ここで44マグナムの紹介をしよう。
1977年(!)結成、83年にメジャーデビュー。当時、いわゆるジャパメタ(ジャパニーズ・へヴィー・メタル)ブームなるものがあり、ラウドネスとかアース・シェーカー、バウワウなどが代表格だった。
ラウドネスやアース・シャーカーが関西出身ということも影響しているのか、さらに関西メタルといわれるジャンルが出現する。
そんな関西メタルの代表格にMARINOやRAJASなどと並んで44マグマムが君臨していて、全員金髪で化粧というきらびやかなルックスは後続のバンドに絶大な影響を与える。
実際、デランジェのサイファーやテツは44マグナムのローディーを務めていたし、このジャンル好きではなくても、44マグナムの名前は広く知られていた。
2002年に再結成するも本格始動には至らず、2007年(またしても!)に本格的な活動を宣言。
メンバーは従来のポール(vo)、ジミー(g)、ジョー(ds)に加えて、2009年にポールの息子(!)スティーヴィー(vo)と元ラクリマクリスティのSHUSE(b)を新メンバーに迎える。
なんと新メンバーたちと従来のメンバーたちは親子ほど(←って実際親子だけど)年が離れているのだ。
私は44マグナムのライブは見たことがなかったけど、何かのオムニバス盤で何曲か聴いたことがあり、アメリカンな感じの明るいハードロックという印象を持っていた。
去年、新メンバーが加入したときにアライちゃんが、「44マグナム再結成しましたよ」と彼らが表紙のロッキンf系の雑誌を見せてくれ、ポールとスティーヴィーがそっくりなのに、微笑ましく思った。
そんなこともあってこの日、一番のお楽しみは親子44マグナムを見ることだったのだ。
会場のファンも同様らしく、期待が高まる。アライちゃんも前に飛び出す準備をしている。
若いアライちゃんが44マグナムにハマっているのは、たぶんドラムの宮脇“ジョー”知史の影響だろう。ジョーはXのHIDEがやっていたhide with Spread Beaverのツアーメンバーだったし、今やZIGGYのメンバーでもあるから、モロ、アライちゃんの好きなバンドの影にジョーの存在ありなのだ。
そして真打ち登場!
おお~、ポールがオッサンになっている! 今までのバンドたちが全然年齢を感じさせなかったのに比べて、ポールはしっかりと年食っている。お腹も出ているぞ。
そのことになぜかすご~く安心感を覚える。相変わらず金髪で中にはヒラヒラの白いブラウスを着ているんだけど、人間味溢れていていいじゃないか!
ジミーやジョーは体型を保っていて、相変わらずカッコよく、若者のスティヴィーやSHUSEと並んでも遜色ない。
雑誌ではポールと瓜二つと思ったスティーヴィーだけど、イマドキの若者らしく顔が小さく手足が長い。整った可愛い顔をしている。
インタビューで「俺もポールの影響を受けているから」云々などと、突っ込みどころ満載な受け答えをしているところもラブリーだ。
しかし父親といっしょにやるバンドって本人的にはどういう心境なんだろう。父親がやっていたバンドに息子が加入するっていう例はあるが(ツェッペリンのジェイソン・ボーナム)、ロックバンドを親子でやるのはかなり珍しいと思う。
スティーヴィーの懸命に追いつこうとしている様子が初々しい。
ポールは歌を通じて何かをスティーヴィーに伝えたいのだろうか?
今後親子バンドで期待したいのは、charだわね。
そして特筆すべきはジョーのドラム。自己主張の強いテツのドラムを見た後ということもあり、この人のドラムはものすごく調和的だ。
サウンドの屋台骨を絶対的な安心感を持って支えている。ジョーのドラムによって、44マグナムというバンドは守られている。
しかもジョーが笑顔でうれしそうだ。ジョー加入後のZIGGYはまだ見たことがないが、これまで私が見てきたジョーのライブは全部サポートメンバーとしてのものばかりであったことから、職人的にきっちり仕事をする人という印象を持っていた。
けど今夜のジョーは違う。思いっきり自分のホームで楽しんで、自分自身のドラムを叩いている感じがする。
うふ、ジョーもこんなに素敵な人だっただなんて、なんで20代の頃には気がつかなかったのかしら。迂闊だったわ。
ポールのMCも冴えていて、この人もつくづく関西人なんだと思う。大御所らしく鷹揚にデッド・エンドやデランジェも褒め称えるなど、気配りもバッチリだ。客の乗せ方も抜群に上手い。
「俺らは鹿鳴館が出来た30年前以上前から、バンドやっとったけど、お前らの中で生まれる前から鹿鳴館があったってヤツとかいるの?」
とポールが聞くと、あっちこっちで「ハーイ!」という声が聞こえる。アライちゃんも思いっきり返事をして手を挙げている。
オジサンオバサン・ファンばかりかと思いきや、若いファンもしっかりとついているようだ。中には「私、23歳!」とか叫んでる女の子もいた。
やるなあ~。
けどライブ中盤で、「病気なんてイヤやな」とポールがポツリと漏らす。
そうなのだ。ポールは若年性パーキンソン病に罹っているとカミングアウトしていて、病魔と闘っているのだ。
いつの日か体が動かなくなる日が、声が出なくなる日が来るかもしれない。悪夢としか思えない残酷な現実にポールは立ち向かっているのだ。
その恐怖はいかばかりか。
けどポールは歌い続ける。
オッサンになったポールはめっちゃカッコいい。
ポールが命がけでやってきた44マグナムというバンドを、いつの日か実の息子であるスティーヴィーに託すために、ポールは息子とステージに立つのだろう。
けど「デッド・エンドもデランジェも44マグナムもこれから歴史を作っていくんだから、まだまだ伝説にはならない」というポールの言葉に、彼の歌い続けるんだという強い意志を感じる。
そうだ。まだまだ44マグナムの歴史は続いていくのだ。
そして「こんなに人が集まるんだったら、鹿鳴館にも足を運ぼう。俺たちの次ぐらいにカッコいいバンドがいるかもしれないぜ。みんながバンドを育てるんだ」という言葉になんだかジーンとくる。
そして44マグナムもきっちり1時間で演奏を終えると、鹿鳴館の社長という人がステージに上がり、あいさつ。デッド・エンドやデランジェのメンバー、さらになぜか元ラルクアンシエルのドラマーSAKURAが出てきて、記念撮影。
その後はお楽しみの大セッション。曲は44マグナムの“ストリート・ロックンローラー”。
ゴージャスだ。だってポールとMORRIEとKYOちゃんがいっしょに歌ってるなんて、すごすぎ。
ジョーとテツの師弟ドラマー競演や、ジミーとサイファー(←カッコよすぎ!!)の師弟ギタリスト競演、クール・ジョーのリラックスしたベースなどみどころ聞きどころ満載だ。
会場にいたファンも楽しそうだ。ステージにいるメンバーたちは本当にいい感じで年を重ねている。
好きなことをやって生きていくのは難しいが、酸いも甘いも噛み分けたこの3バンドの未来に幸多かれ。
すっかりロック的なものから遠ざかっていた私だが、久々にライブを満喫できて、楽しかった♪
今度は鹿鳴館のほうに足を運んでみようかしら。
以上、ライブレポートおしまいっ!
2010年3月25日木曜日
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