「行動観察対策っていったい何やるわけ? 対策の立てようなんてあるわけ?」
と誰に言うわけでもなくひとりごちる私に、
「うふふふ。あるのよ。ちゃんと、対策って」
と含み笑いをするみっちゃん(仮名)。
「たとえばね、何もない部屋に子どもたちを集めて放っておくわけ。そこでリーダーシップを発揮して、何もないけどジャンケンして遊ぼうとか、しりとりをしようとか提案した子が合格!とか、そのリーダー役の参謀タイプみたいな子が合格!とか学校によって求める子どもが違うから、ちゃんと学校に応じて行動観察の対応も練っておくわけよ」
「そんなの、ひとりの子どもがこの学校ではこういう役割、この学校ではこう振舞うなんて、演じわけられるわけ?」
「そのための対策講座じゃない!」
ああそうですか。すごいよな。でも学校によってキッチリ求められる子どもを演じ分けられる子どもってどうなのよ? 末恐ろしくないか?
そんなことより、暑い。あ~、もう、早くビールでも飲みたいよぅ~。
そうゴネる私に、
「じゃあ、行っときますか」
とみんなもすっかり真っ昼間からビール・モードへ。
そして我々はなかなか来ないバスをあきらめ、地下鉄の最寄り駅まで歩く。けどこの近辺って全然お店がない! 駅近くにファミレスが2軒ぐらいあるけど、ファミレスじゃあなあ~。
「とりあえず地下鉄乗って池袋まで出ますか」
全員で地下鉄に乗り込む。なんだかこのメンバーで地下鉄に乗っている図がおかしい。
「ヒロキ(仮名)の上司ってやっぱ舛添さんなわけ?」
「もちろん直属じゃないですよ」
「明日の選挙(←この日は8月29日だった)で民主が政権とったら、やっぱヒロキのとこの大臣って長妻さんになるのかな」
「官僚にとってどっちが御しやすいわけよ?」
「いやいや、御しやすいだなんて。私は国民生活をよりよく考えてくださる大臣にお仕えしたいだけです」
「ちっ、なんだよ。その上から目線はよぉ。今度こそ消えた年金なんとかしろよ」
「産婦人科医や小児科医不足も深刻よねぇ~」
と厚生労働省勤務のヒロキをいじっているうちに池袋に到着。
「さあ~てと、どこで飲むか」
ただいまの時刻は午後2時半。土曜日のこんな時間とはいえ、天下の池袋ならどっか開いてるでしょ。
「ねえさん(←私のこと)、自分の知ってる店が西口にあるっす。そこでいいっすか」
なぜか舎弟口調になるタケル(仮名)。
「そうだな、今日はそこで反省会だな」
となんの反省会だかわからないが、タケルが知っているという西口の真昼間から開いている焼き鳥屋にゴー。
こんなクソ暑い日はビールに限る。
2010年2月26日金曜日
2010年2月23日火曜日
学校説明会 午後の部③
午前中の公立小学校説明会と打って変わり、水を打ったようにシーンとしたG大附属T小学校の学校説明会。
まずは副校長先生と言う人が出てきて、挨拶をする。
正座したまま、深々と頭を下げる保護者たち。
「まず最初にお断りしておきますが、我が校は中学進学を目的とした進学校ではなく、教育実習を目的とした実験校であるということです」
とギラギラと血走った目をしてメモを取り出した保護者たちに、いきなり牽制球を投げる副校長。
「その上で、まずは我が校の年間活動をご紹介するビデオをご覧ください」
と巨大なスクリーンにはプロジェクターから、この学校の生徒たちの日常生活が映し出されている。
年間を通した学校生活のビデオが流されるのだが、取り立てておもしろいものではない。印象的にはなんだかイベントが多い学校だなあといったところだ。
あと校内に小さな水田があり、そこでお米の栽培をしているのだとか。
ビデオを見終わると、学校説明に入る。
この間、基本的に繰り返されていたことは、「進学校ではない」「教育実習のための実験校である」「国立法人になってからお金がないので寄付して欲しい」「学生が教えることが多いので、あまり授業のクオリティには期待しないで欲しい」「中学まではとりあえず行けるが高校はそうではない」ということで、それらのことを重々踏まえたうえで受験して欲しいとのことだった。
いや、受験して欲しいというよりも、なんだかあんまりたくさんの人に受けてもらっても迷惑的なニュアンスすらあった。
そして最後に「受験のための特別な準備はくれぐれもしないでください」という念押しまで。
って言われなくてもやってないし。
説明会を通して、先生の「この学校のことを知ってほしい」「この学校のことを好きになってほしい」「この学校をぜひ受けて欲しい」という熱意がほとんど感じられないことに唖然とする。
銀座の先生からこの学校に子どもたちが通うことになると言われていたが、まったくピンとこない。
嫌な感じというわけではないが、どうも説明会も不親切だし。
けど制服の感じ(特に男子)はやっぱり先生が書いてくれた制服に似てるよなあ。
小1時間ほどで説明会が終了し、最後の最後で体育館の外でこの小学校の研究課題をまとめた冊子を販売しているので、良かったら購入して欲しいというアナウンスが入る。
4冊シリーズになっていて1冊につき2,000円強ほど。
え、4冊で8,000円!
気のせいか、このアナウンスのときが一番熱が入っていたような。
体育館を出ると保護者たちはすでに冊子を買うために行列を作っている。
みっちゃん(仮名)とタケル(仮名)とヒロキ(仮名)、そして私はお互いの顔色を窺いながら、
「どうする? 買う?」
と聞く。
「そうねえ~、ちょうど私たち4人いるから1冊ずつ買って回し読みするって手もあるけど」
とみっちゃん。
「うーん。どうしようか?」
と30秒ほど悩んでから、
「まあ、いいっか」
と全員で口を揃えて、その行列に背を向ける私たち。
こんな都会のど真ん中にあるのに、学校の敷地は広く、設備はわりと新しく、校庭も広い。環境は良さそうだな~。
本当にここにうちの子どもたちが通うのかな。
門のところでは引き続き、業者が保護者たちにチラシを配っている。私もそうだったが、おもしろいことにほとんどの保護者たちがチラシを受け取っている。過去問のサンプルがあるブースでは、中を確認している保護者ですらいる。
お主、やる気だな。
なぜか心の中で武士言葉になるそれがし。
しかし、この小学校の選考は行動観察のみなのに、どうやって受験対策の立てようがあるんだろうか?
お、チラシにはしっかりと「行動観察対策講座」という文字が躍っている。
2時間の講座のお値段がなんと1万9千800円!!
こういうのっていったいどうなわけ?
まずは副校長先生と言う人が出てきて、挨拶をする。
正座したまま、深々と頭を下げる保護者たち。
「まず最初にお断りしておきますが、我が校は中学進学を目的とした進学校ではなく、教育実習を目的とした実験校であるということです」
とギラギラと血走った目をしてメモを取り出した保護者たちに、いきなり牽制球を投げる副校長。
「その上で、まずは我が校の年間活動をご紹介するビデオをご覧ください」
と巨大なスクリーンにはプロジェクターから、この学校の生徒たちの日常生活が映し出されている。
年間を通した学校生活のビデオが流されるのだが、取り立てておもしろいものではない。印象的にはなんだかイベントが多い学校だなあといったところだ。
あと校内に小さな水田があり、そこでお米の栽培をしているのだとか。
ビデオを見終わると、学校説明に入る。
この間、基本的に繰り返されていたことは、「進学校ではない」「教育実習のための実験校である」「国立法人になってからお金がないので寄付して欲しい」「学生が教えることが多いので、あまり授業のクオリティには期待しないで欲しい」「中学まではとりあえず行けるが高校はそうではない」ということで、それらのことを重々踏まえたうえで受験して欲しいとのことだった。
いや、受験して欲しいというよりも、なんだかあんまりたくさんの人に受けてもらっても迷惑的なニュアンスすらあった。
そして最後に「受験のための特別な準備はくれぐれもしないでください」という念押しまで。
って言われなくてもやってないし。
説明会を通して、先生の「この学校のことを知ってほしい」「この学校のことを好きになってほしい」「この学校をぜひ受けて欲しい」という熱意がほとんど感じられないことに唖然とする。
銀座の先生からこの学校に子どもたちが通うことになると言われていたが、まったくピンとこない。
嫌な感じというわけではないが、どうも説明会も不親切だし。
けど制服の感じ(特に男子)はやっぱり先生が書いてくれた制服に似てるよなあ。
小1時間ほどで説明会が終了し、最後の最後で体育館の外でこの小学校の研究課題をまとめた冊子を販売しているので、良かったら購入して欲しいというアナウンスが入る。
4冊シリーズになっていて1冊につき2,000円強ほど。
え、4冊で8,000円!
気のせいか、このアナウンスのときが一番熱が入っていたような。
体育館を出ると保護者たちはすでに冊子を買うために行列を作っている。
みっちゃん(仮名)とタケル(仮名)とヒロキ(仮名)、そして私はお互いの顔色を窺いながら、
「どうする? 買う?」
と聞く。
「そうねえ~、ちょうど私たち4人いるから1冊ずつ買って回し読みするって手もあるけど」
とみっちゃん。
「うーん。どうしようか?」
と30秒ほど悩んでから、
「まあ、いいっか」
と全員で口を揃えて、その行列に背を向ける私たち。
こんな都会のど真ん中にあるのに、学校の敷地は広く、設備はわりと新しく、校庭も広い。環境は良さそうだな~。
本当にここにうちの子どもたちが通うのかな。
門のところでは引き続き、業者が保護者たちにチラシを配っている。私もそうだったが、おもしろいことにほとんどの保護者たちがチラシを受け取っている。過去問のサンプルがあるブースでは、中を確認している保護者ですらいる。
お主、やる気だな。
なぜか心の中で武士言葉になるそれがし。
しかし、この小学校の選考は行動観察のみなのに、どうやって受験対策の立てようがあるんだろうか?
お、チラシにはしっかりと「行動観察対策講座」という文字が躍っている。
2時間の講座のお値段がなんと1万9千800円!!
こういうのっていったいどうなわけ?
2010年2月22日月曜日
学校説明会 午後の部②
うだる暑さの中、G大附属T小学校の学校説明会の大行列に並ぶ私とみっちゃん(仮名)。
なんと行列の中に、タケル(仮名)もいるじゃないか!
カリンちゃん(仮名)パパことタケルはうちの夫と、みっちゃんの夫であるカズヒロ(仮名)たちと夫婦で「オヤジズ」という保護者バンドを結成している。
まあ家族ぐるみというと聞こえは美しいが、私たちは何かといっては飲んだくれている飲み友達だ。
タケルはいつもロックTシャツを着て、現在は茶髪のロン毛なので(←ヤツはコロコロと髪型をよく変える)、ずっと業界の人だと勘違いしていたが、タケルは精密機器のメーカーに勤める立派なサラリーマンだ。
それがどうした!? 今日はちゃんとスーツを着ているではないか!
しかも40歳だというのにスーツが全然似合っていない! 何年サラリーマンをやっているんだ? しかもカバンを肩から斜め掛けにしている!
ああ~、だめだ。緊張の糸がプチッと切れ、ガハハハハっと笑いがこみ上げてくる。
「どうしたタケル? 今日は就職活動かぁ~?」
しおらしく行列に並んでいるタケルについデカイ声を出すと、周りのお母様方がギョッとした顔をする。
あ、しまった。しまった。しかもタケル、他人のフリしてるし。
そうこうしているうちに開場の準備ができたらしく、体育館に吸い込まれていく私たち。
そこそこ新しく立派な体育館には椅子の準備がされておらず、床にキッチリと並んで正座しろという。
マジですか! 正座! ああ~、スーツじゃなくて良かった~。
全員が腰を下ろし終えたところで、全体を見渡してみると体育館の4分の3ほど埋まっている感じか。
もちろん小さい子どもを連れてきている親なんてひとりもいない。
はあ~。さすがだ。
おっ! ここでヒロキ(仮名)も発見!
ヒロキは雪美ちゃん(仮名)のパパで同じく保育園の保護者仲間だ。
なんとヒロキまでスーツ姿じゃないか!
ヒロキは厚生労働省の役人なのでいつもスーツで役所に行ってるんだろうけど、それでもスーツ姿のヒロキはとっちゃん坊やみたいだ。しかも何気にクールビス。さすが官僚。
ヒロキにちっちゃく手を振ると、人の良さそうな顔でニッコリと会釈してくる。
おっ、ほかにもチラホラと知ったお母さんの顔もあるではないか。
あ~、やっぱり人気があるんだな。
そして定刻キッチリに説明会が始まったのであった。
なんと行列の中に、タケル(仮名)もいるじゃないか!
