことこのうえない。
それに比べてどうなのよ? 息子!?
背中を丸めてトボトボ歩くわ、あいさつはしないわ、ふてくされているわ、感じ悪すぎるぞ!
こういうのってそもそも私の育て方が悪かったのかしら? しつけがなっていないことこのうえなし。これはお受験以前の問題だ。
トホホ。

2011年1月29日土曜日

やはりプロの手を借りるべきなのか?①

 息子の早朝勉強を始めて、思うことはひとつ。
 「この子のやる気スイッチはどこにある?」である。

 個別指導塾スクールIEのCMではないが、まさにあんな感じ。
 娘の場合は人からやれと言われたことはすぐにやるタイプだけど、息子はまったく真逆で、あくまでも自分がやりたいことしかしない。

 大学のマスコミOB会のメンバーであり、超大手広告代理店Hで出世街道を怒涛のごとく驀進中の田上さん(仮名)の妻(専業主婦)は、田上さん激似の3人の息子を3人とも家庭学習だけで慶応中学に入れたということで、今年のOB会の新年会は大いに盛り上がった。
 現在の孟母、天晴れである。
 あーた、天下の慶応に塾にも頼らず入れたんですよ! それも3人も!!
 それってすごくないか? 
 もっとももっとすごいのは、3人とも中学から慶応に行かせることができる田上家の潤沢な教育資金なのだか・・・。
 まあ、塾代はずいぶんと浮いたんだろうけど。

 昨今の中学受験の内容はあなどれない。ましてや天下の慶応ともなれば、むべなるかな。                             
 3人の息子たちに自ら教えたという奥さんの根性は並ではない。そのうちどっから講演会とか執筆依頼なんか来たりして。
 もうそれぐらいの快挙である。
 私には絶対真似できないね。中学受験どころか、小学校受験ですらお手上げ状態である。
 素人指導の限界はもはやこれまでか。

 そうなると考えられる次の一手は、銀座の先生が言っていた「塾通い」である。
 銀座の先生によると、息子の国立小合格は微妙で塾に行かないと厳しいのだという。
 それは実際に息子と勉強をしてみて、残酷なまでに突きつけられた事実であった。
 いかんせん、“態度”が悪いのである。
 小学校受験ではいくら勉強ができて高得点の子でも、態度が悪いと一発でアウトだという。じゃあ、勉強もできなくて得点も取れず、態度も悪い息子はどうなっちゃうの?
 
 時は5月の終わり。受験シーズンまで半年はある。去年の今頃はまったく何も準備していなかったから、それに比べればまだ準備万端なほうだと思う(←当社比較ならぬ当家比較)。

 子どもたちのピアノの先生であり、お受験エキスパートの泰子(仮名)のお薦めは個人塾S会。
 ここの何がいいかといえばうちからべらぼうに近いことだ。なんと歩いて1分!
 通りから少し中に入ったところにある一軒家で、看板も出ていないし、HPの類も一切なし。口コミだけで何十年も知る人ぞ知る幼児教室としてこの辺りに君臨しているらしい。
 個人塾ならではのきめ細かさに定評があるのと、巧緻性(←平たく言えば手先の器用さ。小学校受験でほぼ必修の制作関係のことですね)に特に力を入れているらしいので、不器用な息子(←ごめんよ。私に似たらしい)にピッタリかも。
 難点は先生が厳しいことらしいが、ヘタレな息子にはビシビシしごいてくれる先生のほうがいいかもしれない。
 
 善は急げということでダイアルイン!
 電話に出たのは年配の女性であった。
 国立小志望で、フルタイムで働いているので土日の入塾志望であることを告げるやいなや、自分は場違いなところに電話をかけているのだと無言の圧力から悟った。
 まず国立小志望のみというのは基本的に受け付けていないのと、母親が働いているのはこの塾ではどうやらマイナスポイントのようなのだ。
 
 「国立は抽選がありますから、うちでは基本的にあくまでも私立との併願ということで、秋になったら会員限定で国立クラスを始めます。それも平日ですから、お宅様の場合はむつかしいかもしれませんね」
とのこと。
 “お宅様”なんていう言葉遣いも嫌な感じ。ふん。こっちから願い下げだっちゅうの!

