「え? でもそれで?」
「ところが蓋を開けたら真美ちゃん、私立は全滅だったんだけど、O女だけが受かってたんだよ! だから私信じられなくて!」
「え? ってことはO女が受かっていた? おめでとう! よかったねえ~」
「うん、信じられないぐらいうれしいよ。まあ幼稚園のうちは倍率30倍ぐらいですむからね」
「何それ、すごすぎ!」
「何言ってるのよ! 小学校受験で200倍なんだから! 幼稚園受験のうちに受かっておくようが楽なのよ!」
「200倍!!」
「けどこれで小学校も中学も高校も、それでたいていのパターンでは大学まで行けちゃうんだから」
「ふーん! でもそこまでしてなんで泰子はそういうのにこだわるの? 真美ちゃんにどういうふうに育ってほしいの?」
そう、私がいつも不思議なのは、受験ママたちは自分たちの子どもにどうあってほしいのかというビジョンがあまり見えないのことだ。
いい大学を出て、いい会社に入って・・・そこまではみんな共通なんだろうけど、いい大学を出て、いい会社に入ったら一生安泰って時代じゃもうないのに、どうしていつまで学校のブランドにこだわるんだろう。
しかも日本の大学のブランド力は海外では通用しないのに。
「うちはシンプルだよ。真美ちゃんを音楽で食べていけるようにするんだから。区立とか行ってたら勉強や受験が合間合間に入ってくるじゃない。一貫校だったらその分、音楽に集中させられるから、それだけのことだよ」
「それだったら泰子みたいに中学から音大付属に行かせればいいじゃん」
「それで結局音楽で食べてる人なんてほとんどいないからね」
そう泰子(仮名)は言った。なるほどねえ、いまいち納得はできないけど、そういうのだったらよっぽどただ何となく一流と呼ばれるところに子どもを行かせたいだけの親とは違うような気がする。
「そうか、やっぱり銀座の先生、すごいね」
「うん、ただO女だとは言われなくて、幼稚園受験はどうなるかちょっとわからないって言われたんだけど、小学校からはこの制服ですからって言われたから、それってO女ですよ、クジですからって言ったんだけど、先生はこの制服のところに行くからって言ってたんだよね。それで受かってましたって電話で報告したら、ほらそう言ったでしょって先生言ってた」
「うむうむ」
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