カリンちゃん(仮名)パパことタケルはうちの夫と、みっちゃんの夫であるカズヒロ(仮名)たちと夫婦で「オヤジズ」という保護者バンドを結成している。
まあ家族ぐるみというと聞こえは美しいが、私たちは何かといっては飲んだくれている飲み友達だ。
タケルはいつもロックTシャツを着て、現在は茶髪のロン毛なので(←ヤツはコロコロと髪型をよく変える)、ずっと業界の人だと勘違いしていたが、タケルは精密機器のメーカーに勤める立派なサラリーマンだ。
それがどうした!? 今日はちゃんとスーツを着ているではないか!
しかも40歳だというのにスーツが全然似合っていない! 何年サラリーマンをやっているんだ? しかもカバンを肩から斜め掛けにしている!
ああ~、だめだ。緊張の糸がプチッと切れ、ガハハハハっと笑いがこみ上げてくる。
「どうしたタケル? 今日は就職活動かぁ~?」
しおらしく行列に並んでいるタケルについデカイ声を出すと、周りのお母様方がギョッとした顔をする。
あ、しまった。しまった。しかもタケル、他人のフリしてるし。
そうこうしているうちに開場の準備ができたらしく、体育館に吸い込まれていく私たち。
そこそこ新しく立派な体育館には椅子の準備がされておらず、床にキッチリと並んで正座しろという。
マジですか! 正座! ああ~、スーツじゃなくて良かった~。
全員が腰を下ろし終えたところで、全体を見渡してみると体育館の4分の3ほど埋まっている感じか。
もちろん小さい子どもを連れてきている親なんてひとりもいない。
はあ~。さすがだ。
おっ! ここでヒロキ(仮名)も発見!
ヒロキは雪美ちゃん(仮名)のパパで同じく保育園の保護者仲間だ。
なんとヒロキまでスーツ姿じゃないか!
ヒロキは厚生労働省の役人なのでいつもスーツで役所に行ってるんだろうけど、それでもスーツ姿のヒロキはとっちゃん坊やみたいだ。しかも何気にクールビス。さすが官僚。
ヒロキにちっちゃく手を振ると、人の良さそうな顔でニッコリと会釈してくる。
おっ、ほかにもチラホラと知ったお母さんの顔もあるではないか。
あ~、やっぱり人気があるんだな。
そして定刻キッチリに説明会が始まったのであった。
学校説明会 午後の部①
公立の小学校の学校説明会のあと、ランチを挟んでG大附属T小学校の学校説明会へみっちゃんとゴー。
G大附属T小学校までは本数は少ないが。校門の前まで行くバスが出ている。このバスに乗ってしまえば、乗り換えなしで、G大附属T小学校だけでなく、その手前のバス停ではT大附属T小学校、O女附属O小学校も1本で行けてしまう。
なので私は密かにこのバスを国立お受験バスと呼んでいる。
意外なことにみっちゃんはこのバスの存在を知らず、「あら~、いいこと聞いちゃったわ」と嬉しそうな顔をし、
「Aちゃん(←うちの娘)と陽太(仮名)が二人揃ってG大附属T小に行ったら、このバスで通えばいいのね。そしたら学童もいっしょに行けばいいんだし、バッチリよね」
と言う。
でもみっちゃん、G大附属T小の自由闊達な校風では陽太は遊んでしまうから、ビシビシと鍛えてくれるT大附属T小や私立のG小じゃないとダメだって言ってなかったっけ?
そう思いつつも、私も陽太とうちの娘が同じ小学校に通ってくれるなら安心だ。
近所の公立は近くて便利だけど、先ほどの説明会で、前まで感じていた娘をわざわざ遠い学校へ通わせる躊躇は吹き飛んでいた。
親があれでは学校生活が危ぶまれるではないか。
だったらバスにでもなんにでも乗って少しでも環境のいいところに行かせてあげたいと思うのは親心だろう。
と偉そうなことを書いてみたが、実はこの日までG大附属T小に足を運んだことはなく、バスに乗ってみたのも初めてだった。
バスはT大附属T小やO女附属O小学校の停留所を通り過ぎて7~8分すると、G大附属T小学校の正門の前で停まる。
バスを降りると何人か業者らしき人々がチラシを配っている。もらってみると国立受験塾や問題集の宣伝で埋め尽くされていて、「合格率70%の実績!」だとか、「まだ間に合う直前模試!」だとか「出題率80%の過去問」などといった勢いのあるキャッチコピーが紙面で踊っている。
こういうのを見ると、いよいよ始まるのだなと思う。
校門にはどこからこんなに人が湧いてくるのかと思うほど、このクソ暑い日にバッチリ紺のスーツに身を固めたお母様、お父様が吸い込まれていく。
ねえ、どうしてみんなスーツなの? 単なる学校説明会なのに。
周りをキョロキョロするとどうやらこんなカジュアルなカッコウをしているのは少数派のようだ。
説明会場になっている体育館の外に整然と並んでいる親! 親! 親!の大行列を見て、ドン引きしてしまう。
説明会まであと30分以上あるよね? それなのにこの大行列?
みっちゃんととりあえず並んでみると、次から次へと人が増えてきて、ますます行列が伸びていく。
すごいよなあ~! しかもこの説明会自体3回目なので、少なくてもこの3倍はこの学校に興味がある親たちがいるということだ。
誰も私語をする人がいなくて、じっと耐え忍ぶように行列を作っている親たちの姿は午前中の公立の説明会のときとは大違いだ。
みんななんでそんな神妙な顔をして並んでいるんだろう。
こういうときに限っておかしくもないのに笑いがこみ上げてきてしまう。
要は緊張感に耐えられないのだ。
あとみんなが欲しがるものに関して冷めてしまうというか、バスケなんかでみんなが必死にボールを追いかけていると、ついつい気迫負けしてそのボールを敵に「はい。どうぞ」とうっかり渡す間抜けなところが私にはある。
そんなに欲しけりゃ、持ってけ! 泥棒という気持ちになってしまうのだ。
ってそれじゃあ、ダメじゃん、私!
他の親を見習えよ、私!
お、そこで見慣れた顔を発見!
G大附属T小学校までは本数は少ないが。校門の前まで行くバスが出ている。このバスに乗ってしまえば、乗り換えなしで、G大附属T小学校だけでなく、その手前のバス停ではT大附属T小学校、O女附属O小学校も1本で行けてしまう。
なので私は密かにこのバスを国立お受験バスと呼んでいる。
意外なことにみっちゃんはこのバスの存在を知らず、「あら~、いいこと聞いちゃったわ」と嬉しそうな顔をし、
「Aちゃん(←うちの娘)と陽太(仮名)が二人揃ってG大附属T小に行ったら、このバスで通えばいいのね。そしたら学童もいっしょに行けばいいんだし、バッチリよね」
と言う。
でもみっちゃん、G大附属T小の自由闊達な校風では陽太は遊んでしまうから、ビシビシと鍛えてくれるT大附属T小や私立のG小じゃないとダメだって言ってなかったっけ?
そう思いつつも、私も陽太とうちの娘が同じ小学校に通ってくれるなら安心だ。
近所の公立は近くて便利だけど、先ほどの説明会で、前まで感じていた娘をわざわざ遠い学校へ通わせる躊躇は吹き飛んでいた。
親があれでは学校生活が危ぶまれるではないか。
だったらバスにでもなんにでも乗って少しでも環境のいいところに行かせてあげたいと思うのは親心だろう。
と偉そうなことを書いてみたが、実はこの日までG大附属T小に足を運んだことはなく、バスに乗ってみたのも初めてだった。
バスはT大附属T小やO女附属O小学校の停留所を通り過ぎて7~8分すると、G大附属T小学校の正門の前で停まる。
バスを降りると何人か業者らしき人々がチラシを配っている。もらってみると国立受験塾や問題集の宣伝で埋め尽くされていて、「合格率70%の実績!」だとか、「まだ間に合う直前模試!」だとか「出題率80%の過去問」などといった勢いのあるキャッチコピーが紙面で踊っている。
こういうのを見ると、いよいよ始まるのだなと思う。
校門にはどこからこんなに人が湧いてくるのかと思うほど、このクソ暑い日にバッチリ紺のスーツに身を固めたお母様、お父様が吸い込まれていく。
ねえ、どうしてみんなスーツなの? 単なる学校説明会なのに。
周りをキョロキョロするとどうやらこんなカジュアルなカッコウをしているのは少数派のようだ。
説明会場になっている体育館の外に整然と並んでいる親! 親! 親!の大行列を見て、ドン引きしてしまう。
説明会まであと30分以上あるよね? それなのにこの大行列?
みっちゃんととりあえず並んでみると、次から次へと人が増えてきて、ますます行列が伸びていく。
すごいよなあ~! しかもこの説明会自体3回目なので、少なくてもこの3倍はこの学校に興味がある親たちがいるということだ。
誰も私語をする人がいなくて、じっと耐え忍ぶように行列を作っている親たちの姿は午前中の公立の説明会のときとは大違いだ。
みんななんでそんな神妙な顔をして並んでいるんだろう。
こういうときに限っておかしくもないのに笑いがこみ上げてきてしまう。
要は緊張感に耐えられないのだ。
あとみんなが欲しがるものに関して冷めてしまうというか、バスケなんかでみんなが必死にボールを追いかけていると、ついつい気迫負けしてそのボールを敵に「はい。どうぞ」とうっかり渡す間抜けなところが私にはある。
そんなに欲しけりゃ、持ってけ! 泥棒という気持ちになってしまうのだ。
ってそれじゃあ、ダメじゃん、私!
他の親を見習えよ、私!
お、そこで見慣れた顔を発見!
2010年2月19日金曜日
小学校説明会始まる③
教育長は騒然としている聴衆を諌めるわけでもなく、粛々と隣接校選択制の説明なんかをしている。
ちなみに我が区の隣接校選択制とは、小学校を地区ごとにブロックで分けてその中で行きたい学校を選べるという制度だ。
もちろん住所によって学区は決まっているのだが、各校に選択制で行ける児童数の定員があって、人気のある小学校には定員以上の児童が殺到する。その場合はくじ引きで決めるというルールがあるそうで、うちの娘の学区は家から数秒のM小学校だ。
そしてN小学校、H小学校、T小学校、I小学校、そしてMZ小学校の4校がうちの場合の隣接校にあたる。
この中でダントツに人気があるのが、超高級住宅街にあるMZ小で、毎年くじ引きが行われるのだという。
わざわざこの小学校に子どもを入れるために他地域から引っ越してくる親御さんもいるらしく、中学受験率はほぼ100%! 教育熱心な親が多いのでPTAの役員なんかは数秒で決まってしまうという公立らしからぬ小学校だ。
片やうちの学区にあるM小学校は、数年前に3つの小学校が合併してできた新設校だ。そのため校舎は最新設備を誇っている。うちの保育園からは7割ほどここの小学校へ進み、またMZ小学校のざーます的な校風を嫌って、MZ小学校区なのにも関わらず、こちらをわざわざ選ぶ親もいるという。まあよくも悪くも普通の小学校だ。
中学受験率も18%ほど(だいたい首都圏の平均受験率。しかしうちの区の平均は50%ぐらいだと思う)とMZ小学校とは大違い。都心の小学校の割には代々ジモティ率の高いエリアで自営業の親も多い。
M小学校はとにかくうちから近いので、夫なんかはこの小学校以外眼中にない。
それにしても会場がうるさい。赤ちゃんの泣き声や、ぐずる子どもたちの声、大きな声で叫んだり笑ったりしながら、会場の中を走り回る子どもたち。
ひっきりなしにしゃべりまくっている保護者たち。
いったい、なんなんだ。節度と言うものがこの人たちにはないのかね?
しかし会場を見渡すと、うちの保育園から来ている保護者も数人に過ぎず、中でもマジメなタイプというか比較的キッチリしているお母さんたちだけだ。
ってことは、これでも来てるだけでもマシってやつなの?
すでに保護者説明会自体が学級崩壊みたいになっているのだ。
なんだか公立小の実態を見せつけられたようで、暗澹たる気持ちになる。
まったく、人の親なんだから、先生の話ぐらいキチンと聞きましょうね!
その後の個別相談では、学童クラブのコーナーへ行き、うちから一番近いM小学校の学童でも違う小学校へ通っている子も受け入れてもらえるという話を聞けて、みっちゃんといっしょにホッとする。
小学校になったら共働きの親にとって、わが子の放課後の過ごし方は大問題だ。
もし国立小学校に受かったら、そこから学童へは自力で行ってもらわないといけないが、そのあたりは受かってから考えることにしよう。
しかし個別相談で残っている親はほとんどいなかった。みんなあまり教育に関心がないのだろうか? はたまた関心のある親は最初から公立など考えてもいないのか?
