2010年2月17日水曜日

決戦は月曜日!?①

 都内の某駅の駅ビルに入っているカフェで早紀ちゃん(仮名)と待ち合わせる。
 この駅は私たちが前にいた会社のある駅だ。8年間ほど、私はこの場所に通い続けた。

初めてこの駅に降り立ったのは1989年の夏。
当時大学4年生だった私はこの会社に入りたくて入りたくて、わざわざ住んでいた京都から上京して、会社案内の資料を取りにきたのだった。
あれから丸20年も経っている。
この日も20年前のあの日のように、暑くてうだるような真夏日だった。

あまりにも暑かったので、私たちはコーヒーの代わりにミントを使ったさっぱりとしたカクテル・モヒートを頼んだ。
けど所詮駅ビルのカフェのモヒートはそれなりのもので、わざわざそんなことを口に出して言わなくてもいいのに、早紀ちゃんは、「なんだよっ、ここのモヒート、全然ダメじゃん!」と言いながら全部飲み干していた。

そこで私たちは話を切り出す手順だとか、具体的な数字だとかを確認して、今では人事部の次長になっている志木さん(仮名)の指定してきた魚がおいしいという割烹へと歩いて向かった。

その途中、私たちの前を歩いている異様に痩せた女性の存在に気づいた。半袖のシャツから伸びている腕は楽勝で片手で掴めそうなほど細く、二の腕デブの私の腕の3分の1ぐらいしかない。
ピッタリとしたジーンズの腰周りはヴィヴィアン・リーばりに細く(←見たことないけど)、両足は私の両腕ぐらいの細さ。
彼女の穿いているジーンズなんて、もし私が穿いたら、足首の辺りで引っかっちゃうんだろうなあと思っていると、なんとその女性は久しぶりに再会する田町(仮名)だった。

彼女は私の一期下で前はあんなに痩せてなかった。病気でもしたのかなと思い、早紀ちゃんにその旨を伝えると、
「あれ? そうだったっけ? そんな痩せたっけ?」
とあれで痩せてなかったら、世の中の人は全員肥満だぞと思わず突っ込んだぐらい、人のことを見ていない早紀ちゃん。
しかし田町は私たちに気づく前にコンビニに入ってしまったので、道端でバッタリ会って「よっ! 久しぶり」という具合にはならなかった。

私と早紀ちゃんが割烹に入ると、すでに田町以外のメンバーは揃っていた。
有岡さん(仮名)はたまに地下鉄とかでいっしょになることもあって、それほど久しぶりではないので別段変わったところはないが、トオル(仮名)と志木さんはやはり会わなかった年月の分だけオジサン化していた。

「おう、清永、久しぶり。お前全然変わってないじゃん!」
と志木さん。
 「そんなことないよ。12キロも太ったんだから!」
 「マジかよ。そんなのわかんないけどな」
 「まあ清永も今や二児の母だからね。仕方ないよ」
と有岡さん。
 
 そこへ「お待たせしましたっ!」と息を切らしながら飛び込んできたのが、どうやらコンビニに寄ってたらしい田町。
 うわ~! 正面から見ても痩せてる~!

「久しぶり! どうした? ずいぶん痩せたね~! デブになった私的にはめっちゃ、うらやましいよ」
と言うと、田町は少し顔を歪ませて、
 「どこがですか。私、脱いだらすごいですよ。相当肉ついてますよ」
と冗談めかして言う。
 まさか! 脱いだところで、どこにそのガリガリな体に肉がつくというのだ! 
ちょっと病的なものを感じ、それ以上その話題に触れるのはやめた。

 まあ、それはさておき肝心なプロジェクトの話をこの人たちにもわかってもらわねば!

 

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