2009年4月19日日曜日

泰子(仮名)の場合④

「でその、O女だけどね、まずは国立っていうのはクジなのよ。最初のクジでバッサバッサ落とされるわけ。で、そのあとテストなのよ」
「ってことはクジでそんなにバッサバッサ落とされたら、試験勉強とかしたってしょうがないじゃん。そこまでいく保障もないんだからさ」
そういう私に泰子は心底呆れたという表情を見せて、たたみかける。
「美央さん、知らなさすぎ! みんなね、クジが通ってしまったら、試験で落とされるのが悔しいから受けられるかどうかわからない試験の勉強を死にもの狂いでさせるんだよ。ちなみに(娘の)身長はいくつ?」
「今は110センチぐらいかな」
「じゃあ問題集を積み上げていって110センチ超えないとどこ受験しても受からないって意味だからね」
「何それ? うちはいいんだよ。近所の区立でいいんだから」
「けど(娘)は受験向きなタイプだよ。ちゃんとやらせれば結構どこだって受かるタイプだと思うけど」
「いいよ。うちは。自分がやらなかったことを子供たちに強要するのもいやだし。それよりもクジでバッサバッサ落とされて、その中でも残った子はテストしてどうなるの?」
「で、テストでも結構落とされて残った子たちは、最後にもう一回クジを引くわけ」
「何、それって実力よりもほとんどクジ運じゃん! なんか宝くじを当てるみたいな話じゃん」
「そうだよ、だって国立はコネも関係ないし、両親がどうこうってのも関係ない。クジで結構決まるっていうのはその分、公平ってことなんだよ」
「つまり・・・」
「だから真美ちゃんはかなり受験勉強もさせてきたし、塾や幼児教室も行かせてたんだよ。それでいくら使ったと思ってるのよ! テツのことがあったにしろ、私立なら受かる可能性はかなりあったんだけど、銀座の先生はO女の制服を言うわけ! O女なんて運なんだから、カウントできないわけ!」

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