そういえば知り合いのお受験しそうなお母さんは誰も来ていないよな。
なんだかいろいろと考えさせられる学校説明会だった
ちなみに我が区の隣接校選択制とは、小学校を地区ごとにブロックで分けてその中で行きたい学校を選べるという制度だ。
もちろん住所によって学区は決まっているのだが、各校に選択制で行ける児童数の定員があって、人気のある小学校には定員以上の児童が殺到する。その場合はくじ引きで決めるというルールがあるそうで、うちの娘の学区は家から数秒のM小学校だ。
そしてN小学校、H小学校、T小学校、I小学校、そしてMZ小学校の4校がうちの場合の隣接校にあたる。
この中でダントツに人気があるのが、超高級住宅街にあるMZ小で、毎年くじ引きが行われるのだという。
わざわざこの小学校に子どもを入れるために他地域から引っ越してくる親御さんもいるらしく、中学受験率はほぼ100%! 教育熱心な親が多いのでPTAの役員なんかは数秒で決まってしまうという公立らしからぬ小学校だ。
片やうちの学区にあるM小学校は、数年前に3つの小学校が合併してできた新設校だ。そのため校舎は最新設備を誇っている。うちの保育園からは7割ほどここの小学校へ進み、またMZ小学校のざーます的な校風を嫌って、MZ小学校区なのにも関わらず、こちらをわざわざ選ぶ親もいるという。まあよくも悪くも普通の小学校だ。
中学受験率も18%ほど(だいたい首都圏の平均受験率。しかしうちの区の平均は50%ぐらいだと思う)とMZ小学校とは大違い。都心の小学校の割には代々ジモティ率の高いエリアで自営業の親も多い。
M小学校はとにかくうちから近いので、夫なんかはこの小学校以外眼中にない。
それにしても会場がうるさい。赤ちゃんの泣き声や、ぐずる子どもたちの声、大きな声で叫んだり笑ったりしながら、会場の中を走り回る子どもたち。
ひっきりなしにしゃべりまくっている保護者たち。
いったい、なんなんだ。節度と言うものがこの人たちにはないのかね?
しかし会場を見渡すと、うちの保育園から来ている保護者も数人に過ぎず、中でもマジメなタイプというか比較的キッチリしているお母さんたちだけだ。
ってことは、これでも来てるだけでもマシってやつなの?
すでに保護者説明会自体が学級崩壊みたいになっているのだ。
なんだか公立小の実態を見せつけられたようで、暗澹たる気持ちになる。
まったく、人の親なんだから、先生の話ぐらいキチンと聞きましょうね!
その後の個別相談では、学童クラブのコーナーへ行き、うちから一番近いM小学校の学童でも違う小学校へ通っている子も受け入れてもらえるという話を聞けて、みっちゃんといっしょにホッとする。
小学校になったら共働きの親にとって、わが子の放課後の過ごし方は大問題だ。
もし国立小学校に受かったら、そこから学童へは自力で行ってもらわないといけないが、そのあたりは受かってから考えることにしよう。
しかし個別相談で残っている親はほとんどいなかった。みんなあまり教育に関心がないのだろうか? はたまた関心のある親は最初から公立など考えてもいないのか?
そういえば知り合いのお受験しそうなお母さんは誰も来ていないよな。
なんだかいろいろと考えさせられる学校説明会だった
小学校説明会始まる②
教育長は騒然としている聴衆を諌めるわけでもなく、粛々と隣接校選択制の説明なんかをしている。
ちなみに我が区の隣接校選択制とは、小学校を地区ごとにブロックで分けてその中で行きたい学校を選べるという制度だ。
もちろん住所によって学区は決まっているのだが、各校に選択制で行ける児童数の定員があって、人気のある小学校には定員以上の児童が殺到する。その場合はくじ引きで決めるというルールがあるそうで、うちの娘の学区は家から数秒のM小学校だ。
そしてN小学校、H小学校、T小学校、I小学校、そしてMZ小学校の4校がうちの場合の隣接校にあたる。
この中でダントツに人気があるのが、超高級住宅街にあるMZ小で、毎年くじ引きが行われるのだという。
わざわざこの小学校に子どもを入れるために他地域から引っ越してくる親御さんもいるらしく、中学受験率はほぼ100%! 教育熱心な親が多いのでPTAの役員なんかは数秒で決まってしまうという公立らしからぬ小学校だ。
片やうちの学区にあるM小学校は、数年前に3つの小学校が合併してできた新設校だ。そのため校舎は最新設備を誇っている。うちの保育園からは7割ほどここの小学校へ進み、またMZ小学校のざーます的な校風を嫌って、MZ小学校区なのにも関わらず、こちらをわざわざ選ぶ親もいるという。まあよくも悪くも普通の小学校だ。
中学受験率も18%ほど(だいたい首都圏の平均受験率。しかしうちの区の平均は50%ぐらいだと思う)とMZ小学校とは大違い。都心の小学校の割には代々ジモティ率の高いエリアで自営業の親も多い。
M小学校はとにかくうちから近いので、夫なんかはこの小学校以外眼中にない。
それにしても会場がうるさい。赤ちゃんの泣き声や、ぐずる子どもたちの声、大きな声で叫んだり笑ったりしながら、会場の中を走り回る子どもたち。
ひっきりなしにしゃべりまくっている保護者たち。
いったい、なんなんだ。節度と言うものがこの人たちにはないのかね?
しかし会場を見渡すと、うちの保育園から来ている保護者も数人に過ぎず、中でもマジメなタイプというか比較的キッチリしているお母さんたちだけだ。
ってことは、これでも来てるだけでもマシってやつなの?
すでに保護者説明会自体が学級崩壊みたいになっているのだ。
なんだか公立小の実態を見せつけられたようで、暗澹たる気持ちになる。
まったく、人の親なんだから、先生の話ぐらいキチンと聞きましょうね!
その後の個別相談では、学童クラブのコーナーへ行き、うちから一番近いM小学校の学童でも違う小学校へ通っている子も受け入れてもらえるという話を聞けて、みっちゃんといっしょにホッとする。
小学校になったら共働きの親にとって、わが子の放課後の過ごし方は大問題だ。
もし国立小学校に受かったら、そこから学童へは自力で行ってもらわないといけないが、そのあたりは受かってから考えることにしよう。
しかし個別相談で残っている親はほとんどいなかった。みんなあまり教育に関心がないのだろうか? はたまた関心のある親は最初から公立など考えてもいないのか?
そういえば知り合いのお受験しそうなお母さんは誰も来ていないよな。
なんだかいろいろと考えさせられる学校説明会だった
ちなみに我が区の隣接校選択制とは、小学校を地区ごとにブロックで分けてその中で行きたい学校を選べるという制度だ。
もちろん住所によって学区は決まっているのだが、各校に選択制で行ける児童数の定員があって、人気のある小学校には定員以上の児童が殺到する。その場合はくじ引きで決めるというルールがあるそうで、うちの娘の学区は家から数秒のM小学校だ。
そしてN小学校、H小学校、T小学校、I小学校、そしてMZ小学校の4校がうちの場合の隣接校にあたる。
この中でダントツに人気があるのが、超高級住宅街にあるMZ小で、毎年くじ引きが行われるのだという。
わざわざこの小学校に子どもを入れるために他地域から引っ越してくる親御さんもいるらしく、中学受験率はほぼ100%! 教育熱心な親が多いのでPTAの役員なんかは数秒で決まってしまうという公立らしからぬ小学校だ。
片やうちの学区にあるM小学校は、数年前に3つの小学校が合併してできた新設校だ。そのため校舎は最新設備を誇っている。うちの保育園からは7割ほどここの小学校へ進み、またMZ小学校のざーます的な校風を嫌って、MZ小学校区なのにも関わらず、こちらをわざわざ選ぶ親もいるという。まあよくも悪くも普通の小学校だ。
中学受験率も18%ほど(だいたい首都圏の平均受験率。しかしうちの区の平均は50%ぐらいだと思う)とMZ小学校とは大違い。都心の小学校の割には代々ジモティ率の高いエリアで自営業の親も多い。
M小学校はとにかくうちから近いので、夫なんかはこの小学校以外眼中にない。
それにしても会場がうるさい。赤ちゃんの泣き声や、ぐずる子どもたちの声、大きな声で叫んだり笑ったりしながら、会場の中を走り回る子どもたち。
ひっきりなしにしゃべりまくっている保護者たち。
いったい、なんなんだ。節度と言うものがこの人たちにはないのかね?
しかし会場を見渡すと、うちの保育園から来ている保護者も数人に過ぎず、中でもマジメなタイプというか比較的キッチリしているお母さんたちだけだ。
ってことは、これでも来てるだけでもマシってやつなの?
すでに保護者説明会自体が学級崩壊みたいになっているのだ。
なんだか公立小の実態を見せつけられたようで、暗澹たる気持ちになる。
まったく、人の親なんだから、先生の話ぐらいキチンと聞きましょうね!
その後の個別相談では、学童クラブのコーナーへ行き、うちから一番近いM小学校の学童でも違う小学校へ通っている子も受け入れてもらえるという話を聞けて、みっちゃんといっしょにホッとする。
小学校になったら共働きの親にとって、わが子の放課後の過ごし方は大問題だ。
もし国立小学校に受かったら、そこから学童へは自力で行ってもらわないといけないが、そのあたりは受かってから考えることにしよう。
しかし個別相談で残っている親はほとんどいなかった。みんなあまり教育に関心がないのだろうか? はたまた関心のある親は最初から公立など考えてもいないのか?
そういえば知り合いのお受験しそうなお母さんは誰も来ていないよな。
なんだかいろいろと考えさせられる学校説明会だった
小学校説明会始まる①
8月最後の土曜日。この日は朝から慌しかった。
まず午前中には公立の小学校説明会が、区役所近くの区民公会堂で行われる。
そして午後は銀座の先生からふたり揃って進学すると言われていたG大附属T小の学校説明会もあるのだ。
いや、正確にいえばG大附属T小の学校説明会は、午前9時、午前11時、午後1時からの3部構成になっていて、そのうちのどれかに行けばいいのだ。
あいにく午前中は公立の説明会と重なっているので、否応なく午後の部を選択せざるをえない。
この日は1日、娘のクラスメイトの陽太(仮名)ママことお受験仲間のみっちゃん(仮名)と行動を共にすることに。
まずは公立の説明会だ。
最初に思ったのは、説明会を一箇所で1回しか行わないので、そんなんでだいじょうぶなのか?ということだ。
たぶん上にお兄ちゃんやお姉さんがいる親は来ないだろうけど、それにしても会場が人でいっぱいに溢れてしまわないか?
ところが行ってみて拍子抜けした。なんと会場が人もまばらでガラガラなのだ。
ええ?? いいの? 説明会って出席しなくても!?
挙句、前もって下の子がいる場合はお預かりしますという告知がされていたのにも関わらず、小さな子どもがいっぱいいて、うるさいことうるさいこと。
まあ私もそうだけど、保護者の服装はもちろんTシャツとジーンズといった普段着だ。
カジュアルめだけど一応スーツに身を固めているみっちゃんを会場内で見つけ出し、教育委員会の方々のお話を拝聴する。
最初に挨拶に出てきたのは、教育長だ。
私は教育委員会と仕事で接点があるのでわかるのだが、教育長というのはものすごくエライ人で、雲の上の人だ。ふつうは会えない人なので、滅多にお顔を拝見することなんかはないのだが、説明会に教育長自らが出張ってきていて、丁寧に区の教育方針なんかをお話してくれている。
しかし小さい子どもの叫び声とか、保護者の私語が多くて何を話しているのかさっぱり聞こえない。
隣のふたり組の母親たちなんて、私語をコソコソと小声で話すどころか、普通の声のトーンでベラベラと世間話をしている。
おいおい、こういうのってありなわけ?
教育長ですよ、教育長! お母さん方、この人はエライ人なんですよ~。
まず午前中には公立の小学校説明会が、区役所近くの区民公会堂で行われる。
そして午後は銀座の先生からふたり揃って進学すると言われていたG大附属T小の学校説明会もあるのだ。
いや、正確にいえばG大附属T小の学校説明会は、午前9時、午前11時、午後1時からの3部構成になっていて、そのうちのどれかに行けばいいのだ。
あいにく午前中は公立の説明会と重なっているので、否応なく午後の部を選択せざるをえない。
この日は1日、娘のクラスメイトの陽太(仮名)ママことお受験仲間のみっちゃん(仮名)と行動を共にすることに。
まずは公立の説明会だ。
最初に思ったのは、説明会を一箇所で1回しか行わないので、そんなんでだいじょうぶなのか?ということだ。
たぶん上にお兄ちゃんやお姉さんがいる親は来ないだろうけど、それにしても会場が人でいっぱいに溢れてしまわないか?
ところが行ってみて拍子抜けした。なんと会場が人もまばらでガラガラなのだ。
ええ?? いいの? 説明会って出席しなくても!?
