ぷは~。うまい、うますぎるぜ。真夏のビール。しかも学校説明会あと。
まだ説明会しか終わっていないのに、すっかりお疲れ様気分の私たち(←って私だけ!?)
「ちょっと由美子さん(仮名)に電話してもいいですかねぇ」
といそいそと妻に電話をかけるヒロキ(仮名)。
「あ、そうそう私もカズヒロくん(仮名)に電話しなきゃ」
とみっちゃん(仮名)。
なんでもヒロキのところの雪美ちゃん(仮名)もみっちゃんのところの陽太(仮名)も同じSG会というお受験塾に通っていて、毎週土日は全部塾通いに費やしているのだという。夫婦交替で送り迎えをしているので、その段取りの連絡をしているというわけだ。
「ヒロキ的にはどうなの? お受験。月20万ぐらい塾代に使ってるんでしょ?」
私たちは最初のジョッキを恐ろしいスピードで空にし、2杯目もペースを落とすことなく飲みきり、店に入ってから20分もしないうちにすでに3杯目に突入している。
ああ~、お天道様がこんなに明るいうちに、私たちったらどうなわけ!?
でもおいしいのよ、真っ昼間のお酒は。背徳の味よねえ~。
「いやあ、私は由美子さんの言うことに従うだけですから。言われるまま、お金を出して、言われるまま送迎を手伝って、大して自分にはポリシーがないですからねえ。こういう場合、声の大きいものが強いですよ」
とポツリポツリと話す。この男、見た目はおとなしいが、実はものすごい酒豪である。ビールを速攻で飲み上げたあと、知らないうちに焼酎のボトルを抱えている。
「そうよね。由美子さん、しっかりしてるし、雪美ちゃんもものすごく頑張っているから、きっとお受験合格するわよ。だって夜の11時ごろまで毎晩勉強してるんでしょ?」
とみっちゃん。
「夜の11時!?」
同時に叫んだのは、私とタケル(仮名)40歳・スーツがまったく似合わない男である。
タケルのところのカリンちゃんは完全に記念受験組で、特に塾に行っているわけでもなく、準備をしているわけではない。
それは我が家とて同じこと。
「ちょっとね、雪美が可哀相なのは、毎晩夕食がマクドナルドなんですよ」
「マクドナルド!?」
「由美子さんが時間がもったいないって言ってね。私はちなみに毎晩ホカ弁ですよ」
「マジ!?」
「うちも似たようなもんよ。うちは早朝5時起きで勉強してるけどね。けどね、頑張れば絶対に結果が出るから。今だけよ。頑張れるのは。それに親も一緒に戦ってあげられるのは、小学校受験だけだから」
みっちゃんは菩薩のような柔和な笑みを浮かべながらも、闘志満々だ。
すごい。そんなの子どもじゃなくて自分がもたないよな。
お受験話に圧倒されているのか、タケルはジョッキを抱えたまま、固まっている。
わかるよ、タケル。私も固まるよ。
うちなんかは元々銀座の先生に言われるがまま、なんの準備もしないでお受験戦争に巻き込まれようとしてるんだから、気合いがみんなと違うよ。
気合いだ! A(←うちの娘)、気合いだ!
・・・・アニマル浜口じゃあるまいし。
まったくもって柄じゃない。
はあ~。
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