ある春の日の日曜日。
家族で近所に買い物に出かけたのだが、息子があまりにも言うことを聞かないので夫が腹を立てて、彼を連れて家に帰ってしまった。
残された私と娘はユニクロで子ども用の下着を見ていたら、礼恩くん(仮名)とママも子ども服をチェックしていた。
ちなみにここのユニクロでは必ずといっていいほど、クラスメイトの誰かと遭遇する。
「こんにちは」と声をかけると礼恩くんのママもにこやかに「こんにちは」と返してくれる。
この河田家とはお迎えの時間がズレているので、なかなか遭遇することがなく、うちが恒例で開いている子どものお誕生日パーティーに誘っても返事すらくれなかったので、なかなか仲良くなる機会がなかった。
「あれ、今日Lくん(←うちの息子)は?」
と聞く礼恩くんママ。
実はこのとき、礼恩くんママと初めてマトモに口を利いたのだ。
「さっきまでいっしょだったけど、あんまり悪いことばかりやるから、パパが怒って連れて帰っちゃった」
と答えるや否や、
「Lって保育園でもすげぇ~、悪りぃーぜっ!」
と巻き舌口調の礼恩くん。
「なぬ?」
思わず口に出してしまう私。
「だぁあからぁ~、あいつ、いつもすげぇ~、悪いことばっか、やってんだよっ!」
「こら! 礼恩、黙れっ! 余計なこと言うなっちゅーの!」
と礼恩くんママはすごい勢いで礼恩くんを睨み、「すいませんねぇ~」と礼恩くんの耳を引っ張っていそいそとユニクロから去っていってしまった。
まったくお前が言うなっちゅうねん!
と言いたいところではあったが、晴天の霹靂とはこういうことか?
甘えん坊でいつも「だっこしてぇ~」とくっついてくる我が息子。夜寝るときにはいまだにオムツをはいている(←あ~あ、かっこわる!)我が息子。
クラスのお友だちがとっくにゴーオンジャーとか仮面ライダーとかの戦隊モノに夢中になっているのに、いまだにアンパンマンしか知らない我が息子。
男の子はどうせ大きくなったら、もうマミィ~と可愛く寄ってくることはないだろう(←あったらキモイが)と思い、今のうちにいっぱいだっこして、いっぱいキスしまくっている。
早く大きくなってしっかりしてもらいたいけど、今のままがいい。ずっとだっこしてチューしてたい。なかなか息子を持つ母親の心境というのは複雑だ。
そんな息子が、クラスの悪ガキ(←あっ、言っちゃった・・・・)ナンバー2の礼恩くんから“ずげえ~悪い”とかって言われるとは!
ホンマかいな。かなり衝撃。
でも言われてみればバレエのクラスのときの息子はまるで学級崩壊児のようにやりたい放題だ。
うーん、ありえなくもないかも・・・・・。
けどどう悪いというのだ? 特に息子が誰かをいじめただとか、手を出したという話は今まで一度も出ていないが・・・。
う~ん、気になる。
「Lって保育園で悪いことばかりやってるの? どうなの?」
と娘を問い詰めてみるが、「知らない」と言って私から目をそらす娘。
なぜここで目をそらす? もしかして私の知らないダークなLが存在するのかしら?
おぼこくてアホな息子だからこそ、よけいに愛おしいっていうのもあったんだけど・・・・。
「うちの子に限って」という使い古された言葉があるが、まさにそんな感じ。
有名なワルに限って知らぬは親ばかりという話をよく聞くが、もしかしてうちもそのパターン?
それとも礼恩くんが私たちをからかってるとか?
でもその日を境にして、保育園帰りの息子に“今日、誰と遊んだ?”と聞くと、今までは真っ先に大樹くん(仮名)の名前を挙げ、そのあと女の子やおとなしめの男の子の名前を挙げていたのに、
「敦(仮名)と礼恩」
しかも呼び捨てで答えるようになったのだ。
“何して遊んだの?”と聞くと、その日によってパズルだったり、積み木だったり、塗り絵だったりする。
しかし男の子道ぶっちぎりの二人に息子はついていけてるのだろうか?
そういえば3歳児クラスのときにこの二人が、
「Lはだめだよ。あいつわけわかんないから、ゲームについてこれねぇーしよぉ」
「まあ、まだ小せぇからよぉ。相手にはなんないな」
などと話しているのを偶然聞いてしまったことがあった。
それから少しは二人の相手になるぐらい息子は成長したのだろうか。
「Lくん、敦くんとか礼恩くんについていけてる?」
そう尋ねる私に、「うん」と明るく頷く息子はまるで天使のように愛らしい。
何がどうであれやっぱりうちの息子はラブリーだわ~。
それでもなんとなくジャイアンやスネ夫にくっついていくのび太を思い出したのは気のせい?
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