挙句、前もって下の子がいる場合はお預かりしますという告知がされていたのにも関わらず、小さな子どもがいっぱいいて、うるさいことうるさいこと。
まあ私もそうだけど、保護者の服装はもちろんTシャツとジーンズといった普段着だ。
カジュアルめだけど一応スーツに身を固めているみっちゃんを会場内で見つけ出し、教育委員会の方々のお話を拝聴する。
最初に挨拶に出てきたのは、教育長だ。
私は教育委員会と仕事で接点があるのでわかるのだが、教育長というのはものすごくエライ人で、雲の上の人だ。ふつうは会えない人なので、滅多にお顔を拝見することなんかはないのだが、説明会に教育長自らが出張ってきていて、丁寧に区の教育方針なんかをお話してくれている。
しかし小さい子どもの叫び声とか、保護者の私語が多くて何を話しているのかさっぱり聞こえない。
隣のふたり組の母親たちなんて、私語をコソコソと小声で話すどころか、普通の声のトーンでベラベラと世間話をしている。
おいおい、こういうのってありなわけ?
教育長ですよ、教育長! お母さん方、この人はエライ人なんですよ~。
2010年2月18日木曜日
タイの占い師の予言が的中!
「おねえさん(←私のこと)。銀座の先生のところに行きたいので、連絡先を教えてください。うふふふ。ついに結婚が決まりました! 銀座の先生には彼との相性とか診てもらいたいです♪」
突然送られてきたメールの差出人は前の会社の後輩・山木。
彼女は会社を辞めたあと、大学院で商標などの勉強をし、ベンチャー企業を中心に管理職として何社かを渡り歩いている。
以前、すい臓ガンで急逝してしまった先輩須崎さん(仮名)たちとタイ旅行に行ったときに、現地の超有名な占い師に診てもらったらしく、そこで38歳で結婚すると予言された話は10月のブログでもお伝えしていた通り。
そして山木は現在38歳。占い的中だ!
速攻で山木に電話をして、結婚おめでとうとともにダンナのことを質問攻めにし、ようやく銀座の先生の連絡先を教えた私。
「電話したときに私の名前を出せばいいから」
そう言いながら、私のウェディングのとき、ブーケトスでブーケが当たったのは、山木だったことを思い出す。あの日から7年以上経ってる。
ようやくブーケの効果が現れたのかとつい感慨に耽ってしまう。
「わあ、助かります。ありがとうございます。あ、そうだ。おねえさん、そういえばAちゃんの受験ってどうなったんでしたっけ?」
とすっかり忘れていた(←おいっ)受験話を思い出させてくれる山木。
「記念でいいって言われてたから、何も準備してないけど、それってバカ?」
「まあ占いの検証ブログやってますからね。そういう意味では自然体でいるのがいいんじゃないですかねえ」
「それもそうかもね」
「私も行ったら絶対に報告しますから、楽しみにしててくださいね」
と山木もついに銀座の先生の洗礼を受けることになった。
ところがそれがとんでもない事態を引き起こすことになるとは、このときは誰も思いもしていなかったのであった。
突然送られてきたメールの差出人は前の会社の後輩・山木。
彼女は会社を辞めたあと、大学院で商標などの勉強をし、ベンチャー企業を中心に管理職として何社かを渡り歩いている。
以前、すい臓ガンで急逝してしまった先輩須崎さん(仮名)たちとタイ旅行に行ったときに、現地の超有名な占い師に診てもらったらしく、そこで38歳で結婚すると予言された話は10月のブログでもお伝えしていた通り。
そして山木は現在38歳。占い的中だ!
速攻で山木に電話をして、結婚おめでとうとともにダンナのことを質問攻めにし、ようやく銀座の先生の連絡先を教えた私。
「電話したときに私の名前を出せばいいから」
そう言いながら、私のウェディングのとき、ブーケトスでブーケが当たったのは、山木だったことを思い出す。あの日から7年以上経ってる。
ようやくブーケの効果が現れたのかとつい感慨に耽ってしまう。
「わあ、助かります。ありがとうございます。あ、そうだ。おねえさん、そういえばAちゃんの受験ってどうなったんでしたっけ?」
とすっかり忘れていた(←おいっ)受験話を思い出させてくれる山木。
「記念でいいって言われてたから、何も準備してないけど、それってバカ?」
「まあ占いの検証ブログやってますからね。そういう意味では自然体でいるのがいいんじゃないですかねえ」
「それもそうかもね」
「私も行ったら絶対に報告しますから、楽しみにしててくださいね」
と山木もついに銀座の先生の洗礼を受けることになった。
ところがそれがとんでもない事態を引き起こすことになるとは、このときは誰も思いもしていなかったのであった。
小説の行方は? その2
早紀ちゃん(仮名)と私たちのアイディアを有岡さん(仮名)たちに披露したあとは、末弟が家族で上京してきたので、泊りがけでディズニー・ランドとシーを満喫したり、子どもたちをサマーキャンプに送り込み、初めて子どもたちのいない日々を夫とふたりでラブラブしながら過ごしたりと、夏の日々を楽しんだのも、つかの間のある日の午後、T書店の本田くん(仮名)から携帯に連絡が入る。
きっと例の仕事ができるというフリーの編集者が私の書いたものを読んで感想なり意見なりを伝えてきたという内容に違いない。
「例の編集の人から連絡がきましたよ」
と本田くん。予想的中だ。
「メールで感想を送ってきたので、そのまま転送しますよ。読んだら電話ください」
感想を書いてきたというのはその編集者なりにちゃんと読んだってことなんだろう。
送られてきたメールを読む。
……内容は辛口だ。
要点をまとめると、
・ 文章はテンポよく読みやすい
・ 主人公に共感できない
・ 何が言いたいのかわからない
・ 恋愛の心模様が上っ面
・ 純愛なのかプレイガール日記がどちらかに特化すれば、まだ可能性はあるかも
・ ただ本人が可愛かったら写真をつけて売るという方法もありかも
といったところか。
しかしまた出たよ。主人公に共感できないという意見。
ほんと、思うにイチイチ主人公に共感できないといけないのかね?
それって説得力ってことかい?
あと何が言いたいのかということや心模様が上っ面というのは、この読み手がそう感じたんだったら、それはそれで仕方がない。
それよりもムカっ腹が立つのは、可愛ければ写真もつけて・・・というくだりだ。
本田くん(仮名)が先方に先入観を与えないようにということで、私の年齢とかプロフィールとかは全部伏せられてたわけだけど、それにしてもなんだよ。結局人は見た目かよっ!
こっちとくりゃあ、40歳超えてるんじゃあ。
喧嘩売ってるのか。われは!!
可愛くなければ、恋愛話は書くなってか?
顔出しできるぐらいじゃないと、男とヤる話は書くなってか?
わりゃ~、舐めとんのか、こりゃあ~!!
とムカムカと腹が立ってくる。なんていうのかね、本質的な感じじゃないわけよ。うーん、それよりも男性原理主義者的なんってーの? 男の論理?みたいな?
なんかそういうのってムカつくよな。
可愛かったらって、マガジンハウスにおける椎名桜子かよっ!(←なつかしいわ)
それとも初エッセイの発売記念の会見で、「エッセイの読みどころは?」と聞かれて、「まだ読んでいないんでわかりません」とナイスなボケをかましてくれた松本伊代みたいなものを期待してるのかね?
うーん、うーん、こういうのって気分悪いよな。
あまりにムカつくので、こっそり浅井さん(仮名)を呼びつけ、「ちょっとどーよ?」と無理やり意見を求めると、私が期待したより0.5秒ほど早く、
「なんすかねえ~、これキモイ意見ですね!」
とあっさり切り捨ててくれた。
これでこそクール・ビューティー浅井。
「なんかセンスない意見ですよね。アホか、お前って感じ。こんなしょーもない意見しか言えへんオッサンの言うことなんて気にすることないですよ。まあ、聞く価値もないし」
とボロクソだ。
うーん、ありがとう。浅井さん。
誤解のないように言っておくが、私は批判されたことにムカついているわけじゃないのだ。もちろん正当な批判なら受けて立つし、聞く耳だってあるのに。
結局はよくわからないということなんじゃないだろうか?
それをよりにもよって著者が可愛かったら売れるかもみたいなもの言いが気に食わない。
もし私が男の著者だったら絶対に言われないことなのに・・・。
「どうです? 読みました?」
と携帯に電話をかけてきた本田くん。
「まあ、彼もこう言ってますし、やっぱりT書店じゃむつかしいかな。まあ気を落とさずまた次も書いてくださいよ」
と気を遣いながら話しているのがよくわかる。
いや、もう次はないね。しかし世の中にはアホほど本が出版されているのに、なんで私の書いたものはダメなんだろう。
一冊ぐらい余計に出版してくれても良さそうなのにね。
それにしても、銀座の先生が言うように何冊も本を出版するような日がやってくるのか?
あ~あ、本当に私の未来はどうなっていくんだろうか?
誰か教えて。
きっと例の仕事ができるというフリーの編集者が私の書いたものを読んで感想なり意見なりを伝えてきたという内容に違いない。
「例の編集の人から連絡がきましたよ」
と本田くん。予想的中だ。
「メールで感想を送ってきたので、そのまま転送しますよ。読んだら電話ください」
感想を書いてきたというのはその編集者なりにちゃんと読んだってことなんだろう。
送られてきたメールを読む。
……内容は辛口だ。
要点をまとめると、
・ 文章はテンポよく読みやすい
・ 主人公に共感できない
・ 何が言いたいのかわからない
・ 恋愛の心模様が上っ面
・ 純愛なのかプレイガール日記がどちらかに特化すれば、まだ可能性はあるかも
・ ただ本人が可愛かったら写真をつけて売るという方法もありかも
といったところか。
しかしまた出たよ。主人公に共感できないという意見。
ほんと、思うにイチイチ主人公に共感できないといけないのかね?
それって説得力ってことかい?
あと何が言いたいのかということや心模様が上っ面というのは、この読み手がそう感じたんだったら、それはそれで仕方がない。
それよりもムカっ腹が立つのは、可愛ければ写真もつけて・・・というくだりだ。
本田くん(仮名)が先方に先入観を与えないようにということで、私の年齢とかプロフィールとかは全部伏せられてたわけだけど、それにしてもなんだよ。結局人は見た目かよっ!
こっちとくりゃあ、40歳超えてるんじゃあ。
喧嘩売ってるのか。われは!!
可愛くなければ、恋愛話は書くなってか?
顔出しできるぐらいじゃないと、男とヤる話は書くなってか?
わりゃ~、舐めとんのか、こりゃあ~!!
とムカムカと腹が立ってくる。なんていうのかね、本質的な感じじゃないわけよ。うーん、それよりも男性原理主義者的なんってーの? 男の論理?みたいな?
なんかそういうのってムカつくよな。
可愛かったらって、マガジンハウスにおける椎名桜子かよっ!(←なつかしいわ)
それとも初エッセイの発売記念の会見で、「エッセイの読みどころは?」と聞かれて、「まだ読んでいないんでわかりません」とナイスなボケをかましてくれた松本伊代みたいなものを期待してるのかね?
うーん、うーん、こういうのって気分悪いよな。
あまりにムカつくので、こっそり浅井さん(仮名)を呼びつけ、「ちょっとどーよ?」と無理やり意見を求めると、私が期待したより0.5秒ほど早く、
「なんすかねえ~、これキモイ意見ですね!」
とあっさり切り捨ててくれた。
これでこそクール・ビューティー浅井。
「なんかセンスない意見ですよね。アホか、お前って感じ。こんなしょーもない意見しか言えへんオッサンの言うことなんて気にすることないですよ。まあ、聞く価値もないし」
とボロクソだ。
うーん、ありがとう。浅井さん。
誤解のないように言っておくが、私は批判されたことにムカついているわけじゃないのだ。もちろん正当な批判なら受けて立つし、聞く耳だってあるのに。
結局はよくわからないということなんじゃないだろうか?
それをよりにもよって著者が可愛かったら売れるかもみたいなもの言いが気に食わない。
もし私が男の著者だったら絶対に言われないことなのに・・・。
「どうです? 読みました?」
と携帯に電話をかけてきた本田くん。
「まあ、彼もこう言ってますし、やっぱりT書店じゃむつかしいかな。まあ気を落とさずまた次も書いてくださいよ」
と気を遣いながら話しているのがよくわかる。
いや、もう次はないね。しかし世の中にはアホほど本が出版されているのに、なんで私の書いたものはダメなんだろう。
一冊ぐらい余計に出版してくれても良さそうなのにね。
それにしても、銀座の先生が言うように何冊も本を出版するような日がやってくるのか?
あ~あ、本当に私の未来はどうなっていくんだろうか?