 そして2軒目にかけたのが、カリスマ講師・新田先生(仮名)のいるWである。

2011年1月13日木曜日

早起きは三文の徳なのだ

 夫が息子の勉強を見ることにギブアップして以来、結局私が見ることに。
 帰宅し、夕食を食べ、お風呂に入ってから勉強を始めると、開始時間は夜の9時半ぐらいからになってしまう。なんだかんだであっと言う間に10時である。
 娘のときもそうだったが、このパターンは「早く子どもを寝かしたい」夫と、「勉強させたい」私の口ゲンカの火種になりかねない。
 また息子は起きるのに時間がかかり、普通のときでも洋服を着替えるのに莫大な時間を浪費している。ちゃっちゃと朝用意してもらうためにも、勉強は朝させたほうがいいかもしれない。

 そんなことで毎朝、1時間早く起きることに。
 それでもせいぜい起床時間は6時半なので、早起きといってもたいしたことではない。
 毎晩息子に「明日は6時半に起きて、クイズ大会(←今回も使っている!)の練習するからね」と言い聞かせておく。
 息子はめちゃくちゃ気分屋なので、「やるやるやる!」と張り切るときもあれば、「絶対に起きない」とまったくやる気のないときもある。
 しかし受験生の母はそんなことに振り回されてはいけないのである。

 そして朝。いくら前夜息子が「やるやるやる!」と張り切っていても、いざ起きるときになればそんなことはすっかり忘れている。
 起きないこと石の如し。厳しくしたところで効果がないので、「ルーティーン好き」の男子の習性をくすぐるしかない。

 息子の場合、いくつかパターンを試したところ、
①ベッドで「おしりかじり虫」の歌を歌いながら、こちょこちょと全身をくすぐる。
②抱っこしてリビングのソファーまで連れて行く。
③全身をマッサージする。
④電子レンジで20秒ほど温めたフェイスタオルで顔を拭いてあげる。
⑤ダイニングテーブル(=勉強場所)まで抱っこして連れて行く。
⑥おめざの一杯(←たいていヤクルト)をあげる。

①~⑥を儀式化すれば、たいてい起きてくれるようになった。ただこれだけでおよそ10分費やすことになる。しかもひとつでも飛ばすと、「ちゃんとやれ」とお叱りを受けてしまう。
めんどくさいよなあ。とっとと起きろよと思うが、ここはぐっと我慢だ。

 まずは難易度の低いものから始めさせる。ここですぐにエンジンがかかればいいが、日によっては、ものすごく簡単な問題でも「できないっ!」とグズることもある。
 そんな場合はあまり考えなくてもできる「ちぎり」からスタートだ。

 ただ問題は息子の「ちぎり」の出来がひどいこと。年明けから始めているので、すでに半年近く練習している計算になるが、ちょっとずつ親指と人差し指を使って丁寧にちぎることができないのだ。両手でビリッと裂いてしまうので、なんだかよくわからない形にしかならない。

 回転図形や分割などの図形は夫がそれまで少しずつ進めてくれていたので、できなくはないのだが、やはり出来にムラがある。
 「お話の記憶」については、記憶どころか話を聞いていないので、どひゃ~って感じ。
 「クマ歩き」などの運動は上出来。

最悪なのは面接の練習だ。まずきちんと立っていられない。受け答えができない。小さな声でごにょごにょと話すか、大声で怒鳴るように答えるかのどちらかなので、まったくなっていない。
 注意するとすぐに泣く。聞かれていることが理解できていない。
 これってどうなの?

 新たな頭痛の種の登場である。