2009年4月7日火曜日

息子の異変②

しかしそれはある日、突然起こった。
 うちにはパソコンやビアノとか本棚とか置いてある部屋があるのだが、その部屋の方角を指し、
「このお部屋、怖い!」
と息子が火のついたように泣きだしたのだ。
「このお部屋、怖い」などとしっかりとした言葉を話したのも初めてだ。
日頃指ばかりしゃぶっていて、「あー」とか「うー」とかしか言わない息子だ。
「このお部屋がどうしたの?」
「このお部屋、いやだ!」
「なんでいやなの?」
 息子は大きな瞳に涙をいっぱいためている。
「だっておばけがいるから・・・・」
 どひゃー! やめてくれよ!!!
「おばけなんているわけないじゃない。だいじょうぶだよ」
「でもいるの! ふえええーん! 怖いよお~」
 こ、これはもしや銀座の先生が言っていた「息子は霊感が強く、そのうち霊などを見るようになる」というやつなのか!?
 おお! 当たっている・・・。って感心している場合か!
 でも先生は否定もせず、肯定もせず、ふうんと軽く受け流せと言っていた。
霊とかっているかいないかわからないけど、世の中には「見える」という人がたくさんいるのだ。「見える」人にとって確実に霊は存在するのだろう。
そう考えると息子が「いる」って言っているものをわざわざムキになって否定する必要もないのだ。
「ふうん、そうなんだ。けどだいじょうぶだよ」
 何がだいじょうぶなのか自分でもさっぱりわからないけど、こういう反応が「軽く受け流す」ということではないか。
それ以来、毎日のように息子はパソコンの置いてある部屋を指さしては「この部屋怖い!」と言っていたが、2ヵ月ほどしたら飽きたのか滅多に「おばけがいる」とは言わなくなった。
言わなくなったら言わなくなったでつまんないなあ。
「で、最近おばけ見ないの?」
そっと息子に耳打ちする。
「うふ、(おばけより)ぼくのほうが怖いんだよ」
息子は不気味に笑った。

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