誰か教えて。
2010年2月17日水曜日
決戦は月曜日!?②
乾杯のあと、私と早紀ちゃん(仮名)は今、それぞれ何をやっているのかという話になり、そこから今の英語産業の話、教育の話、公教育における英語必修化などの話の流れになっていった。
そこで具体的に業界の売上の推移やその理由などを説明すると、志木さん(仮名)が、「清永、お前、変わったなあ~。そんなマーケティング的な話ができるようになったとは。さすがに転職すると違うなあ~」
と冗談だも本気だともつかない口調で感心してみせる。
「なぜそんな数字的な裏づけをモロッコ音楽とか作ってるときにできなかった?って言いたいんでしょ?」
とちょっと拗ねた口調で言うと、有岡さん(仮名)なんかは大ウケして爆笑してる。
そのあと早紀ちゃんがまた例によって細かい教材の話とか始めて、みんなの頭に?マークがいっぱい浮かび始めたのを見て、
「とにかくね、私も早紀ちゃんも根がエンターテイメント系だから、そちらに寄ったことがしたいんだけど、きっと組むならすでにダンスやタレントスクールを持っているA社に話を持ちかけるのが早いに決まっていても、どうしてもS社が好きでどうせやるならS社でってことで、一致してるの。それで何ができるのかってことをふたりで一生懸命考えて、それで思いついたのが、“ひとりでも多くの石川遼くんを育てる”ってことだったんだよね」
と一気にまくしたてると、「石川遼?」と志木さんが怪訝な顔をし、
「要は世界に通用するアーティストを育てたいってこと。それはレコード会社ならではの新規事業だと思う。今、CDとかって売れないわけだし、何か他のことを考えないといけない時期でしょ?」
という私の言葉に真っ先に反応したのは、有岡さんで、
「まったく清永の言う通りでさ、なんかやんないといけないわけよ。うちもA社に抜かれてさ、このままじゃジリ貧なんだから。しかも話もおもしろそうだし、いいと思うよ」
と昔から変わらぬ業界人らしい軽いノリで言う。
「実はね、私、今ダンサーたちと関わっていて、あの子たちってすごく上手くても国内じゃ、ゴールがないんですよね。たとえば歌の上手い子ならプロになってCDデビューしか、スタイルのいい子ならモデルになるとかっていう道筋があるのに、ヒップポップなんかのストリート系のダンスを踊っているような子たちっていうのは、行き場がないから。だから今、その話を聞いて、そんな子たちにも活躍できる場があるんじゃないかって気がしてきましたよ」
と田町(仮名)がダンサーたちの例を挙げて、今のダンスシーンの話をいろいろと教えてくれる。
「目指すは世界か。おもしろいよな。これ絶対にいいと思うよ」
と志木さんもうれしそうに言い、トオル(仮名)も、
「元々、僕もうちの会社が幼稚園とかやったらオモロイんちゃうかって、有岡さんにも話してたんですよ。僕もぜひ一枚この話に噛ませてください」
とのんびりとした関西弁で言った。
「よし、じゃあ、このメンバーでいろいろと考えることにするか。トオルは俺の右腕だから、話はトオルにしてくれれば、バッチリだから」
と有岡さんが言い、志木さんと田町は途中で帰ってしまったが、あとのメンバーで次の店に行くことにした。
80年代風テイスト溢れるパブで、有岡さんがキープしているスコッチのボトルを出してもらい、水割りを飲みながら、話はさっきから変わり、今のS社のことになった。
有岡さんやトオルが言うには、私や早紀ちゃんがいた頃の会社とは大きく変わってしまい、今では自由でオープンでみんなイケイケだった社風はすっかり影を潜め、ことなかれ主義、前例主義が幅をきかせ、すっかりみんな萎縮してしまい、社内に充満する閉塞感がすごいのだという。
それは前にまだS社に残っている三原(仮名)や森重さん(仮名)からも聞いていたので、初めて聞く話ではないけど、みんなが揃って同じことを言うということは、心底、S社は私たちがいた頃から変わってしまったんだろう。
「だから今日さ、久しぶりにお前たちと飲んで、会社の愚痴以外の話を飲んでる席でするのは何年かぶりだったんだよ。昔は飲んでは、あんなこともできる、こんなこともできるって、おもしろいクリエイティブな話ばかりみんなしてたのに、いつのまにか、社内でそういう話をするヤツがいなくなっていって、みんな社内政治ばかり嬉々と語るようになってさ。だからうれしかったよ。ほんと、なんとかしたいよな。この話。トオルもさ、そう思うだろ?」
「ほんまですよ。僕もいろいろと考えさせてもらいます」
とまあこんな具合に、いい感じでこの日の話は終了したのである。
そしてあることに気づいた。
2010年の4月から、「先生」と呼ばれる仕事をするようになる。
会話の多い仕事で大勢の人たちと仕事をしているのが見える。
クリエイティブな仕事と並んで、銀座の先生から私が始めると言われていた仕事だ。
もしかしたら、「先生」と呼ばれる仕事はこのプロジェクトのことなんだろうか?
もしそうだとしたら・・・・。
真夏日なのに、何かあまりにも話ができすぎているような気がしてゾクリと背筋に冷たい汗を掻いたのであった。
そこで具体的に業界の売上の推移やその理由などを説明すると、志木さん(仮名)が、「清永、お前、変わったなあ~。そんなマーケティング的な話ができるようになったとは。さすがに転職すると違うなあ~」
と冗談だも本気だともつかない口調で感心してみせる。
「なぜそんな数字的な裏づけをモロッコ音楽とか作ってるときにできなかった?って言いたいんでしょ?」
とちょっと拗ねた口調で言うと、有岡さん(仮名)なんかは大ウケして爆笑してる。
そのあと早紀ちゃんがまた例によって細かい教材の話とか始めて、みんなの頭に?マークがいっぱい浮かび始めたのを見て、
「とにかくね、私も早紀ちゃんも根がエンターテイメント系だから、そちらに寄ったことがしたいんだけど、きっと組むならすでにダンスやタレントスクールを持っているA社に話を持ちかけるのが早いに決まっていても、どうしてもS社が好きでどうせやるならS社でってことで、一致してるの。それで何ができるのかってことをふたりで一生懸命考えて、それで思いついたのが、“ひとりでも多くの石川遼くんを育てる”ってことだったんだよね」
と一気にまくしたてると、「石川遼?」と志木さんが怪訝な顔をし、
「要は世界に通用するアーティストを育てたいってこと。それはレコード会社ならではの新規事業だと思う。今、CDとかって売れないわけだし、何か他のことを考えないといけない時期でしょ?」
という私の言葉に真っ先に反応したのは、有岡さんで、
「まったく清永の言う通りでさ、なんかやんないといけないわけよ。うちもA社に抜かれてさ、このままじゃジリ貧なんだから。しかも話もおもしろそうだし、いいと思うよ」
と昔から変わらぬ業界人らしい軽いノリで言う。
「実はね、私、今ダンサーたちと関わっていて、あの子たちってすごく上手くても国内じゃ、ゴールがないんですよね。たとえば歌の上手い子ならプロになってCDデビューしか、スタイルのいい子ならモデルになるとかっていう道筋があるのに、ヒップポップなんかのストリート系のダンスを踊っているような子たちっていうのは、行き場がないから。だから今、その話を聞いて、そんな子たちにも活躍できる場があるんじゃないかって気がしてきましたよ」
と田町(仮名)がダンサーたちの例を挙げて、今のダンスシーンの話をいろいろと教えてくれる。
「目指すは世界か。おもしろいよな。これ絶対にいいと思うよ」
と志木さんもうれしそうに言い、トオル(仮名)も、
「元々、僕もうちの会社が幼稚園とかやったらオモロイんちゃうかって、有岡さんにも話してたんですよ。僕もぜひ一枚この話に噛ませてください」
とのんびりとした関西弁で言った。
「よし、じゃあ、このメンバーでいろいろと考えることにするか。トオルは俺の右腕だから、話はトオルにしてくれれば、バッチリだから」
と有岡さんが言い、志木さんと田町は途中で帰ってしまったが、あとのメンバーで次の店に行くことにした。
80年代風テイスト溢れるパブで、有岡さんがキープしているスコッチのボトルを出してもらい、水割りを飲みながら、話はさっきから変わり、今のS社のことになった。
有岡さんやトオルが言うには、私や早紀ちゃんがいた頃の会社とは大きく変わってしまい、今では自由でオープンでみんなイケイケだった社風はすっかり影を潜め、ことなかれ主義、前例主義が幅をきかせ、すっかりみんな萎縮してしまい、社内に充満する閉塞感がすごいのだという。
それは前にまだS社に残っている三原(仮名)や森重さん(仮名)からも聞いていたので、初めて聞く話ではないけど、みんなが揃って同じことを言うということは、心底、S社は私たちがいた頃から変わってしまったんだろう。
「だから今日さ、久しぶりにお前たちと飲んで、会社の愚痴以外の話を飲んでる席でするのは何年かぶりだったんだよ。昔は飲んでは、あんなこともできる、こんなこともできるって、おもしろいクリエイティブな話ばかりみんなしてたのに、いつのまにか、社内でそういう話をするヤツがいなくなっていって、みんな社内政治ばかり嬉々と語るようになってさ。だからうれしかったよ。ほんと、なんとかしたいよな。この話。トオルもさ、そう思うだろ?」
「ほんまですよ。僕もいろいろと考えさせてもらいます」
とまあこんな具合に、いい感じでこの日の話は終了したのである。
そしてあることに気づいた。
2010年の4月から、「先生」と呼ばれる仕事をするようになる。
会話の多い仕事で大勢の人たちと仕事をしているのが見える。
クリエイティブな仕事と並んで、銀座の先生から私が始めると言われていた仕事だ。
もしかしたら、「先生」と呼ばれる仕事はこのプロジェクトのことなんだろうか?
もしそうだとしたら・・・・。
真夏日なのに、何かあまりにも話ができすぎているような気がしてゾクリと背筋に冷たい汗を掻いたのであった。
決戦は月曜日!?①
都内の某駅の駅ビルに入っているカフェで早紀ちゃん(仮名)と待ち合わせる。
この駅は私たちが前にいた会社のある駅だ。8年間ほど、私はこの場所に通い続けた。
初めてこの駅に降り立ったのは1989年の夏。
当時大学4年生だった私はこの会社に入りたくて入りたくて、わざわざ住んでいた京都から上京して、会社案内の資料を取りにきたのだった。
あれから丸20年も経っている。
この日も20年前のあの日のように、暑くてうだるような真夏日だった。
あまりにも暑かったので、私たちはコーヒーの代わりにミントを使ったさっぱりとしたカクテル・モヒートを頼んだ。
けど所詮駅ビルのカフェのモヒートはそれなりのもので、わざわざそんなことを口に出して言わなくてもいいのに、早紀ちゃんは、「なんだよっ、ここのモヒート、全然ダメじゃん!」と言いながら全部飲み干していた。
そこで私たちは話を切り出す手順だとか、具体的な数字だとかを確認して、今では人事部の次長になっている志木さん(仮名)の指定してきた魚がおいしいという割烹へと歩いて向かった。
その途中、私たちの前を歩いている異様に痩せた女性の存在に気づいた。半袖のシャツから伸びている腕は楽勝で片手で掴めそうなほど細く、二の腕デブの私の腕の3分の1ぐらいしかない。
ピッタリとしたジーンズの腰周りはヴィヴィアン・リーばりに細く(←見たことないけど)、両足は私の両腕ぐらいの細さ。
彼女の穿いているジーンズなんて、もし私が穿いたら、足首の辺りで引っかっちゃうんだろうなあと思っていると、なんとその女性は久しぶりに再会する田町(仮名)だった。
彼女は私の一期下で前はあんなに痩せてなかった。病気でもしたのかなと思い、早紀ちゃんにその旨を伝えると、
「あれ? そうだったっけ? そんな痩せたっけ?」
とあれで痩せてなかったら、世の中の人は全員肥満だぞと思わず突っ込んだぐらい、人のことを見ていない早紀ちゃん。
しかし田町は私たちに気づく前にコンビニに入ってしまったので、道端でバッタリ会って「よっ! 久しぶり」という具合にはならなかった。
私と早紀ちゃんが割烹に入ると、すでに田町以外のメンバーは揃っていた。
有岡さん(仮名)はたまに地下鉄とかでいっしょになることもあって、それほど久しぶりではないので別段変わったところはないが、トオル(仮名)と志木さんはやはり会わなかった年月の分だけオジサン化していた。
「おう、清永、久しぶり。お前全然変わってないじゃん!」
と志木さん。
「そんなことないよ。12キロも太ったんだから!」
「マジかよ。そんなのわかんないけどな」
「まあ清永も今や二児の母だからね。仕方ないよ」
と有岡さん。
そこへ「お待たせしましたっ!」と息を切らしながら飛び込んできたのが、どうやらコンビニに寄ってたらしい田町。
うわ~! 正面から見ても痩せてる~!
「久しぶり! どうした? ずいぶん痩せたね~! デブになった私的にはめっちゃ、うらやましいよ」
と言うと、田町は少し顔を歪ませて、
「どこがですか。私、脱いだらすごいですよ。相当肉ついてますよ」
と冗談めかして言う。
まさか! 脱いだところで、どこにそのガリガリな体に肉がつくというのだ!
