2009年4月3日金曜日

小説を書き始めてみた

私が生まれて初めてつきあった外国人はモロッコ人だった。仕事でモロッコにしばらく滞在し、現地で彼と出会った。
外国にも外国人にもまったく免疫のなかった私がいきなり恋に落ちたのは、モロッコ人の中でもベルベル人と呼ばれる先住民を母に持つ濃ゆーい男で、しょっぱなから難易度がウルトラC級に高い国際恋愛だった。
あれに比べると夫は外国人とはいえ、イギリス人なのでほとんどカルチャー・ショックはなく、まあ私的にはふつうだ。
ベルベル人との彼と過ごした日々は強烈だったが、日に日に思い出は薄れていく。数ある過去の恋愛の中でもこんな貴重な体験は忘れたらもったいない。
そこで小説という形態をとり、ディテールなどを変え、少しずつ文章にして書きためていた。もちろん完成には程遠いが書き始めると楽しかったりする。

今から4ヶ月ほど前、まだ前の部署にいたときに、大学の後輩で某中堅出版社T書店の本田くん(仮名)とふたりで飲んだときに「旅行記」の話になり、
「いやあ、女の作家の書く旅行記っておもしろいんですけど、なんかこうどっか物足りないんですよね。あれって何なんだろう?」
「うーん、私も最近幻冬舎から出ている“モロッコでラマダン”って本を読んで、めっちゃおもろいし、なつかしいし、文章もいいやけど、思うにHないじゃん。だいたい女の人の旅行記で現地の男とやったみたいな話ってでてこないし。あとあるのは外人と結婚して横文字の名前になった人が、相手の国に住んでそこでの生活を語るっていうのはあるけど。もしくはマーカス寿子系の“この国ではこう、でもわが祖国日本では”っていう斎藤美奈子の言うところの出羽の守系」
「あー、言われてみればそうだ。確かに旅行記では女はHしてませんもんね」
と本田くん(仮名)の行きつけの護国寺の串揚げやでほろ酔い加減になりながら、盛り上がる。
「そうだ。モロッコで思い出したけど、清永さん、確かモロッコって行ってませんでしたっけ?」
「うん、行ってたよ」
「で、現地の男とやったっすか?」
「あたりまえじゃん」
「それいいですよ。清永さん、それ書いたら?」
「いや、実はボチボチ書いていて」
「なんだ! 書いてるんだ。できたら見せてくださいよ」
「まだまだ全然完成しないよ」
「ある程度まとまった段階で見せてくださいよ。それだけでだいたい内容わかりますから」
「そうだね」
「絶対ですよ。飲んでる時だけの話にしないで、必ず見せてくださいよ」

あれからバタバタしていてほとんど進んでいなかった。
HANAちゃんにも相談してみる。
「へえ~。清永さん、小説とか書くんや。私、あんまり本とか読まへんけど、モロッコの話とかおもしろそうやから、読んでみたいわ。絶対に書いてくださいよ」
こうして私の執筆活動(?)は始まった。

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