ちょっと病的なものを感じ、それ以上その話題に触れるのはやめた。
まあ、それはさておき肝心なプロジェクトの話をこの人たちにもわかってもらわねば!
この駅は私たちが前にいた会社のある駅だ。8年間ほど、私はこの場所に通い続けた。
初めてこの駅に降り立ったのは1989年の夏。
当時大学4年生だった私はこの会社に入りたくて入りたくて、わざわざ住んでいた京都から上京して、会社案内の資料を取りにきたのだった。
あれから丸20年も経っている。
この日も20年前のあの日のように、暑くてうだるような真夏日だった。
あまりにも暑かったので、私たちはコーヒーの代わりにミントを使ったさっぱりとしたカクテル・モヒートを頼んだ。
けど所詮駅ビルのカフェのモヒートはそれなりのもので、わざわざそんなことを口に出して言わなくてもいいのに、早紀ちゃんは、「なんだよっ、ここのモヒート、全然ダメじゃん!」と言いながら全部飲み干していた。
そこで私たちは話を切り出す手順だとか、具体的な数字だとかを確認して、今では人事部の次長になっている志木さん(仮名)の指定してきた魚がおいしいという割烹へと歩いて向かった。
その途中、私たちの前を歩いている異様に痩せた女性の存在に気づいた。半袖のシャツから伸びている腕は楽勝で片手で掴めそうなほど細く、二の腕デブの私の腕の3分の1ぐらいしかない。
ピッタリとしたジーンズの腰周りはヴィヴィアン・リーばりに細く(←見たことないけど)、両足は私の両腕ぐらいの細さ。
彼女の穿いているジーンズなんて、もし私が穿いたら、足首の辺りで引っかっちゃうんだろうなあと思っていると、なんとその女性は久しぶりに再会する田町(仮名)だった。
彼女は私の一期下で前はあんなに痩せてなかった。病気でもしたのかなと思い、早紀ちゃんにその旨を伝えると、
「あれ? そうだったっけ? そんな痩せたっけ?」
とあれで痩せてなかったら、世の中の人は全員肥満だぞと思わず突っ込んだぐらい、人のことを見ていない早紀ちゃん。
しかし田町は私たちに気づく前にコンビニに入ってしまったので、道端でバッタリ会って「よっ! 久しぶり」という具合にはならなかった。
私と早紀ちゃんが割烹に入ると、すでに田町以外のメンバーは揃っていた。
有岡さん(仮名)はたまに地下鉄とかでいっしょになることもあって、それほど久しぶりではないので別段変わったところはないが、トオル(仮名)と志木さんはやはり会わなかった年月の分だけオジサン化していた。
「おう、清永、久しぶり。お前全然変わってないじゃん!」
と志木さん。
「そんなことないよ。12キロも太ったんだから!」
「マジかよ。そんなのわかんないけどな」
「まあ清永も今や二児の母だからね。仕方ないよ」
と有岡さん。
そこへ「お待たせしましたっ!」と息を切らしながら飛び込んできたのが、どうやらコンビニに寄ってたらしい田町。
うわ~! 正面から見ても痩せてる~!
「久しぶり! どうした? ずいぶん痩せたね~! デブになった私的にはめっちゃ、うらやましいよ」
と言うと、田町は少し顔を歪ませて、
「どこがですか。私、脱いだらすごいですよ。相当肉ついてますよ」
と冗談めかして言う。
まさか! 脱いだところで、どこにそのガリガリな体に肉がつくというのだ!
ちょっと病的なものを感じ、それ以上その話題に触れるのはやめた。
まあ、それはさておき肝心なプロジェクトの話をこの人たちにもわかってもらわねば!
2010年2月16日火曜日
天啓閃く②
早紀ちゃん(仮名)は細かいアイディアがいっぱいあるらしく、教材がどうだとか、フォニックスがどうだとあれこれ語るが、正直私にはおもしろくない。
私がおもしろくなければ、教育に関してまったくの予備知識のない彼らにとっては、もっとわけのわからないつまらない話になってしまうだろう。
早紀ちゃんの話を聞きながら、ではその教材だとかフォニックスだとかって、なんのために作るのだろう? 誰のために作るのだろう?と思う。
教材だって英語のクラスだって教育目標が必要だ。
教育目標というと大仰な感じがするが、要はいったいどういう子ども(だけとは限らないが)を育てたいかに尽きる。
英語をはじめとする語学を使ったエデュテイメントでどういう人材に育ってほしいのか?
それは世界に通用するアーティストを育成するというのがレコード会社と組むにはふさわしいのじゃないか?
今、インターネットの出現で世界への壁は低くなっている。田舎のバンドが東京ではなく、いきなり海外を目指し、世界進出するってことも珍しくなくなってきているのだ。
それに拍車をかけたのがYOUTUBEの出現だ。
自分たちの手で世界で通用するアーティストを育成する。
なんてやりがいのありそうな仕事なんだろう。
何もアーティストに限定しなくても、ゴルフの世界の石川遼くんや、フィギアの浅田真央ちゃんなどスポーツの世界ではいくらでも例がある。
そうだ。コンセプトは“ひとりでも多くの石川遼を育てる”だ。
それを私が前にいたレコード会社(の親会社)のブランドと知名度を使ってやればインパクトがあるし、意義もある。
折りしも教育最大手のBN(←おおっと、今では夫の会社の親会社の親会社だ)も、いきなりハーバード大を筆頭とする世界の有名大学を目指す高校生のためのコースを開設したところだ。
日本に市場がなければ海外を目指せばいいのだ。
一部の公文みたいなところを除いて、言葉の問題もあるからなのか、海外に進出している教育産業は少ない。
そもそも「世界に通用するアーティスト」を育成するスクールなんて、ゆくゆくは成長著しい中国やインドで展開したっていいのだ。
そういったアイディアが頭上に次から次へと降り下りてくる。そのアイディアたちはまるでキラキラと降り注ぐ砂金のように輝き煌いている。
うん、これならみんなノッてくれる!
なぜならそれは天が私にお与えになった使命だからだ。
もうその後は何かに憑依されたが如くしゃべりまくる私。
早紀ちゃんもうーむとずっと唸っている。
さあ、いくらでも唸るがいい。
いつもは電話口で鼻くそをほじくりながら、「それで~ぇ?」と投げやりに早紀ちゃんの話を一方的に聞いているだけの私だが、今回は天啓なのだから、もうどうにもとまらない。
「っつーか、お前、やっとやる気になったな」
そう切り返す早紀ちゃん。
「おう、あたぼうよ。やるときゃやるよ。あたいも」
なぜか70年代の大映テレビドラマのスケバンみたいな口調になる私。
「よし、じゃあ来週の月曜日、みんなに会う直前にお互い資料を持ち寄って、事前打合せしようぜ」
「あいよ!」
そう言って電話を切った私はその後もテンションが下がらず、夫相手にも大いに熱弁をふるい、自説を展開したのであった。
私がおもしろくなければ、教育に関してまったくの予備知識のない彼らにとっては、もっとわけのわからないつまらない話になってしまうだろう。
早紀ちゃんの話を聞きながら、ではその教材だとかフォニックスだとかって、なんのために作るのだろう? 誰のために作るのだろう?と思う。
教材だって英語のクラスだって教育目標が必要だ。
教育目標というと大仰な感じがするが、要はいったいどういう子ども(だけとは限らないが)を育てたいかに尽きる。
英語をはじめとする語学を使ったエデュテイメントでどういう人材に育ってほしいのか?
それは世界に通用するアーティストを育成するというのがレコード会社と組むにはふさわしいのじゃないか?
今、インターネットの出現で世界への壁は低くなっている。田舎のバンドが東京ではなく、いきなり海外を目指し、世界進出するってことも珍しくなくなってきているのだ。
それに拍車をかけたのがYOUTUBEの出現だ。
自分たちの手で世界で通用するアーティストを育成する。
なんてやりがいのありそうな仕事なんだろう。
何もアーティストに限定しなくても、ゴルフの世界の石川遼くんや、フィギアの浅田真央ちゃんなどスポーツの世界ではいくらでも例がある。
そうだ。コンセプトは“ひとりでも多くの石川遼を育てる”だ。
それを私が前にいたレコード会社(の親会社)のブランドと知名度を使ってやればインパクトがあるし、意義もある。
折りしも教育最大手のBN(←おおっと、今では夫の会社の親会社の親会社だ)も、いきなりハーバード大を筆頭とする世界の有名大学を目指す高校生のためのコースを開設したところだ。
日本に市場がなければ海外を目指せばいいのだ。
一部の公文みたいなところを除いて、言葉の問題もあるからなのか、海外に進出している教育産業は少ない。
そもそも「世界に通用するアーティスト」を育成するスクールなんて、ゆくゆくは成長著しい中国やインドで展開したっていいのだ。
そういったアイディアが頭上に次から次へと降り下りてくる。そのアイディアたちはまるでキラキラと降り注ぐ砂金のように輝き煌いている。
うん、これならみんなノッてくれる!
なぜならそれは天が私にお与えになった使命だからだ。
もうその後は何かに憑依されたが如くしゃべりまくる私。
早紀ちゃんもうーむとずっと唸っている。
さあ、いくらでも唸るがいい。
いつもは電話口で鼻くそをほじくりながら、「それで~ぇ?」と投げやりに早紀ちゃんの話を一方的に聞いているだけの私だが、今回は天啓なのだから、もうどうにもとまらない。
「っつーか、お前、やっとやる気になったな」
そう切り返す早紀ちゃん。
「おう、あたぼうよ。やるときゃやるよ。あたいも」
なぜか70年代の大映テレビドラマのスケバンみたいな口調になる私。
「よし、じゃあ来週の月曜日、みんなに会う直前にお互い資料を持ち寄って、事前打合せしようぜ」
「あいよ!」
そう言って電話を切った私はその後もテンションが下がらず、夫相手にも大いに熱弁をふるい、自説を展開したのであった。
2010年2月15日月曜日
天啓閃く!①
このところ、早紀ちゃん(仮名)からの電話がやけに多い。
また早紀ちゃんの行きつけの飲み屋はうちの近所にあるから、子どもたちが寝静まったあと、夫に留守を頼み、合流したりすることも。
私たちが話している内容は、ずばり、エデュケーションとエンターテインメントを融合させたエデュテイメントを自分たちの手で作り上げられないかということだ。
行動の早い早紀ちゃんは、組むなら前の会社がいいと、今では人事部の次長になっている志木さん(仮名)に電話をして、新しいプロジェクトを始めるには、社内の誰と誰に話せばいいのか?というアドバイスを求めた。
前の会社は今では何十と細かく分社化されてしまい、誰がどこにいて何をしているのかさっぱりわからなくなってしまっている。
そういった意味で志木さんにアドバイスを求めたのは賢明だと言えよう。
志木さんのアドバイスによれば、そういった場合の王道手段は、(通常業務以外の)新規プロジェクトの発案者となるのは社内のマーケティング会社で、現場担当者は田町(仮名)という女性だという。
マーケティング部門が頭だとすると、手足となる実働部隊は有岡さん(仮名)が実質トップの販売会社DS(仮名)が担い、その現場担当者は山田透(仮名)ことトオルになるとのこと。
っていうか、全員知り合いなんですけど・・・・。
早紀ちゃんにとってもそれは同様だったらしく、
「なんだよ~。蓋開けりゃあ~、全員お前かよっ!ってメンツじゃん!」
と拍子抜けの様子。
「それだけ話しやすいってことじゃん」
「まあ、そういうことだな」
ということで、さっそく全員集合して飲むことに。
志木さんは私がモロッコ音楽を作っていた頃に、ちょうど原版管理をやっていて、何度か相談に乗ってもらったことがある。
田町は販推(販売推進)にいたので営業所への根回しをお願いしたり、トオルは音楽雑誌の編集者だったときに広告担当だったので、やりたいアーティストがあるときはよくそのアーティストの広告をピンポイントで押さえてもらったりしたものだ。
有岡さんにいたっては3度も上司になったことのある非常に縁の深い人である。結婚パーティのときだってちゃんと駆けつけてくれた。
そのメンバーが全員揃って飲むなんてなんかうれしいなあ~と能天気に楽しみにしていたら、早紀ちゃんがガンガン電話をしてきて、みんなに会うまでに自分たちのプロジェクトのアイディアをまとめたいという。
ふう~ん。プロジェクトのアイディアねえ~。
また早紀ちゃんの行きつけの飲み屋はうちの近所にあるから、子どもたちが寝静まったあと、夫に留守を頼み、合流したりすることも。
私たちが話している内容は、ずばり、エデュケーションとエンターテインメントを融合させたエデュテイメントを自分たちの手で作り上げられないかということだ。
行動の早い早紀ちゃんは、組むなら前の会社がいいと、今では人事部の次長になっている志木さん(仮名)に電話をして、新しいプロジェクトを始めるには、社内の誰と誰に話せばいいのか?というアドバイスを求めた。
前の会社は今では何十と細かく分社化されてしまい、誰がどこにいて何をしているのかさっぱりわからなくなってしまっている。
そういった意味で志木さんにアドバイスを求めたのは賢明だと言えよう。
志木さんのアドバイスによれば、そういった場合の王道手段は、(通常業務以外の)新規プロジェクトの発案者となるのは社内のマーケティング会社で、現場担当者は田町(仮名)という女性だという。
マーケティング部門が頭だとすると、手足となる実働部隊は有岡さん(仮名)が実質トップの販売会社DS(仮名)が担い、その現場担当者は山田透(仮名)ことトオルになるとのこと。
っていうか、全員知り合いなんですけど・・・・。
早紀ちゃんにとってもそれは同様だったらしく、
「なんだよ~。蓋開けりゃあ~、全員お前かよっ!ってメンツじゃん!」
と拍子抜けの様子。
「それだけ話しやすいってことじゃん」
「まあ、そういうことだな」
ということで、さっそく全員集合して飲むことに。
志木さんは私がモロッコ音楽を作っていた頃に、ちょうど原版管理をやっていて、何度か相談に乗ってもらったことがある。
田町は販推(販売推進)にいたので営業所への根回しをお願いしたり、トオルは音楽雑誌の編集者だったときに広告担当だったので、やりたいアーティストがあるときはよくそのアーティストの広告をピンポイントで押さえてもらったりしたものだ。
有岡さんにいたっては3度も上司になったことのある非常に縁の深い人である。結婚パーティのときだってちゃんと駆けつけてくれた。
そのメンバーが全員揃って飲むなんてなんかうれしいなあ~と能天気に楽しみにしていたら、早紀ちゃんがガンガン電話をしてきて、みんなに会うまでに自分たちのプロジェクトのアイディアをまとめたいという。
ふう~ん。プロジェクトのアイディアねえ~。
2010年2月12日金曜日
夫の会社、買収される!!②
しばらく待遇面で変化はなさそうと言われても、家計を直撃する可能性のある夫の会社の買収劇が気になってしかたない。
そんなときに大学のゼミ仲間・泉水くん(仮名)と会社の近くでランチをすることに。
泉水くんの会社とうちの会社は歩いて5分ぐらいのところにある。
し・か・も・なんと泉水くん、夫の会社の買収先Bの親会社BNの社員で、現在はその子会社で部長として働いているのだ。
何か新情報とか裏情報とか聞けるかも…、そんな下心も胸に秘め、泉水くんと向かったのは、某有名カレー店。
泉水くんはチキンカレー、私はシーフードカレーを頬張りつつ、お互いの仕事の話とか、ゼミのメンバーの話とか、会社近辺のおいしいお店の話などをポツリポツリしながら、カレーライスも一通り食べ終わったころに、夫の会社の話を切り出した。
すると泉水くんは「うーん」と「うーん、マンダ~ム」とやるときのチャールズ・ブロンソンばりにアゴに指を添え、
「いやあ~。全然知らんかったわ。俺、会社の事情にめっちゃ弱いねん」
と言った。
ってあんた、部長やろ!
「なんかな、会社もいっぱいグループ会社があって、増えたりとかしてるから、ようわからんのよ」
「そういうもんなんや?」
「そうそう」
とまあ、まったく成果なしである。
一応、泉水くんにはその買収についてのニュースレターを添付して送ると、
『やっぱ、なんもわからんな』
というメッセージとともに、
『せやけど、うちもBも元々教育の会社やから、教育的な見地から、従業員は大切にする気風はあると思うから、そのへんは安心してええんとちゃうかなあ』
と泉水くんらしい返信メールがきた。
そうだといいんだけどね、本当に・・・・。
そんなときに大学のゼミ仲間・泉水くん(仮名)と会社の近くでランチをすることに。
泉水くんの会社とうちの会社は歩いて5分ぐらいのところにある。
し・か・も・なんと泉水くん、夫の会社の買収先Bの親会社BNの社員で、現在はその子会社で部長として働いているのだ。
何か新情報とか裏情報とか聞けるかも…、そんな下心も胸に秘め、泉水くんと向かったのは、某有名カレー店。
泉水くんはチキンカレー、私はシーフードカレーを頬張りつつ、お互いの仕事の話とか、ゼミのメンバーの話とか、会社近辺のおいしいお店の話などをポツリポツリしながら、カレーライスも一通り食べ終わったころに、夫の会社の話を切り出した。
すると泉水くんは「うーん」と「うーん、マンダ~ム」とやるときのチャールズ・ブロンソンばりにアゴに指を添え、
「いやあ~。全然知らんかったわ。俺、会社の事情にめっちゃ弱いねん」
と言った。
ってあんた、部長やろ!
「なんかな、会社もいっぱいグループ会社があって、増えたりとかしてるから、ようわからんのよ」
「そういうもんなんや?」
「そうそう」
とまあ、まったく成果なしである。
一応、泉水くんにはその買収についてのニュースレターを添付して送ると、
『やっぱ、なんもわからんな』
というメッセージとともに、
『せやけど、うちもBも元々教育の会社やから、教育的な見地から、従業員は大切にする気風はあると思うから、そのへんは安心してええんとちゃうかなあ』
と泉水くんらしい返信メールがきた。
そうだといいんだけどね、本当に・・・・。
夫の会社、買収される!!①
ずーっと社長と反りが合わず転職したがっている夫。
しかし人事の管理職というのはなかなか募集がないのと、彼の日本語能力も中途半端なので、日本人相手の人事をやるのが難しいこともあり、チャンスが巡ってこない。
たまにチャンスがあるのだが、なぜか最終で落とされてしまう。
しかし、それが災い転じて福となったことは前にも書いたとおり。
どれも最終で落とされたところは、あのリーマンブラザーズだったり、AIG生命だったり、名前は忘れたけど倒産したIT企業だったりと、結果的に落としてくれてありがとうというところばかりだったからだ。
しかし4月頃から夫の会社の雰囲気がきな臭くなり、外国人内勤スタッフは全員社会保険への加入が義務付けられ、日本の社会保険制度にまったくメリットを感じていない夫はそれだけで勤労意欲も大いに削がれ、ついでに手取りも大いに削がれ、我が家の財政悪化に結びついたのだった。
オー・マイ・ガァッー・まさに右肩下がり!
こんなときに私も働いていて良かったとつくづく思う。手取り減は痛いが、共働きの分、致命傷ではない。
しかし、その後にサラリーカットもあるという2番底にも耐えなければいけない。
実は我が家は結婚したばかりのときに役職者の夫は20%のサラリーカットをされたことがあり(←けど2年後ぐらいに元に戻った。けど夫はそのことをさらに2年ぐらい私に内緒にしてた)、サラリーカットの恐怖は初めてではない。
この平成の大不況の中、夫の会社の業績悪化もいたしかたないが、きな臭い空気の原因は社長が自分の持ち株の売り先を探すことに奔走しているところから発生している。
自分の会社なのに少しでも高く買ってくれるところがあれば、トットと売り払ってしまう、その見上げたアングロサクソン魂。
エゲツないぜ。アングロサクソン。
まあ夫もアングロサクソンだが。一応。
けど知能犯的でないところが、まるで根暗なアメリカ人とか、手先が不器用な日本人とか(←っていうか、それって私)、リズム感のないキューバ人とか、カレーを食べないインド人みたいに、“らしくない”。
そんなこんなで夫からメールが!
なんと英会話の大手Bが夫の会社を買収したとのこと。
そのBの親会社は教育業界最大手のBN!!
おお~、うちの会社の教育部門のライバル企業(←けどBNはこれっぽっちもそんなこと思っていないと思う)ではないか!!
アングロサクソン流経済策略に踊らされて、しらないうちに私たちは夫婦でありながらライバルの仲に!!
それよか、待遇とかどうなわけよ?
夫が言うには買収されたからクビになるとか、お給料が減らされるとか、降格されるとかはないということだが、今後はわからない。
外国人スタッフにも社会保険の加入を強制していたのは、日本企業に売る魂胆があって、その条件整備の一貫だったというわけだ。
まったくアングロサクソンのやるこたぁあよぉ~!!
けど考えようによってはイチ中小企業に過ぎなかった夫の会社が、これを機会に大企業のグループ会社として生まれ変わったわけでもある。
これって転職みたいなもの?
銀座の先生は今年の春にも転職運があるって言ってたけど、時期はハズしてるが、このことを言っていたのか?
ああ~、謎は深まるばかり・・・。
しかし人事の管理職というのはなかなか募集がないのと、彼の日本語能力も中途半端なので、日本人相手の人事をやるのが難しいこともあり、チャンスが巡ってこない。
たまにチャンスがあるのだが、なぜか最終で落とされてしまう。
しかし、それが災い転じて福となったことは前にも書いたとおり。
どれも最終で落とされたところは、あのリーマンブラザーズだったり、AIG生命だったり、名前は忘れたけど倒産したIT企業だったりと、結果的に落としてくれてありがとうというところばかりだったからだ。
しかし4月頃から夫の会社の雰囲気がきな臭くなり、外国人内勤スタッフは全員社会保険への加入が義務付けられ、日本の社会保険制度にまったくメリットを感じていない夫はそれだけで勤労意欲も大いに削がれ、ついでに手取りも大いに削がれ、我が家の財政悪化に結びついたのだった。
オー・マイ・ガァッー・まさに右肩下がり!
こんなときに私も働いていて良かったとつくづく思う。手取り減は痛いが、共働きの分、致命傷ではない。
しかし、その後にサラリーカットもあるという2番底にも耐えなければいけない。
実は我が家は結婚したばかりのときに役職者の夫は20%のサラリーカットをされたことがあり(←けど2年後ぐらいに元に戻った。けど夫はそのことをさらに2年ぐらい私に内緒にしてた)、サラリーカットの恐怖は初めてではない。
この平成の大不況の中、夫の会社の業績悪化もいたしかたないが、きな臭い空気の原因は社長が自分の持ち株の売り先を探すことに奔走しているところから発生している。
自分の会社なのに少しでも高く買ってくれるところがあれば、トットと売り払ってしまう、その見上げたアングロサクソン魂。
エゲツないぜ。アングロサクソン。
まあ夫もアングロサクソンだが。一応。
けど知能犯的でないところが、まるで根暗なアメリカ人とか、手先が不器用な日本人とか(←っていうか、それって私)、リズム感のないキューバ人とか、カレーを食べないインド人みたいに、“らしくない”。
そんなこんなで夫からメールが!
なんと英会話の大手Bが夫の会社を買収したとのこと。
そのBの親会社は教育業界最大手のBN!!
おお~、うちの会社の教育部門のライバル企業(←けどBNはこれっぽっちもそんなこと思っていないと思う)ではないか!!
アングロサクソン流経済策略に踊らされて、しらないうちに私たちは夫婦でありながらライバルの仲に!!
それよか、待遇とかどうなわけよ?
夫が言うには買収されたからクビになるとか、お給料が減らされるとか、降格されるとかはないということだが、今後はわからない。
外国人スタッフにも社会保険の加入を強制していたのは、日本企業に売る魂胆があって、その条件整備の一貫だったというわけだ。
まったくアングロサクソンのやるこたぁあよぉ~!!
けど考えようによってはイチ中小企業に過ぎなかった夫の会社が、これを機会に大企業のグループ会社として生まれ変わったわけでもある。
これって転職みたいなもの?
銀座の先生は今年の春にも転職運があるって言ってたけど、時期はハズしてるが、このことを言っていたのか?
ああ~、謎は深まるばかり・・・。
2010年2月9日火曜日
実家のリフォームは・・・
2回目に銀座の先生のところに行ったときに、実家のリフォームのことを先生に指摘された話は、8月のブログで紹介したとおり。
実はゴールデンウィークに帰省したときに、新しくなった我が家をこの目で確かめてきているわけだが、報告し忘れてたので、無理やりここで引っ張ってきたというわけだ(←強引)。
「で、お母さん、どうですのん。新しいおうちは」
オバハンに話を向けるのが驚異的に上手いHANAちゃん。
「うん。良うなったよ」
「え? 具体的には?」
と浅井さん。
「まずね、車庫を私ら夫婦の寝室にしたんやけど、今まではリビングの続きの8畳の和室を寝室にしとったもんで、夜遅くまで他の家族が起きとったり、朝早くから洗濯機を回されると寝れぇーへんかったけど、ちゃんと私らの寝室ができたもんで、お互いに気を遣わんでええようになったところが大きいねぇ」
「ほう」
「あとやっぱり店舗やったところもリビングやダイニングの一部になったで、広なったところも全然違うわね」
そうなのだ。オカンの言う通り、リビングダイニング合わせて広くなり、全部で25畳強といったところか。それプラス和室の8畳でぐっと開放感は増したことは確か。
でもせっかくの東向きのリビングの壁にはオカンの食器コレクションの棚が反対側に備え付けられたため、昼間でも全然明るくない。
床もダークブラウンのフローリングのため、汚れが目立つこと目立つこと。
おかげでオカンと嫁は1日中、床を雑巾掛けしている。
私は今ひとつリフォームした実家が気に入らないのだが(←それでも前よりかはいいけど)、まあみんなが満足しているのなら仕方がない。
私が住むわけでもなければ、1円たりとも出しているわけじゃないから。
また銀座の先生が言う通り、外観が大きく変わったのか?
……答えは半々といったところだ。
なぜならば、うちは東北の角地に立っているので、北側と東側が表に面しているわけだが、確かに店舗のあった東側は劇的に変わったのだが、キッチンに面した北側は外観をまったくいじっていないので、そっち側だけ見たらまったく変わっていないということになる。
それってまさに先生の占い結果の確率がそのまんまうちの実家の外観にも現れているような……。
「で、お母さん、2月に風邪とか引かはったんですか?」
記憶力のいいHANAちゃん。そう、オカンは先生からリフォーム中の2月にウィルスとかに注意と言われていたのだ。
「それもハズレ。その代わりに4月に孫(一番下の弟の1人息子)が来たときに、風邪をうつされて家族全滅やったわ。あんときはさすがの私もしんどかったわ」
うーん、時期がズレていたということか。
総合的に見て、実家に関していえば、半々の確率で当たっていると考えたら良さそうだ。
実はゴールデンウィークに帰省したときに、新しくなった我が家をこの目で確かめてきているわけだが、報告し忘れてたので、無理やりここで引っ張ってきたというわけだ(←強引)。
「で、お母さん、どうですのん。新しいおうちは」
オバハンに話を向けるのが驚異的に上手いHANAちゃん。
「うん。良うなったよ」
「え? 具体的には?」
と浅井さん。
「まずね、車庫を私ら夫婦の寝室にしたんやけど、今まではリビングの続きの8畳の和室を寝室にしとったもんで、夜遅くまで他の家族が起きとったり、朝早くから洗濯機を回されると寝れぇーへんかったけど、ちゃんと私らの寝室ができたもんで、お互いに気を遣わんでええようになったところが大きいねぇ」
「ほう」
「あとやっぱり店舗やったところもリビングやダイニングの一部になったで、広なったところも全然違うわね」
そうなのだ。オカンの言う通り、リビングダイニング合わせて広くなり、全部で25畳強といったところか。それプラス和室の8畳でぐっと開放感は増したことは確か。
でもせっかくの東向きのリビングの壁にはオカンの食器コレクションの棚が反対側に備え付けられたため、昼間でも全然明るくない。
床もダークブラウンのフローリングのため、汚れが目立つこと目立つこと。
おかげでオカンと嫁は1日中、床を雑巾掛けしている。
私は今ひとつリフォームした実家が気に入らないのだが(←それでも前よりかはいいけど)、まあみんなが満足しているのなら仕方がない。
私が住むわけでもなければ、1円たりとも出しているわけじゃないから。
また銀座の先生が言う通り、外観が大きく変わったのか?
……答えは半々といったところだ。
なぜならば、うちは東北の角地に立っているので、北側と東側が表に面しているわけだが、確かに店舗のあった東側は劇的に変わったのだが、キッチンに面した北側は外観をまったくいじっていないので、そっち側だけ見たらまったく変わっていないということになる。
それってまさに先生の占い結果の確率がそのまんまうちの実家の外観にも現れているような……。
「で、お母さん、2月に風邪とか引かはったんですか?」
記憶力のいいHANAちゃん。そう、オカンは先生からリフォーム中の2月にウィルスとかに注意と言われていたのだ。
「それもハズレ。その代わりに4月に孫(一番下の弟の1人息子)が来たときに、風邪をうつされて家族全滅やったわ。あんときはさすがの私もしんどかったわ」
うーん、時期がズレていたということか。
総合的に見て、実家に関していえば、半々の確率で当たっていると考えたら良さそうだ。
2010年2月3日水曜日
HANAちゃんもついに銀座デビュー!
浅井さん(仮名)の銀座の報告からさかのぼること1ヶ月前。HANAちゃんから「私もついに銀座予約しましたよ!」との電話があった。
HANAちゃんの予約日は8月3日。リアルタイムで報告を聞こうと、我が家で浅田さんも呼んでHANAちゃんの占い結果を聞くことに。
この日は前の週から子どもたちが揃って新型インフルエンザにやられてしまい、だからといって会社を休めない私たちに代わって、実家からオカンがピンチヒッターとしてやってきていた。
オカンも交えて聞くHANAちゃんの銀座報告。
彼女たちのためにあれこれ作り、アルコールもふんだんに用意し、テーブルの上はすっかりパーティー仕様だ。
「行ってきましたよ!!」
我が家で響き渡るHANAちゃんのデカイ声。
「どうやった? どうやった?」
浅井さんもすっかり関西弁モードに突入。
「いやあ、もうビックリですわっ!」
「何がやねん!」
「全部がですわっ! もうあんなことやら、こんなことやらなんや、えらいことになってますわっ!」
「おいっ! ちゃんと順を追って話さんかいっ!」
「あんたら、そこの占いって本当に当たるんかね?」
チャキチャキとしたテンポのいい関西弁の会話の流れを、いきなりお国訛りで止めるうちのオカン。
「まずね、仕事のことでもっとわがままになったほうがいいって言われて、確かにずっとみんなの言い分ばっか聞いてて、わけわからんところで責められたりとめっちゃストレスやったんですよぉ~。でね、9月になったら仕事内容は変わらへんけど、環境が変わるって」
「そんなん、ありえるんかい?」
「うーん、微妙やなあ~」
4月から彼女はうちの会社が自治体から委託されている施設の職員として働き始めていて、その自治体の施設は3箇所あり、そのうちのひとつでHANAちゃんは企画とか運営の仕事をしている。
「別の施設に異動になれば、確かに仕事内容は変わらず環境だけ変わるってことになるんですけどね。可能性としてはなくはないけど」
「音楽とかはどうなん?」
「なんか歌詞のこととか、すごい言われたことと、日本よりアメリカでやったほうが成功するんですってぇ!」
「ほう~、海外進出!」
「そうなんですよ。めっちゃビックリ!」
「せやけどHANAちゃん、アメリカのほうが合ってると思うよ」
と浅井さん。
「私もそう思いますわっ。だからこのまま続けてていいって」
「良かったなあ~」
「で、ラブはどうやねん?」
「それがね! 結婚するらしい、私」
「誰と?」
「もしかしたら幼なじみかもしれへんって!」
「えええええっ???」
HANAちゃんにはトッチー(仮名)という幼なじみがいて、彼のツテを頼って上京してきたという経緯がある。
彼は和食屋さんを都内で何軒か友人たちと共同経営をしていて、私も浅井さんも何度かお店に行ったことがあるので、トッチーのことは知っている。
HANAちゃんには、アイルランド系アメリカ人の彼やミュージシャンの彼がいたらしいが、ここ数年は男っ気がまるでない。
あったとしても変なインド人からしつこく誘われて辟易していたことぐらいだ。
「でもトッチーってさ、絶対にHANAちゃんに気ぃあるよ」
断言する浅井さん。
「うん。私もそう思う」
同意する私。だってトッチーのHANAちゃんを見る目は限りなく優しく温かく、お父さんとかお兄ちゃんとか、ほとんど身内的な愛情に溢れているから。
「やっぱ、そう思います?」
「思う。思う」
「いやあ、実はね、自分で言うのもなんやけど、私もトッチー、もしかしたら私のこと好きなんちゃうか、って思ってたんですよ。これね、みんなから言われるんですよ。誰が見ても私に気ぃがあるように見えるって。やっぱそうですかねえ?」
「うん。見える見える」
「先生が言うには、12月に何か進展があるって。もしかしたらトッチーかもしれへんし、新しい出会いもあるかもしれへんって」
「HANAちゃんはどっちがいいの? トッチーとどうにかなるか、新しい出会いがあるのとでは」
「うーん。微妙やな。トッチーは元々単なる友だちやけど、あんまりにもみんなから言われるから私もなんとなく気になってきてるし、けど他にもっとええ人がおるんやったら、そんでええし」
「どっちにしろ、12月が勝負やな」
「そうですよぉ。私、頑張りますから!」
「そういえば清永さんのお母さんがせっかくいはるから、リフォームした家のことも聞かんと」
HANAちゃんが銀座の先生のところに行った報告をだいたい終えたころに、うちのオカンに話を振ってきた。
「ああ、うちのリフォームね」
こうして話題は実家のリフォーム話に移ったのだった。
HANAちゃんの予約日は8月3日。リアルタイムで報告を聞こうと、我が家で浅田さんも呼んでHANAちゃんの占い結果を聞くことに。
この日は前の週から子どもたちが揃って新型インフルエンザにやられてしまい、だからといって会社を休めない私たちに代わって、実家からオカンがピンチヒッターとしてやってきていた。
オカンも交えて聞くHANAちゃんの銀座報告。
彼女たちのためにあれこれ作り、アルコールもふんだんに用意し、テーブルの上はすっかりパーティー仕様だ。
「行ってきましたよ!!」
我が家で響き渡るHANAちゃんのデカイ声。
「どうやった? どうやった?」
浅井さんもすっかり関西弁モードに突入。
「いやあ、もうビックリですわっ!」
「何がやねん!」
「全部がですわっ! もうあんなことやら、こんなことやらなんや、えらいことになってますわっ!」
「おいっ! ちゃんと順を追って話さんかいっ!」
「あんたら、そこの占いって本当に当たるんかね?」
チャキチャキとしたテンポのいい関西弁の会話の流れを、いきなりお国訛りで止めるうちのオカン。
「まずね、仕事のことでもっとわがままになったほうがいいって言われて、確かにずっとみんなの言い分ばっか聞いてて、わけわからんところで責められたりとめっちゃストレスやったんですよぉ~。でね、9月になったら仕事内容は変わらへんけど、環境が変わるって」
「そんなん、ありえるんかい?」
「うーん、微妙やなあ~」
4月から彼女はうちの会社が自治体から委託されている施設の職員として働き始めていて、その自治体の施設は3箇所あり、そのうちのひとつでHANAちゃんは企画とか運営の仕事をしている。
「別の施設に異動になれば、確かに仕事内容は変わらず環境だけ変わるってことになるんですけどね。可能性としてはなくはないけど」
「音楽とかはどうなん?」
「なんか歌詞のこととか、すごい言われたことと、日本よりアメリカでやったほうが成功するんですってぇ!」
「ほう~、海外進出!」
「そうなんですよ。めっちゃビックリ!」
「せやけどHANAちゃん、アメリカのほうが合ってると思うよ」
と浅井さん。
「私もそう思いますわっ。だからこのまま続けてていいって」
「良かったなあ~」
「で、ラブはどうやねん?」
「それがね! 結婚するらしい、私」
「誰と?」
「もしかしたら幼なじみかもしれへんって!」
「えええええっ???」
HANAちゃんにはトッチー(仮名)という幼なじみがいて、彼のツテを頼って上京してきたという経緯がある。
彼は和食屋さんを都内で何軒か友人たちと共同経営をしていて、私も浅井さんも何度かお店に行ったことがあるので、トッチーのことは知っている。
HANAちゃんには、アイルランド系アメリカ人の彼やミュージシャンの彼がいたらしいが、ここ数年は男っ気がまるでない。
あったとしても変なインド人からしつこく誘われて辟易していたことぐらいだ。
「でもトッチーってさ、絶対にHANAちゃんに気ぃあるよ」
断言する浅井さん。
「うん。私もそう思う」
同意する私。だってトッチーのHANAちゃんを見る目は限りなく優しく温かく、お父さんとかお兄ちゃんとか、ほとんど身内的な愛情に溢れているから。
「やっぱ、そう思います?」
「思う。思う」
「いやあ、実はね、自分で言うのもなんやけど、私もトッチー、もしかしたら私のこと好きなんちゃうか、って思ってたんですよ。これね、みんなから言われるんですよ。誰が見ても私に気ぃがあるように見えるって。やっぱそうですかねえ?」
「うん。見える見える」
「先生が言うには、12月に何か進展があるって。もしかしたらトッチーかもしれへんし、新しい出会いもあるかもしれへんって」
「HANAちゃんはどっちがいいの? トッチーとどうにかなるか、新しい出会いがあるのとでは」
「うーん。微妙やな。トッチーは元々単なる友だちやけど、あんまりにもみんなから言われるから私もなんとなく気になってきてるし、けど他にもっとええ人がおるんやったら、そんでええし」
「どっちにしろ、12月が勝負やな」
「そうですよぉ。私、頑張りますから!」
「そういえば清永さんのお母さんがせっかくいはるから、リフォームした家のことも聞かんと」
HANAちゃんが銀座の先生のところに行った報告をだいたい終えたころに、うちのオカンに話を振ってきた。
「ああ、うちのリフォームね」
こうして話題は実家のリフォーム話に移ったのだった。
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